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読書の記録です。

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「青年のための読書クラブ」

桜庭一樹/新潮社

東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内のアウトローだけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の“クラブ誌”があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた。

「少女には向かない職業」の感想で書いたいまいちだった短編というのが、この中の「烏丸紅子恋愛事件」でした。そういえば。初めて読んだ桜庭作品。翻訳作品に近い言い回しがダメだったんだろうなあ・・・。
ええ、もちろん今となってはとっても楽しめるようになりましてよ!彼女たちのちょっと気取った喋り方も、「おー、ヴィクトリカがいっぱいいるー。」って感じでおもしろかったです。
5編の短編で、聖マリアナ学園の裏事件を100年にわたって追いかけます。ぼろぼろの赤煉瓦ビルの一室で、紅茶をお供に気ままに本を読みふける「読書クラブ」。うわー、いいなあ。理想の生活だなあ・・・。お嬢様学校のアウトローって、かっこいい!どの時代の読書クラブメンバーもおもしろいんだけど、一番好きなのは、「奇妙な旅人」の時雨ときよ子。時雨のお人よし加減や面倒見のいいところに惚れました・・・。そしてきよ子さんの母っぷりもかっこいい。胸が大きいと異端児っていうのも、なんだかな・・・。あと、「一番星」でふらりと帰ってきた十五夜を「うむ・・・」「おぅ・・・」と受け入れる読書クラブもステキです。私、ずっと共学だったんですけど、もし女子高とか行ってたらかっこいい先輩とかいたのかしら。どきどき。女子高の友達からはそんな話聞いたことないけど。笑。
いつまでも浮世離れしていると思われた聖マリアナ学園も、時代の変化とともに生徒ともども変化を免れないものなのですね。とせつなくなってしまいました。読書クラブなくなっちゃうのかな・・・。でも、いつの世にも彼らのような異端児はいて、そして彼らの集う場所は存在し続けることでしょう。
ぜひ手元に置いておきたい一冊。早く文庫落ちしないかなーと待っています。(せこい)


「神など、おらぬ。
 悪魔も、おらぬ。
 諸君、世界は南瓜の如く、空っぽなのである!」


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