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読書の記録です。

「ばらばら死体の夜」

桜庭一樹/集英社

四十過ぎの翻訳家、吉野解は貧乏学生の頃に下宿していた神保町の古書店「泪亭」の二階で謎の美女、白井沙漠と出会う。裕福な家庭に育った妻とは正反対の魅力に強く惹かれ、粗末な部屋で何度も体を重ねる。しかし、沙漠が解に借金を申し込んだことから「悲劇」の幕があがる・・・。

桜庭さんの作品がだんだん肌に合わなくなってきて、読み続けるべきか、読まざるべきか、と思っていたところで読んだ本でした。手放しで大好き!とは言えないけれど、桜庭さんの本をまだ読んでみようと思わせてくれる本でした。結果的に読んで良かったなと。
なんで否定的なニュアンスになっちゃうかというと・・・。
まず、主人公2人がクセモノで、はっきり言って最低。女も男も自分勝手で、自業自得やんって感じなんです。でも、願わくば、殺されたのが解の方だったら良かったのに、と思ったのは同性への肩入れかな?事の始まりは、解が勝手に2階に押し入ったことにあるんだから、お金の無心をされたくらいでさーって思った。やることやってんだから、お金くらいなんとかしなさいよって。
もっと納得いかなかったのは、犯罪が明るみに出なかったことで、これから先も彼が裁かれることはないだろう、ということです。現実はそうかもしれないけど、物語はフィクションだからここはひとつ彼にも罰を与えて欲しかった。そしたらちょっとはスッキリしたかもしれないのに。
そうやって嫌悪しながらも、私は、砂漠のどこか退廃的な空気に惹かれていたのかもしれない。バカだけど憎めないっていうか。砂漠が殺される直前の描写にも惹き込まれた。そのあたりの雰囲気を受け入れることができたので、もう少し作品のチェックを続けていこう・・・と思ったのでした。
最後に、人として一番共感したのは里子さんでした。笑。「あっ、もしかして今、いけないこと聞いちゃった(見ちゃった)?」っていう瞬間。誰にでもありますよね?


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