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読書の記録です。

「七人の武器屋 激突!武器屋vs武器屋!」

大楽絢太/富士見書房

ミニィちゃんは初恋の武器屋・レイのことで頭がいっぱい。ノンは義理のばぁちゃんにこき使われ。イッコは謎の「サンク・マリカ病」でダウン、情報面でも完全に取り残され…相当厳しい状況だけど、オレ達は、優勝するしかない!!

世界横断ウルトラクイズ(だったと思う)の予選を思い出したよ・・・。○×クイズ・・・。
その後はちゃんと武器屋らしい戦いでしたなー。
「天下一武器屋税」って、そんなめちゃくちゃな・・・!うーん、私はデルガドには住めないなー。笑。買える武器自体がどの店も一緒なら、税金払うよりそのお金で別の武器買うよなあ・・・。とか、武器アートって、ある意味武器への冒涜でないの?と思ったり。武器で料理ってどうなん・・・?と現実的ツッコミのオンパレード。
前作からだいぶ間があいてしまったのですが、すぐに物語に入り込める勢いが良いです。登場人物のリアクションもおもしろいのですが、マーガスのつっこみがおもしろいんだわ。アイコンタクト・「復唱!」に笑ってしまったー。
残念だったのは、女性陣の悩みに共感しづらかったところ。相変わらず、初恋の人に魂抜かれすぎだし、お母さんが心配だからって自分が寝込むかなあ・・・。嫁姑は大変だろうけど・・・。
友情あり、恋あり、熱いバトルあり。最近ライトノベルが忘れかけている、原点みたいなものが感じられて、私はこのシリーズすごく好きだなあ。次で1部完っていうのがすごく意外でした。あと二人表紙飾ってないのになー、と思っていたら、第2部がスタートするらしいですね。ケンジの1人称かー。・・・5巻を読む前に、あらすじがわかっちゃったよう・・・。


「なんかいろいろあったけど・・・・・・やっぱりアタシ達は、またこうして七人揃って、ここに立ってる。」
なんだかんだで、男前なイッコさんが復活して、良かった良かった。


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「カクレカラクリ」

森博嗣/メディアファクトリー

郡司と栗城はトロッコ&廃墟マニアの大学生。真知花梨に思いを寄せていた栗城は、郡司とともにそこに行きたいふりをして彼女の実家に泊めてもらう。夏休みを利用して訪れた彼らは、その村に伝わる「カクレカラクリ」の言い伝えを聞く。

表紙の森のイメージから、少し怖い話なのかと思っていたら、これがすごい見当違い!あー、「ダ・ヴィンチ」に広告が載ってたのは見たんですが、真面目に見てなかったしなあ。あれ、ドラマにもなってたんだっけ?出演者に興味がなさすぎてスルーしてましたけど・・・。とにかく、私の先入観とは違い、さわやかな感じのする物語でした。そして、意外にコカ・コーラの存在感が強い。笑。これ、サイダーとかラムネに変えると違和感感じちゃうんだろうなーとか考えてしまった。ラムネの方がおいしいのにー。
廃墟とか、古いものにときめく気持ちは、わからんでもない。ときめくというか・・・。ぼろぼろの小屋とか気になりますよね。なんか存在自体が。あとは、生きているうちに、トロッコには乗っておきたい。トロッコ楽しそうだー!工学部は女子の数が少ないので、誰でもマドンナと言えばマドンナらしい。という話を聞きました。あ、理系の女子は怒ってはいけないですよ。そうでなくとも、メカに強い女子はステキですから!メガネに白衣の女子もステキ・・・。試験管とか振って欲しい。という私の好みはどうでもいいですか。笑。萌絵さんを彷彿とさせるお嬢様キャラが登場します。うーん、森さん、実は女性キャラクターの引き出しが少ない?私は、郡司君の飛躍する会話が好きでした。
暗号は、言われてみればなるほど!という感じ。あれは、気付いている人多そうだなあ。なんてことないカラクリだったわけですが、無意味なものほどおもしろい、と言うではありませんか。大学生になってもこんな宝探しの大冒険ができるなんて、うらやましいぜ。どこかに伝説は落ちとらんか。夏休みはどこだ~。(しつこい)


「一般に、存在を証明することは、存在しないことを証明するよりもはるかに容易である。ただ一つそれを見つけ出せば良い。ただ一度それを目撃し、ただ一度それに触れれば良い。それが存在の証明になる。しかし、存在の証明ができないというだけでは、存在しないことの証明にはまったく不充分なのだ。それゆえに、悪魔、天使、精霊、霊魂のたぐいの存在を信じる人々が絶えない。」


