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読書の記録です。

「イノセント・ゲリラの祝祭」

海堂尊/宝島社

今回の舞台は厚生労働省。なんと、窓際医師の田口が、ロジカルモンスター白鳥の本丸・医療事故調査委員会に殴り込み!?グズグズな医療行政を田口・白鳥コンビは変えることができるのか・・・。

日本は医療後進国である!という海堂さんの雄たけびが聞こえてきそうです。
映像化されている田口&白鳥シリーズも、この本を映画化するのは難しいのではないかと思いました。私は、このシリーズを一応ミステリーと位置づけているのですが、今回は乱暴にまとめると、エーアイを巡る会議の話で、それ以外何も起こらないという・・・。まさに、海堂さんの持論を延々読んでいるような心持ちでした。以前から「死因不明社会」を執筆されるなど、死亡時画像診断の普及に努めていらっしゃるなあと感じていたのですが・・・。それにしても、舞台がほとんど会議室とは・・・。
「医療事故調・創設検討会」なるものの委員になってしまった田口先生。様々な思惑が入り乱れる会議室をどう生き残っていくのか!?官僚VS医者の構図になってます。医療の実際を知らない官僚さんたちが、予算や制度なんかを決めていくことは、確かに良くないと思う。でも、根本的に政治を行っているのは厚生省なのだから、極論だけど医療庁を立ち上げたりしない限りは劇的に何かが変わるということは無いと思う。・・・というか、どうでもいいとまでは言わないけれど、今、私がこれを読んでも「何か大変なんだなあ」くらいしか感じないですよ。遠い世界ですから。
主張を織り込まれるのは大いに結構ですし、こちらも勉強になりますが、エンターテイメントとしての本を書かれるのであれば、ちょっと配分を変えて頂きたいなあと思いました。それとも、最早エンターテイメントでもミステリでもないところに向かおうとしているのでしょうか・・・。
姫宮って、優秀だったのかー!


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