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読書の記録です。

「女王国の城」

有栖川有栖/東京創元社

大学に顔を見せない部長を案じて、江神二郎の下宿を訪れた後輩アリスは、神倉へ向かったと思しき痕跡を見つける。アリス、マリア、望月、織田はレンタカーを駆って神倉へ向かう。江神の安否は確認したが、思いがけず殺人事件に直面する。

長編はおそらく初読みです、有栖川さん。
火村英生シリーズだけかと思っていたので、江神二郎シリーズなるものがあることを初めて認識しました。恥ずかしい!ごめんなさい!
いやあ、長かった。笑。最近は、あっさりしたものが多かったので、こんなどっしりしたボリュームは久しぶりでした。ちょっと冗長な印象もありますが、久しぶり故か、長さを楽しむ余裕もありました。きっと良いタイミングでこの本を手に取れたんだろうな。
さて、シリーズ4作目らしいのですが、シリーズ途中からでも十分楽しめました。望月さんと織田さんの区別が付きにくかったくらいで・・・。舞台は神倉という架空の地。人類協会という新興宗教団体の総本部で、殺人事件が起こります。警察への通報を拒む幹部たち。連続して起こる殺人事件。11年前に起きた、不可解な事件。現代と過去の事件が、一丁の拳銃によってつながる場面は、とても爽快で後半は一気に読んでしまいました。さまざまな状況証拠や証言、小説の中に丁寧に散りばめられたピースが一つになる様は、本当にお見事。そして、最後には、事件の裏にもう一つの事件が!そのような匂いはしていたのですが、なるほど~と納得しました。頭脳労働だけではなく、脱出劇や鬼ごっこもあり、推理研は意外にアクティブだなあ、と感心する場面も。
謎解きをこつこつと積み上げるミステリーかと思えば、時々思い出したようにロマンチックなマリアの独白が入り、すごく浮いてました。笑。「閉ざされた城の女王様。・・・」とか。最後の「ううん、全部」なんて甘すぎて食あたりを起こしそうですよ!私がアリスだったらイチコロだよ!アリスとマリアの関係を、どう持っていこうとしているのか、そこも興味津々です。友達以上恋人未満のままか、江神さんも絡んでくるのか。でも、名探偵は、そこを超越していて欲しいかも・・・。という願望もありつつ。そこも決着をつけて欲しいなあ。シリーズ最新作が出るのが先か、私が前3作を読み終えるのが先か・・・。早くも負けそうな予感がしています。


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