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読書の記録です。

「絵|小|説」

皆川博子/集英社

6つの詩篇が、絵師の筆を走らせ、異界の幻影が、作家の目を惑わす。この虚構に迷い込むのは、あなた。短編の名手と挿絵の巨匠による、奇跡のコラボレーション。

宇野亞喜良さんの絵が印象的な一冊。宇野さんといえば、新聞の小説で挿絵をお見かけしたような・・・。恥ずかしながら、絵は知っていても、お名前を知りませんでした。今、覚えました。
短編集で、それぞれ詩から宇野さんがイメージ画を描き、それをもとにして皆川さんがストーリーを書くという構図らしいです。印象に残った絵はいろいろあるのですが・・・。シマウマ、オオカミ、泳ぐ絵、ボート、あたりが良かったなー。お話の方は、「あれ」が一番好きでした。どの作品も、子供から見た世界の暗いところの描写が光っていたのですが、この銭湯での一幕が一番雰囲気が出ていました。暗くて、じめっとしてて、大人は得体の知れない生き物のようで。やはり、皆川さんの作品の魅力は、ここにあると思うのですが、どうでしょう?
耐性ができたせいか、物語のおとしどころに前作ほどのショックは受けませんでした。受けませんでしたが、「はて?」と首をひねるところはありました。うーん、私にはまだまだわからない世界ですなー。
それでも、また皆川さん作品を借りる気マンマンなのです。にやり。


「変わるの?」
「そう。森になったり、塔になったり」
「お姉さんは、いろいろなものになったの?」
「そう。<あれ>にも」
「あれ?」
「そう。あれ」


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