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読書の記録です。

「虹色天気雨」

大島真寿美/小学館

ある日突然、幼なじみ奈津の夫・憲吾が姿を消した。市子は、夫捜しに奔走する奈津から一人娘の美月を預かる。女性の影もちらつく憲吾の失踪だったが、事態はやがて、市子の元恋人も登場して意外な展開を迎える。

どんだけ年を取っても、友達と会っている時は心がその時代に戻ってしまうのです。中学・高校・大学・前職場・・・。その人を取り巻く環境が変わっても、その子の印象や本質は変わらないんだよなー、としみじみ感じました。
しかし、私は友達の友達とか、友達の彼氏・旦那さんとか、いわゆる友達ネットワークに乏しい人間なので、この集団には共感できなかった。うーむ。こう、私にとってはやりにくい人間関係のような気がする。
途中まで、憲吾さんは一体どこへいったのか、帰ってくるのか、非常に気になるところでした。奥さんとかわいい娘を置いて、ある日突然失踪。ちらつく女の影!今までの私だったら、「非常識な!許せん!」と思ってます。ところが、私、最近の心情の変化により「どうやって、妻子ある男性の心を掴んだのか」が非常に気になるところでした。えー、道徳的な問題は置いておいて。奥さんだけなら何とかなりそうな気がするのです!笑。だけど、子供って、奥さんより強敵やと思うんです。奥さんはさておき、子供を放り出すような人は嫌やというか。
これ、たぶん物語の本質から、かーなーり、ズレてます。悩める女性の友情を描いた作品です。美月ちゃんもかわいいしな!そして、意外というより、あっさり無難な着地点におさまったのが少し不満。


「大切な人を失って泣くことも、好きだった人とうまくいかなくなることも、その瞬間の痛みも、残念ながらお互い嫌になるくらい経験し、それがどういうことなのか、我が事のように理解できるようになってしまった。こちらもまだ初心者で、いちいち狼狽えたり、おろおろと戸惑うばかりだった頃は、失恋の傷が、ただ無意味な傷のようにしか見えなかったけれど、今では、そこにあるのが傷だけでなく、たくさんの勝ち取ったもの、手の中に思いがけず残ったものなどもまた、傷ついた皮を剥がせば、ちゃんとそこにあると知っている。」


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