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読書の記録です。

「ダメをみがく」

津村記久子・深澤真紀/紀伊国屋本店

最初の会社をパワハラで退社した芥川賞作家と、150社以上就職活動と転職活動をした経験をもつコラムニストが、世間知らず・不器用、KYなままでも、なんとか社会で生き延びていくための技術を語り尽くす。世の中をすいすい渡っていけないことに悩む、すべての女性に捧ぐ。

津村さんの本はエッセイと小説を1冊ずつ読んだのだけど、事務員の日常だけで十分おもしろいもんだなあと感心した記憶がある。津村さんと深澤さんの仕事や生活における女性についての対談集。自分は地味で女性として・・・うーん・・・・という残念な感じなのだけど、そもそも、この「女性として残念」と思うこと自体が、一般的に「女性とはこうあるべき」というカテゴライズに自分が縛られている証拠かなと思います。
お二人は、言うほどダメダメというわけではなくて、ただこのカテゴライズからはずれているというだけ・・・なんですかね。津村さんは、マイペースな考え方がいいなあと思って読んでいたんですが、深澤さんは、何か力強い?というか・・・「私たちってダメだよね!」と何度も力説されると、そんな一生懸命ダメダメ言わんでも・・・という気持ちにはなりました。笑。
おそらく大まかな結論は、みんながもっと他人に対して寛容になれたらいいよねー。という話でいいと思います。自分にも優しく、他人にも優しく。がんばれる人は、がんばったらいいし、そんなにたくさんのことはできない!という人は、ほどほどのことをしたらいいんだよね。それを、お互いの立場の人が尊重しあっていければいいなと思います。今の日本は個々が自由なライフスタイルを実現するという流れとは逆行してて、それが残念ですね・・・。
「子供がいないからわからない」というのは、子供がいない女性は誰しも一度は言われたことがあると思います。それを言われると、もう、何も言えないですからね!「じゃあ、子供の話すんなよ!」とも言えないですからね!しんどい。ちょっとその部分を抜粋。

「津村:そうやって、自分が持ってるものを見せて、「これを持ってないのはあんたが悪い」って言いたがる人はいます。それがわりと根っこに近い部分の、家族がうまくいってるとか、子供がかわいいとかになってくると、もうどうしようもないし。
 深澤:どうしようもないよね。
 津村:その人がそう見られたいっていうその言い分を信じるしかないし。でもそんな運の要素もかなりあるものを持ってない人に「持ってないからあんたはダメ」って言う人なんて、見上げたもんではないと思いますけどね。
 ~中略~
 津村:私は、子供の話を聞くのが好きなんで、わりといろんな人に訊くんですけど、単純に「うちの子供はこういう生活ぶりである」っていう個人の話は楽しいし興味深いです。ですが、「子供を持っている自分」を属性化して相手に勝とうとするっていうか、それを持ってない人を見たときに「自分はうまくいってる」ってことを言って場の序列をつくろうとする人は、やっぱなんかありますよ。そういう人がしゃべってきたときの営業トークみたいなの持ってたらいいですね。
 深澤:たしかに営業トークで流すしかないですね、「ほんとに羨ましいですよ」とか。
 津村:私が、社会人になってたくさん心にもないことを羨ましがってきたように(笑)。」

すげー、よくわかる!笑。まあ、ここまで極端な人は珍しいかもしれないですが、「子供はいいよ」とか「結婚はいいよ」とか。反論したら負けなので、できることは愛想笑いだけ。つらいね・・・。
他に、私は先輩から「女に生まれたからには、子供産みたいよね」と同意を求められて、びっくりしたことがあります。その人にとっては、そこが目標なのかな?とか、出産はしなければならないこと、って考えるのってしんどくないかな?と、理解はできるけど同意はできない。笑。こういう人が頑張って、どんどん子供を産んだらストップ!少子化!になるなーと思っていたら、子供1人で離婚しました。まあ、そんなもんなのかもしれません。
津村さんの、「とりあえずノートに書く」は実践したいな。周りに歩調を合わせるのに疲れたときに読むといいかもしれません。最後に、津村さんの名言をどうぞ!


「大人だから耐えてやってるんだよ、調子乗んなよ!」


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