忍者ブログ
読書の記録です。

「断章のグリムⅤ&Ⅵ」

甲田学人/アスキー・メディアワークス

田上颯姫の妹が住む街で起きた女子中学生の失踪事件。“泡禍”解決要請を受けた雪乃と蒼衣の二人を待ち受けていたのは、愛の幼馴染みの非公認騎士の少年だった。『赤ずきん』の予言を受けた“泡禍”は、静かに新興住宅地の町を蝕んでいく・・・。

粘着系ホラーファンタジー。こちらも久しぶりです~。
前巻で、蒼衣の断章は最強だなと思ったら、もう限界が訪れました。
今回のモチーフは赤ずきん。これも有名な童話ですねー。おばあさんの家におつかいに行った赤ずきんが、狼にそそのかされて、お花を摘んでいる間に狼はおばあさんをぺろり。その後、おばあさんになりすまし赤ずきんもぺろり。その後、狼がお昼寝中に通りがかった狩人がおばあさんと赤ずきんを救出。狼のお腹に石をつめて、殺しましたとさ。というなかなかの残酷物語となっております。これ以外に、類話として狼と七匹の子やぎ、赤マントの怪談なんかも盛り込まれています。赤づくし!
前回と同じく、ヘルプ先での事件。出張では、いつもと違う騎士の顔ぶれが見れておもしろいですねえ。笑美さんの断章も、泡禍も、はさみがキーポイントとなっています。断章はありだと思うんですけど、物理的にはさみで人間を解体するのは無理かなあ。とはいえ、切れないのを力わざで押し切る描写は痛い、痛い・・・。笑美さんのはさみと、勇士の針の道、どちらも攻撃的な断章でした。雪乃さん、ただでさえリストカットしないといけないのに、針の道でズタボロでした。勇士が意地を張らないで、協力していれば被害がもう少し少なく済んだかもしれないのに・・・。
今回の泡渦は、潜有者が誰?というよりは、構造がややこしかった。始まりは斉藤愛が殺した人形だけど、配役がシフトして、狼が一人歩きを始める。狼に殺された人間は、次の狼となり人を殺す。狼に殺された人間は・・・。という無限のループを繰り返していて、おそらく狼はそのまま人間の皮をかぶって生活しているわけです。だから、あの大量殺戮しか方法がないという決着になったのですが・・・。あれは極論でしたね・・・。今回も、きれいには終われなかった。だんだん被害の規模がでかくなってて、今後が心配ですねえ。騎士団には、証拠隠滅・目くらまし等、断章保持者の自己防衛の機能もあったという事実が明らかになります。そりゃそうだ、という感じでしたけど。特殊能力モノでは、異端児の迫害は良くある話ですから・・・。
赤ずきんといえば、狼と赤ずきんの掛け合いですよね!「おばあちゃんのお口はどうしてそんなに大きいの?」「おまえを食べるためさ!」っていうあれ。正直、このくだりは赤ずきんちゃん天然?大ボケ?大バカ?ってつっこみたくなるシーンなのですが、勇士と愛のやりとりで、このパターンが上手く応用されてるなあと。良かったです。
蒼衣くんの好みもはっきり、雪乃さんって書いてあったので、蒼衣は雪乃さんラブでいいのかな。難儀な好みだなあ。あんた、苦労するよ・・・。
次は海外出張で決まりだね!学生でも夏休みならOK?


「つまり結局、人間にとって本当に恐ろしいのはやっぱり人間なんだよ。」


PR