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読書の記録です。

「輝石の花」

河屋一/富士見書房

田舎の村に暮らす少女ベルネージュは穏やかな日々を過ごしていた。しかし突如村は“黙”によって滅ぼされ、幼なじみの少年カッサはベルネージュをかばって傷を負う。半年後、孤児院で暮らすカッサの身体に“黙化”の兆候が現れる。

表紙や挿絵が、ベルネージュを前面に押し出した感じだったので、てっきり彼女が主人公かと思っていたのですがー。カッサもがんばっていたので、表紙に登場させてあげれば良かったのに・・・。
物語の方は、ファンタジーな世界観が素敵だったと思います。
五竜、輝石、歌い手、雪月花、妖精。どれも物語を彩る魅力的な素材です。ただ、残念なことに、盛り込みすぎてぼやけてしまっているんですね。特に、題名にも使われている「輝石」は重要な概念だと思うので、読後に「結局輝石って何なの?」と思われたらダメなのでは?輝石を使う時に、五竜の存在を感じるあたり躍動感があって良かっただけに、おしい!
話変わって登場人物たちですが、悪役以外は魅力的でした。特にベルネージュの繰り返して言う喋り方。自分に一回言い聞かせる感じの喋り方をする知人が思い浮かんで、おもしろかったー。カッサは後半だんだん男前になってー!って感じだったんですけど、最後はベルネージュより成長遅れたまんまなのかな、と思うと少しかわいそう・・・。リアーレリとクレオン。リアーレリの葛藤が興味深かった。クレオンは、まあ、ありがちなキャラクターですね・・・。
アジスがもっと魅力的だったらなあ。小さい男だなーとしか思えなかったな・・・。もっとロマンを感じられたら良かったんだけど。
ベストな終わり方をしていると思うので、早くも2巻が出ている受賞作がありますが(笑)、次回作は別の物語を楽しみにしたいと思います。


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