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読書の記録です。

「福家警部補の挨拶」

大倉崇裕/東京創元社

現場を検分し鑑識の報告を受けて聞き込みを始める頃には、事件の真相が見えている?!おなじみ刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、四編収録のシリーズ第一集。

刑事コロンボ好きの父親は、古畑任三郎を見る度に「これはコロンボのパクリやー。」と言っていたものです。うるさかった。パクリでも何でも、おもしろければいいじゃない。
熱烈なコロンボファンである著者が書いた本作も、コロンボ・古畑と同じスタイルを取っています。犯人は分かっている。殺害方法も分かっている。仕掛けたトリックも、大方予想がつく。冒頭ですべて種明かしがされているのに、何故こんなにもおもしろいのか。犯人の犯したミスを見逃さず、じわじわと追い詰める刑事の手腕も見ものの一つでしょう。しかし、私はやはり福家警部補の個性が好きだったなあ。コロンボは良く知らないんですが、古畑さんも福家さんも、飄々としていながら時々鋭い観察眼を見せ、嫌がられるほどしつこいのに嫌いになれない。人懐っこいのかな。得な性格してるなー、と思います。
昨今の犯罪事情を見ていると、理由があるだけまだましか、と錯覚しそうになります。なんて世の中だ。自分を殺すために、こんな緻密な計画を立てていただけるなんて、被害者冥利に尽きますね。古畑さんは、突発的殺人のパターンもありましたので、もし第二集が出たときは、そんなパターンも読んでみたい。
最後に、福家警部補萌え~、でシメさせて下さい。ああ、かわいい・・・。


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