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読書の記録です。

「アクロイド殺し」

アガサ・クリスティー/早川書房

名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。

当時、大きな反響を呼んだ1冊。叙述トリックになるのかな?
テレビでおなじみの名探偵ポアロですが、テレビで見たこともなければ、本を読むのも初めてです。ポアロも結構謎解きをじらしますね・・・笑。エルキュール・ポアロはベルギー南部のフランス語圏出身という設定で、英語は不慣れな描写があったりします。時々フランス語をはさんで話すって、ルー大柴みたいな喋り方なのかなあ。本人曰く、イギリス人を油断させる作戦だとか。・・・油断するのか?推理を働かせるときは、「灰色の小さな脳細胞」が活動するらしいです。普段使ってないところを使えってことなのかな?この決めゼリフがいまいちピンと来なかった・・・。
さて、シリーズ3作目では、ポアロの隠居先で起こります。土地の名士であるロジャー・アクロイドが何者かに刺殺された。その少し前に結婚間近と思われていたフェラーズ夫人が自殺しており、フェラーズ夫人の前夫も数年前に薬の過剰摂取で亡くなっていたことが判明する。容疑者全員が、何か秘密を抱えており捜査は難航する・・・。事件後、姿を消したラルフ・ペイトン(アクロイド氏の養子)の婚約者フローラ・アクロイド(アクロイド氏の姪)が、ラルフの嫌疑を晴らすため、ポアロに捜査を依頼する。
ざっくりネタバレしてしまうと、犯人は語り手(と思わせておいて実は手記)なんです。語り手が犯人だと都合の悪いことは書かないのではないか。読者に対して、フェアかアンフェアか?という意見があるようです。うーん、今回は、鈍い私にも犯人がわかったくらいなので(わからなかったのは、犯行現場で何をしたか)、フェアじゃないかと思います。本筋の謎よりも、アクロイド家の人々のあれやこれやがおもしろかった。ラルフ・ペイトンが実は結婚してたとか、ラッセルさんには隠し子がいるし、執事のパーカーはお金を狙っていた!フローラはお金を盗むし・・・。他人の家のゴシップ。キャロラインじゃなくても、おもしろいと思いますよ。
なんで表紙が電話なのかなあと思っていたのですが、トリック解明の最後のカギだったからかー。彼がトリックを完成させるためには、もう一度犯行現場に戻る必要があり、その口実として使ったのが電話なのです。録音機械も出てきて、今だったらICレコーダーとかあるし、ポケットにいれて持ち歩けるのになあと思ったりした。
最後にポアロが犯人に意外な提案をするところまでは、楽しく読んでいたのですが・・・。ポアロ、一体どうした!?「あーあー、こんなことになって、お姉ちゃんは悲しむだろうなあ。でも、まだ睡眠薬の飲みすぎって手があるぜ・・・。まっ、あとはオレがもみ消しておいてやるから、安心しなよ・・・。」・・・その筋の方風に言うと、こんな感じでしょうか。探偵の行動としては言語道断だし、なんとなく、お姉さんにはすべてお見通しだと思うなあ。


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