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読書の記録です。

「少女七竃と七人の可愛そうな大人」

桜庭一樹/角川書店

川村七竈は、鉄道を愛する孤高の美しい17歳。親友の雪風とは、静かな友情で結ばれている。七竈は、奔放な恋に生き、すぐに旅に出る淫乱な母をもつが、可愛そうな7人の大人たちに巻き込まれて…。

人間、何度でも生まれ変われると言いますが、自分を変えるために、手当たり次第男性と関係を持つとは・・・。き、極端だなあ・・・。と呆気にとられて、物語は始まりました。
そして、七回竃で燃やして上質な炭となるように、生まれた子供は七竃と名付けられます。テストで時間をロスしそうな名前だ・・・。七竃は、とても美しく生まれ、成長するにつれ、その美しさはますます浮世離れしていきます。北海道の片隅では、生きにくいほどに。親友の雪風も、また、美しい顔をしていた。2人は、とても良く似ていた・・・。
世俗を超越した七竃、もといむくむくがとてもステキだった。ビショップとのコンビもぴったり!犬は素晴らしいですよう。七竃と雪風は、相思相愛だったのだろうか。2人の間に横たわるものは、恋とか愛という言葉では表現しきれないような気がする。別れもロマンチックです。時々帰省して、顔を合わせたら気まずいよね。笑。
七竃の母、優奈は母親であることよりも、女であることの方を選んだ人なのだなあと思った。それは、子供にとって不幸なことではあるが、罪ではない。それよりも、田中教諭が罪・・・。この人とも実は関係を持ってたんじゃないか、と私は邪推していたのだけれど、本当に好きな人とは結ばれなかったんだねえ。娼婦が唇だけは本当に好きな人にしか許さないというあれを思い出しまして、ある意味純愛ではないの・・・!と見直した直後。・・・た、田中教諭め・・・!欲情などしおってからに・・・!と台無しになった気分でした。七竃母は最後まで、好きな人は1人だったんだなあ。辻斬りになるのはごめんだけど、そういう一途さは良いと思う。最後は母がすべてさらっていったなあ。
作品に流れる雰囲気が、桜庭さんがこれまで読まれてきた本を反映しているような気がした。海外の文学作品を良く読まれているようなので・・・。哲学的で、噛んでも噛んでも味がわからぬ文字の羅列たち。


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