「幻の女」
夫婦喧嘩をして家を飛び出した男は、バーでひとりの女に声をかける。妻との予定を彼女と過ごし、出会ったバーで酒を飲んで女とは別れた。その後、家に帰った彼を待ち受けていたのは、刑事だった。妻は何者かに絞殺されたのだ。容疑者となった男が自分のアリバイを証明するためには、行動をともにした女の証言が必要だが、彼はまったく彼女の容姿が思い出せない。ただ覚えているのは、彼女が奇妙な形の帽子をかぶっているということだけだった。
ちょいと停滞していましたが、ランキングの第4位です。このペースだと100位まで読むのに10年くらいかかりそう、ということに今頃気がついた。かえって、のろのろペースの方が長続きするかもしれないね。
さて、有名なフレーズ(私は知らなかったのですが)「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」で始まるサスペンスです。最初は男が街をぶらぶらして、女性をナンパしているだけで、「何やってるんやろ、この人?」って感じだったんですが、要するに夫婦喧嘩の挙句、妻に「別の女をキミの代わりに連れていくさ!」と啖呵を切って出てきた男(スコット・ヘンダースン)が、言葉通りに女性をナンパしたという流れだったんですねー。で、ごはんを食べてショーを見て、一杯飲んで、家に帰ったら、刑事が待ち構えていた!ぎゃあ、怖い!妻は彼のネクタイで絞殺されていた。当然第一容疑者になった男。夫婦仲は冷え切っており、彼には若い恋人(キャロル・リッチマン)がいて離婚話が出ていたのだ。動機は十分。彼はもちろん、その時間はバーで女性をナンパしていたとアリバイを主張する。刑事たちとともに足取りをたどり、女性の目撃者を探すが、皆が口を揃えて言う。「彼は覚えているが、連れの女性はいなかった。」彼のアリバイは立証されず、下された判決は死刑。
死刑の日が刻々と近づく中、彼を刑事の一人(バージェス)が訪ねる。時間がたって、男の無罪を信じるようになったが、自分は他に仕事があるので個人的な捜査はできない。そこで、親友に調査をしてもらってはどうか?というのだ。なんなんだ、その言い訳は。笑。と思ったけど、ある策略があったんですねー。そこで、親友(ロンバード)が彼のために一肌脱ぐのです。
たしかに、自分は誰かと過ごしたはずなのに、その誰かを自分も覚えていなければ、店の人間もタクシーの運転手も覚えていない、という不可解さ。そして、捜査を進めていくうちに、彼を陥れようとする意思が見え隠れする恐怖。実は、関係者は口封じとして、お金をもらっていたのです。関係者は次々に事故にあい、または殺害されていきます。まあ、この辺から、ちょっとおかしいな・・・と言う気はしてたんですけどね。でも、あんたはきっと良いヤツだって信じてたのに、ロンバード!ひどいや、ロンバード!
そうなんです、真犯人は親友のロンバードやったんです。ロンバードは男の妻といい仲になっており、今回の海外転勤で彼女を連れ去ってしまおうと考えていたそうなんです。しかし、本気だったのは彼だけで、彼女にとってはただの遊び。自分の純情を大爆笑された彼は激昂。犯行に及んでしまったというわけです。若い彼女を作った男も男だけど、この奥さんも結構ひどい人だよね・・・。男と親しい人間が怪しいと睨んだバージェス刑事は、わざとロンバードを呼び寄せて、証拠隠滅をはかるように仕向けたというわけなんです。最後にバージェスの株が急上昇。めっちゃ粋な計らいです。
1940年代くらい?のニューヨークが舞台で、古い映画を観ているような感覚でした。電車や街並みの描写、女優さんの話とかバンドマンとか・・・。夜の街はにぎやかで、退廃的で、一瞬で終わってしまう。
毎度ネタバレ全開ですが、幻の女の正体だけは秘密にしておこう。まあ、なんてこと無かったし・・・。
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