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読書の記録です。

「鴨川食堂」

柏井壽/小学館

京都・東本願寺の近くにあるというその食堂には看板がない。食堂を切り盛りするのは、鴨川流とこいしの親子二人。この食堂では、もう一度食したい食べ物の味を少ない手がかりから再現してくれるという。店に辿り着く手がかりはただひとつ、料理雑誌に掲載される<“食”捜します>の一行広告のみ。

京都・食の探偵。食堂と探偵事務所は分かれていて、食堂は流(父)が切り盛りして、探偵事務所はこいし(娘)が所長ということなんですが・・・。こいしは依頼人から話を聞くだけで、実際に料理を探してきたり作ったりするのは流なんですねー。・・・こいしの存在意義はどこに?しかも「難しいかもわからへんわ。」と後ろ向きだったり「頑張って探しいや」とエラそうだったり、コメントは一丁前なもんで余計イラっときますね。笑。お前何もでけへんのやったら、だまっとれ!という感じです。
お料理を探すのはもちろん、その人の大事な思い出まで蘇らせる流さんの手腕はすごいですね!元刑事という経歴だから、食探しもお手の物なのか?元刑事・・・ハリウッド映画だったら元FBIは事件に巻き込まれたり、家族が人質になっちゃうところですが、今のことろそういう展開はなさそうです。笑。亡くなった奥さん一筋のようで。
しかし、謎解きの過程はあっさりしすぎで物足りなかったですね。もうちょっと謎を考える尺がないと、これをミステリーと呼ぶのは厳しいところ。料理は「ナポリタン」の印象が大きかったかな。鉄板の上でジュージュー焼けるナポリタン・・・。想像しただけでヨダレが出そう・・・。あとは「とんかつ」も良かったかなー。衣へのこだわり!「ビーフシチュー」もおいしそうでした。
鴨川食堂は初めてのお客さんは、流さんの「おまかせ」のみになるのですが、このおまかせが一番おいしそうでした~。色々なお料理が少しずつ楽しめて、ご飯もおいしそうだし、椀物もステキだし、食後のお茶までおいしそうでした。
最初に書いた、何もしない所長・こいしと、報酬の価格設定をお客さんに決めさせるシステムはいかがと思いますが・・・。あと調査は2週間で何とかなるもんなの?という疑問も・・・。まあ、料理がおいしそうだったので、グルメ人情小説と考えれば良いのかなあ。


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