忍者ブログ
読書の記録です。

「家日和」

奥田英朗/集英社

ずっと外にいた夫の王国か。ずっと家にいた妻の城か。ビター&スウィートな“在宅”小説。

この前に読んだ、綿矢さんの文章が叙情的というか繊細な感じだったので、奥田さんのスパッとした文章が際立ちました。あれ、ここまで淡々としてたかしらっていうくらい。
しかしながら、物足りないということはなく、すごくリアルな感じがして良かったと思います。淡々としているのに、登場人物たちの気持ちが伝わるっていうのはすごいと思う。
あの、買い物っぷりがうらやましい。私もホームシアターのセットが欲しいよう。いい音がするステレオが欲しい。独身貴族の男性の気持ちがよくわかる。確かに、自分の趣味に100%お金を使えるということは、かなり魅力的な条件だ。私も、結婚はしたいけど、仕事は辞められないと思う。仕事はイヤだけど、自分で自由に使えるお金は欲しいもの。
最終的に、すべてがまるーく収まるお話で、非常に安心感がありました。まあ、短編なので、多少ご都合主義だろうという所はありましたが・・・。何だか、人生にパートナーがいるっていいよな。家族っていいなあ、とやっかみ半分な気持ち。夫婦や家族の形はそれぞれで、喧嘩とか離婚とか、仲良くすればいいのにって思っても、なかなか口は出せない。それは私にも当てはまる。けれど、最終的には仲直りして元のサヤに収まって欲しいなあ。未婚の私が言うのもアレですが・・・。


PR