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読書の記録です。

「天の前庭」

ほしおさなえ/東京創元社

事故で意識不明となり、そのまま9年間眠り続けた柚乃は目覚めたとき、すべての記憶を失っていた。父は同じ事故で死亡、母は柚乃が子供の頃に失踪していた。柚乃は、パソコンに残されたかつての自分の日記の中に、自分にそっくりな少女に出会ったという記述を見つける。

正直に言って、気持ち悪い読後感としか言いようがありません。物語自体はハッピーエンドだったのですが、最後の真相解明のところが、あまりにもころころ変わりすぎ。タイムスリップしただの、やっぱりしてないだの、でもやっぱりしてるだの・・・。「どっちなんじゃーい!」と頭をはたきたくなる。いや、途中まではきれいにまとまりそうだったのです。でも、最後の「やっぱりタイムスリップしてたんだ」っていうのがぶち壊しなんです!だったら、なんでその日柚乃とユナが、同じ車に乗っていたのかを説明する必要があるような。詩情的な独白なら蛇足。
物語の流れも、思いつきをそのまま書いたものを読んでいるのかと錯覚するぐらいつまらない。日記は色々な謎を匂わせてまあまあだったのですが、記憶を失ってからがつまらない。くどい。無意味に長い。後々新興宗教団体に話が移っていき、白骨死体のあたりの謎を重点的にして欲しかった私としては、不満だったなあ。教団も、やってることはオ○ム真理教と同じようなもんだから、面白くないしなー。最後は、唐突に絵本の話が挿入されます。謎。いや、これが例の兄妹を象徴する話だという意味はわかるのですが、なんでこういう形にしたのか・・・。これ、かなり、イライラしますよ。笑。
つまりはみんな、妄想、あるいは幻覚だったということです。そう思うことにしました。


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