忍者ブログ
読書の記録です。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「荒野」

桜庭一樹/文藝春秋

恋愛小説家の父をもつ山野内荒野。ようやく恋のしっぽをつかまえた。人がやってきては去っていき、またやってくる鎌倉の家。うつろい行く季節の中で、少女は大人になっていく。

桜庭さんの初期作品はいつか読みたいなあ、と思っていたところでした。こちらは、「荒野の恋」第一部と第二部を加筆修正したものに、書き下ろしとして第三部を加えたもの。残るは、「赤×ピンク」「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」「推定少女」・・・かな。
主人公、山野内荒野は、黒髪のストレートロングに黒縁の眼鏡をかけた地味な女の子。・・・そして、巨乳。普通なら、非モテになりかねない標準装備ですが、彼女も彼女の友人もモテます。・・・納得いかない・・・。まあ、そんな私のひがみは置いておいて。そんな荒野が初恋に落ちる物語。相手は、父親の再婚相手の息子・悠也。同じ屋根の下で破廉恥な・・・!と思いきや(中学生男子と同レベルの思考)、悠也はアメリカに留学し、帰国後東京の高校に。2人は、月に何回かの逢瀬を楽しむのです。このデートの様子が初々しくて、私も鎌倉デートがしたくなりました。ロンリー。1人ものに、こいつはきついぜ。父・正慶さんは、こんな2人の関係に気づいていた様子ですね。さすが恋愛小説家。父の方が鋭い。このお父さんが、私は好きでした。自分の娘のことを「黒猫ちゃん」と呼び、娘からは蜻蛉のようなと評されるつかみどころのないキザなおっさん。母性本能をくすぐるタイプっていうのもありますが、こんなあやうい感じの人に女性は弱いのかも。ハングリー・アートという言葉がありましたが、何か大事なものを犠牲にして、凡人にはできないものを作り上げている人って、やっぱり憧れますからねえ。
恋の甘くてふわふわした側面からではなく、苛立ちや嫉妬心、戸惑いなど負の側面から捉えたところが桜庭さんらしいなあと思いました。恋のしっぽをつかまえた荒野は、最後、安定期に入ったかのように見えますが、ところがどっこいですよ。倦怠期とかあるからね!遠距離は危ないからね!?と嫌味なことを考えてしまった私です。2人は、うまくいきそうですけど。うまくいったらいったで、大変という・・・。
思い返せば、ずっと物語の中の若者に嫉妬していたなあ。まぶしすぎるぜ。ダメ男の正慶さんを取り巻く愛人たちの心情にシンクロできるか、といえば、そうでもないんだけど。笑。
最近、ガールズ・ラブを良く見かけます。ダ・ヴィンチでも特集してたし。GLはストイックな感じがして、少し、憧れもありますが、好きになろうと思って好きになれるもんでもないしなあ。やっぱり、よくわからないです。笑。
そうそう、最後に一つ、名言を紹介しておこう。


「スレンダーは秀才。巨乳は天才。」


PR