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読書の記録です。

「図書館の神様」

瀬尾まいこ/マガジンハウス

思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問になった。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。

一時期話題になっていたので、図書館でいつも棚をチェックしていたのですが、運悪く出逢えず、月日が経って忘れた頃に眼に飛び込んできた本。出逢いとは、このようなものなのかもしれません。
さて、著者自身が先生ということもあってか、主人公の清さんを、飾らず淡々とした文章がリアルに感じさせてくれます。教師を目指して、講師をしながら毎年試験にチャレンジしている友人を見ていると、流されて試験に受かってしまう清にはフクザツなものを感じます。実際に、そういう人がいるんだろうと思うから、余計割り切れない。せめて、清さんのように、子供と関わりたいという気持ちをもって教育に携わって欲しいな。
残念なことに、私には浅見さんのいいところが理解できませんでしたー。逆に、弟君は大好きでしたけれども!優しいというより、自由なところがとてもいい。
私はあまり文学というものを楽しめず、だから、今でも推理小説やライトノベルといったエンターテイメント味が強い本を好んで読んでいます。夏目漱石は好きですけど。清さんが文学のおもしろさに触れるシーンは、本当にうらやましくて、私も川端康成の作品や、「さぶ」を読んでみようかと本気で思ったり。もういちど、「雪国」を読んだら、今の自分は何を感じるのか。それもおもしろそうだ。
傷跡を残しながら、私たちは何度でも生まれ変わることができる。
だから、大人も子供も、自殺をしないで、生きて生まれ変わろう。


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