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読書の記録です。

「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」

角田光代/ソニーマガジンズ

たのしいこと、うれしいこと、悲しいこと、怒ったこと。ささやかな日常こそがいとおしい。「今日、今、この瞬間」を綴った日常エッセイ。

エッセイなんて、つまらない、とずっと思っていました。「だって、その人の話やろ?私、作品には興味あるけど、その人自身のことに興味なんかないねん。」と言ってきました。昔の読書を振り返ってみても、さくらももこさんのエッセイを2冊ほど読んだくらいです。(当時りぼんっ子だったので)
作品には、作者の品性や人柄、それまでの生き方みたいなものが、どこかでにじみ出ているものだと、今は思っています。作者の人格を認めずして、本を語ってはいけない。本当に大馬鹿者でした。
まあ、そこまで深く考えたわけではないのですが(笑)、そういう心境の変化もあって、ここ1、2年たまに手に取るようになりました。びっくりしたことに、どれもおもしろいんです。この本も、とってもおもしろかった。
エッセイって、共感するだけじゃなくて、そうじゃないよって反発することもある。そうやって、作者と対話したり、その人の思考に直に触れることで、大きな刺激を受けることができる。多くの人には、当たり前のことかもしれないけれど、やっとそういう楽しみ方を会得できたような気がします。
というのも、この本では、著者の角田さんが各章の最後で「あなたはどう?」と問いかけてくれているからです。問いかけに「うーん、私の場合はー。」と瞬間的に考える時間が用意されています。まるで、角田さんと部屋でだべっているような気分になります。
“見た目の占める割合は?”が、一番笑えた。私も、あります。都会に近づくにつれ、「この服ダメ!帰る!着替えるー!」という気分になることは数知れず。笑。小学校のトイレ話は、電車の中で思わず吹いてしまいそうになりました。ストレートな言葉で語られる角田さんの生活は、とても潔いです。「私は本質的に輝けない種類の女なんだろう」としみじみ思いながらも、「心のどこかでは、輝かんばかりになりたいといつも願っていたい」。とってもかわいいなあ、と思います。私も、乙女心を忘れないように、日々かわいいものを愛でていたい。
・・・とまあ、ここまで書いておいて何ですが、角田さんの小説未読でして・・・。こんな角田さんの書く小説、ぜひ読んでみたいと思います。


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