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読書の記録です。

「てるてるあした」

加納朋子/幻冬舎

親の夜逃げのために高校進学を諦めた照代。彼女は、遠い親戚を頼って佐々良という街で暮らし始める。不思議な出来事が起こる日々を、彼女を取り巻く人々と季節の移り変わりを通じて鮮明に描いた癒しと再生の物語。

佐々良!ということは・・・と思ったとおり、サヤさんが登場~。
登場人物に思い入れがあるというより、“ささらさや”はとても感動的だったので、期待できそうだと思いました。そして、実際ええ話でした。
主人公・照代はどん底の真っ只中。見るもの、聞くもののすべてがうらやましくて妬ましい。少々被害妄想気味の照代さん。かわいくない態度をとってしまいますが、それがすごく良くわかる。特に、サヤさんみたいな、誰からも愛されるような人がいたとあっては、そりゃ自己嫌悪に陥りますわな。
逆に居候することになった、遠い親戚の久代さんは自分にも他人にも厳しい元教師。久代さんと照代。どちらも頑固で、素直じゃないから、歩み寄るのに何倍もの時間がかかってしまいます。だからこその感動が最後に待っています。
照代の頑なな心が、徐々に解きほぐされていく過程をぜひ読んでいただきたい。前に読んだ本(鏡姉妹の~)が殺伐としているだけに、あたたかさを2倍に感じました。笑。
「ありがとう」と「ごめんなさい」はとても大事な言葉なのです。ちゃんと言えてますか?


「てるてるあした、今日は泣いても明日は笑う」


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