「笑酔亭梅寿謎解噺2 ハナシにならん!」

田中啓文/集英社

竜二は若手噺家のグランプリを決める「O-1」の決勝に出場することになる。東京の落語、テレビで活躍する噺家、客のエネルギーを「トリ」に集中させるための「モタレ」など、更にバラエティ豊かに進化する本格落語ミステリー短編集。

前作が気に入ったので、いそいそ続きを借りてきましたー。
竜二の世界も広がって、テレビ出演、ラジオ番組とまるでどこぞのタレントのようです。正直、このあたりの展開は、読んでいて気持ちの良いものではなかった。私、あれもこれも、いうのはあんまり好かんのです。だから、竜二なにやってるんじゃーって、やきもきしていたのですが、最後に落ち着くところがやはり落語で良かった。どの話も、いい終わり方をしていて、そこがいい。うん。
まあ、彼の気持ちもわからんでもないのです。迷いがある時は、隣りの芝生が青く見えるというか。優れているように見えるもんです。
ミステリーの面よりも、落語とか芸の世界と、そこに生きる人たちの姿が強調されているように感じた今作。関西と関東の違いなんか、おもしろかったなあ。
相変わらず、師匠の暴走っぷりが最高です。何度笑わされたことか・・・!たぶん続きが出るだろう展開だと思うので、また新作が出るのを楽しみにしたいと思います~。
他の落語の本も読んでみたいし、落語のCDも聞きたいなあ・・・。うーん、寄席を見に行きなさいって言われそうだ。


「ハンプティ・ダンプティは塀の中」

蒼井上鷹/東京創元社

第一留置室で繰り広げられるおかしな謎解き合戦。必ず最後に真相に辿り着くのは、誰よりも胡散臭いマサカさん!?留置場版日常の謎(?)など愉快な五編を収録した連作ミステリ。

何故か、長編だと思い込んでいた本。蒼井さんの長編だー、と楽しみにしていたのですが・・・。短編集でした。しかも連作でした。連作のミステリーは今ではもう主流で、連作でない短編集の方が珍しいような気がします。そんなわけで、蒼井さんの短編集は色々な味が楽しめていいなあ、という感じだったのですがー。
舞台は、刑務所、ではなく留置所(拘置所?)。この辺、私も無知だったんですが、この2つ別施設だったんですねー。いつか、みんな処分が決まってここを出て行く。その限られた時間の中で、色々な人が出たり入ったりの出会いがあるようで。メンバーの入れ替わりがあることが、新鮮さを演出していて良かったです。地味に「古書蒐集狂は罠の中」なんか好きでした。「殺人予告は二日前」はややこしくて、頭の中がごちゃごちゃしたなあ。
決してつまらないというわけではなく、おもしろかったです。特に、最後のブラックな謎解きは、蒼井さん節全開という感じで。しかし全体的にフツーだなー、という印象は拭えず。マサカさんもワイさんも、登場人物にそこまで魅力を感じなかった、という点も残念でした。


「夜市」

恒川光太郎/角川書店

大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。

ホラーのなんかの賞をもらっていた作品。・・・アバウトすぎてすいません・・・。
まっ、とにかくホラーだよな。どう責めてくるか?と構えて読んでいたのですが、これが全然怖くない。夜市で、人間の生首が売られていようが、異形のものがいようが、それすらもファンタジック。暗闇に浮かぶ、夜店のぼんやりとした明かりが目の前に浮かぶようでした。そして、最後のどんでん返し!弟の思い、兄の後悔がなんだかせつなくてねー。何ともいえない、しっとりした読後感でした。
もうひとつのお話「風の古道」は、日常の隙間から、非日常(異世界)に入り込んでしまいます。「世にも奇妙な物語」を思い出しました。きっかけはいつもふとしたことで、もしかしたら、この次の瞬間、私は別の世界に入り込んでいるかもしれない、という少しぞくっとする感覚。こちらも最後にどんでん返しがあります。でもね・・・。やっぱり一番最後に残るものは、悲しさなのです。しんみりします。
うーん、ホラーにも色々あるんやなあ。見直すきっかけを作ってくれた平山夢明さんに感謝。気の向くままに、またホラー読みますぜー。


「いかなる奇跡を用いようとも、生を得るとはそういうことではないのですか?そのはじまりから終りまで、覚悟と犠牲を必要とする。」