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読書の記録です。

「骸の爪」

道尾秀介/幻冬舎

ホラー作家の道尾は、取材のために訪れた瑞祥房で、口を開けて笑う千手観音と頭から血を流す仏像を見た。話を聞いた真備は、早速瑞祥房へ向かう。20年の時を超え彷徨う死者の怨念に真備が挑む。

あえて2作目から読んだのは、表紙の立体感がステキだったから!あれ、仏様の手なんですねー。全然違うオブジェだと思ってた。
てなわけで、仏像の世界のミステリー。
前半はまったりで、「これはミステリーなのか?」と思ったのですが、仏像ならではのトリックが出てきておもしろかった。特に後半は、隠された人間関係が暴かれて、最後まで一気に読んでしまいました。大方は予想通りで、驚きは無いんですけど、登場人物のリアクションや言動が気になるところというか。
仏像が流す血は、ちょっと強引かなーという気はしました。うーん、そう見えるかな。見えるのかな。ちょっと実際に見てみたいかも。引くところも含めて!心霊研究者とは言っても、意外にリアリストな真備さん。笑う仏像は、まあ、そんなところだろうとは思っていましたが・・・。犯人とニアミスって、どきどきものですよね。
骸って、死体って意味もあるんだろうけど、「もぐら」の意味もかけてるあたりがうまいなあ。最後は悲しい結末でした・・・。ちょっと火サスの匂いも残しつつ。


「でも、きっと人の心なんて、軽々しく論じることはできないんだろうね」


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