「まほろ駅前多田便利軒」
東京のはずれに位置する‘まほろ市’の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ依頼はどこかきな臭い。多田と行天コンビの魅力満点の連作集。
第135回直木賞受賞作。
この表紙、なぜかりんごにナイフが刺さっているのだと思っていました。タバコだったんですねー。先入観って恐ろしい。あと、章ごとの扉絵が好みの絵で思わぬ嬉しさ。
便利屋を営む多田のところに転がり込んできた、行天。不思議な魅力を持つ人で、主人公は、彼のことが放っておけない。この行天さんのキャラクターを、どこかで見かけたことがあるような気がするのですが、思いだせない・・・。うーん、ま、いっか。この何だか憎めないという性格が、ずるい!うらやましい!と思います。何も考えてないと思わせて、するどい一言を言ったり。あああ、おいしいとこ取りじゃないですかー!
終盤の話の流れは、いたってオーソドックス。ケンカして、ふらっといなくなって、そしてまた戻ってくるという。チワワの話が好きです。ルルとハイシーがいいなあ。すごく前向きで明るい。
不思議なことに、バツイチのいい年した男どもが、まるで少年のような掛け合いでじゃれていることに、あまり違和感を感じなかったなあ。作者の三浦さんは、BLの嗜好も持っておられるようで、その辺のイメージもあり「なんだかこの空気って・・・」と思う瞬間も結構ありました。次の作品に手を出すのをためらってしまうなあ。どうしようか・・・。
生きていても、やり直せないことはあるかもしれないけれど、私は、まだ生きている限り、やり直せることがあると信じています。そして、幸せは必ず巡ってくると。きっと「幸福は再生する」。
「おまえはあのアニメを、ハッピーエンドだと思うか?」
「思わないよ」
「だって死んじゃうじゃないか」
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