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読書の記録です。

「凍りのくじら」

辻村深月/講談社

父が失踪してから、残された病気の母と二人、家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、一人の青年が現れる。彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ。

残念ながら、サプライズの仕掛けは前2作と変わらず。次はもう買ってあるのですが、もしやこれも・・・?と思わずにはいられません。
若尾は私の1コ下なのですが、同年代とは思えないほど幼稚な思考。今までこんな低能な人間見たことがないぜレベル。そんな感じで登場人物中、彼だけとても浮いていました。笑。
理帆子の心の描写にものすごい嫌悪を感じると同時に、魅かれる瞬間もありました。感情の動きをリアルに感じた結果かしらん、と思うのですがどうなんだろう。同族というほど似てもいないし。その他にも、時々見える鋭い表現がツボにはまります。無駄なものをそぎおとす腕をあげたなあ。
ドラえもんとのリンクは、各章に設けなくて良かったのでは。この作品のモチーフなのですが、ちょっとくどい。ドラえもんと言えば、劇場版が好きでした。見なくなってもうどれくらい経つのかな。久しぶりに漫画が読みたくなりました。
写真集のくだりでは目頭が熱く・・・。あそこで感動しない人はいないでしょう。普段は何も言わなくても、せめて大事な局面ではきちんと向き合える親子関係でありたいなあ、と思わせてくれる一冊。
ちょっと愚痴っぽいレビューになってしまいましたが、おもしろかったですよ~。少々の中だるみに耐えられる方はぜひどうぞ。


「どうやったの?郁也。
細い腕に縋りつき、なりふり構わず彼にそれを問い質したかった。どうやって、それに耐えた?一人になる恐怖と、どうやって折り合いをつけたのだ。」


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