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読書の記録です。

「医学のたまご」

海堂尊/理論社

東城大学に「天才少年」として中学生が医学研究室に入った。ところが彼は実はあんまり勉強の出来ない普通の中学生だった。そんな「普通の中学生」が最先端の研究をめぐる医学界の熾烈な争いに巻き込まれていく・・・。

昨日の高校生クイズはすごかった・・・。もはやあそこまで賢いと、自分とは違う生き物って本当にいるんだなあーと感心するばかり。本作の主人公、曽根崎薫くんは14歳・中学生。高校生クイズに出てくる天才たちのような頭脳を持っているどころか、学校の勉強でもあっぷあっぷ。そんな彼がどうして模試で1位の成績をとってしまったのか?答えは簡単。彼の父・ゲーム理論の第一人者、曽根崎慎一郎氏こそが問題の作成者であり、息子は試験的に問題を解いたことがあるのだ。・・・あかんやん、曽根崎父!犯罪じゃないっすか!
ズルして良い成績をとった薫を待っていたのは、望んでもない東城大学医学部での研究だった。父の助言とクラスメートを味方につけて、なんとか中学校と医学部との2重生活を切り抜ける。・・・というわけにはいかず、藤田教授が成果を急ぐあまり、ずさんな論文を発表してしまったことから、オトナの陰謀に巻き込まれてしまうのです。しかしながら、自業自得であることも確か。佐々木君が、そう薫に突っ込むところはなるほどと思いました。厳しいけれど、最後にはちゃんと薫を助けてあげてるし。良い男になりましたね、佐々木君。
各章では、薫の父の名言がずらり。中でも、「心に飼っているサソリを解き放て」は好きだなー。解き放ちたいぜ!あと、世界観のリンクも健在。メラノーマ関連の研究ということで、「ナイチンゲール」関係者が。あと、田口センセが教授になってましたね!しかも、ほんとに出てきただけ。笑。子供向けのせいか、仰々しいセリフが減って、大変読みやすかったです。これくらいがあっさりしてて丁度いいのかも?
桃倉さんが切な過ぎます・・・。苦い勝利・・・。
ここからは蛇足ですが、日本でも、飛び級を承認するべきか?ってちょっと考えてしまいました。個人の能力に合った環境を提供したほうが、その子の能力は伸びるし、ひいては日本の学力の発展につながるのかしら。でも、頭が良ければ、比例して精神も成熟しているかというと、そうでは無いと思うんですよね。社会にでたら、人間関係の方にウエイトがあるのは明白ですから。学問の分野によっては、例えば医学や法律なんかは倫理観が問われるものもある。経験することに、ムダなことってあんまり無いと思うんだ。だから、飛び級には賛成できないなあ~。という結論に落ち着きました。ま、あんまり関係ないと言えば関係ない世界ですけどねー。(遠い目)



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