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読書の記録です。

「モダンタイムス」

伊坂幸太郎/講談社

渡辺拓海は、恐妻家の29歳・システムエンジニア。ある日、会社の先輩・五反田正臣が失踪する。どうやら、彼の関わっていた仕事のプログラムの解析に関係があるようだ。解析を進めていくうちに、あるキーワードにたどり着く。

「魔王」から何十年か経った世界。徴兵制が定められ、ちょっとだけ文明も進んでいる。魔王・・・。後半の話を気に入ったのは覚えているのだが・・・。はっきりした記憶が無いんだよ、セニョリータ!という私でもそこそこ楽しめました。
週刊モーニングで連載されていたとあって、章ごとの盛り上げ方とオチの落とし方がステキでした。臨場感がある。登場人物たちも、伊坂作品らしい、ちょっとシニカルで根はいい人みたいな方たちでした。(佳代子を除いて。)サイバーテロっぽい話で、情報化社会は恐いよーという話かなあと思ったりしました。確かに、事件の真相は情報操作にあるのですが、それだけではなく、やっぱりシュールな中に熱いものがあるんだなあ。愛だったり、信頼だったり。
主人公の周りの人間が死んでゆくところはミステリー的流れでした。中学校の事件と、超能力がどうからむのか。伊坂好太郎の小説から見えてくるものとは!?どきどきしますよー。私達が情報を受け取るときには、すでにそれはもう加工されたものであってもおかしくないんだなあと思った。物事を多角的に見るには、発想の転換が必要であって。頭が柔らかくないと!ネットで検索、って日常的にしていることなので、その検索のキーワードを誰かに監視されているなんて、あんまり考えたことなかった。そう考えると、検索も恐い。恐いが、一番手っ取り早いのも事実。
仕事って、仕事だからって割り切れるから、できるところがあって、それを逆手にとったからくりだったんだなあと思います。仕事だから、自分のすることだけしておけばいい、一体これがどこからきて、最終的にどうなるのかなんて、考えたって仕方ない。そうなったらあかんってことですよね。想像力を忘れるな、ってところでしょうか。
ところで、最強妻・佳代子さんは一体何者なんだろう・・・。


「でもね、それは言い訳なんだって」

「仕事だから仕方がなくてやりました、なんてね言い訳にすぎないの」


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