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読書の記録です。

「鋼殻のレギオスⅩ コンプレックス・デイズ」

雨木シュウスケ/富士見書房

甘い香りとともに、今年もまたツェルニにその日がやってきた。愛の告白の代わりにお菓子を贈るバンアレン・デイ。その宣伝ポスターの前でフェリは呟き、無表情のままため息をつく。同じ頃、ニーナはディックと名乗る、不思議な雰囲気を漂わせた青年と出会う。その出会いが、後にもたらす真の意味を知らぬままに・・・。

6巻からジャンプして10巻でーす!
約1年に1冊ペースなので、そのたびリセットです。もうちょっとまとめて読まないとダメやなあ。ところでレギオスってもう終わったらしいですねー。25巻まであるらしいですねー。・・・にじゅうご冊も・・・。
今回は短編プラス中編で、本編の補足のようなエピソードでした。特に短編のペラペラさ加減といったら・・・。笑。バレンタインデーの悲喜こもごもな話。ここで注目すべきは、ニーナ先輩のモテモテ具合!女子高のノリやなあ。みんながチョコをあげたいレイフォンは、倉庫荒らしの犯人を捕まえるため自警団の手伝い。これはシャンテが生まれ故郷のハトシアの実に反応したためで、そのシャンテを捕獲するために狼面衆がこそこそ動いていたようです。シャンテは興奮すると大人になるよ!という話です。
そして中編は、ディック先輩登場&ニーナの幼少時の話。そうです、私がぶつぶつ文句を言っていたディック先輩登場の回です。これで少しは話の展開がわかるかいな?と思ったんですが、全然わからんやん・・・。ディック先輩はあっちの世界の人らしいです。えーと、あとニーナに技を教えてくれて・・・。とにかく、ニーナやツェルニの味方ってことで理解しておきます・・・。サヴァリスも出てきたけど、シャンテに興味があるようで。シャンテはこれから話に関わってくるのかな?なんだか情報の出し方がイマイチ・・・。
ニーナ先輩の幼少時は超かわいかったです。家出でクッキー買おうとか超かわいい。ニーナあってのレギオスです。ニーナがいなかったら、もう読むのやめてますね(断言)。


「わたしは、わたしだ」
そう、あなたはあなた。私は私。カモメはカモメなのです!


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「死と砂時計」

鳥飼否宇/東京創元社

世界各国から集められた死刑囚を収容する、ジャリーミスタン終末監獄。親殺しの罪で収監されたアラン青年は、“監獄の牢名主”と呼ばれる老人シュルツと出会う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となって、監獄内の事件の捜査に携わるアラン。死刑囚の青年と老人が遭遇する、摩訶不思議な事件の数々。

久しぶりに鳥飼さんの本を読みました~。
舞台は監獄。被害者も犯人も監獄の中!という特殊な状況での殺人事件です。主人公は親殺しの罪で死刑となったアラン。彼はジャリーミスタン終末監獄に送られる。そこで不可解な事件が起こり、アランは監獄の長老・シュルツの助手となり事件を捜査することになるのです。
「魔王シャヴォ・ドルマヤンの密室」死刑の執行日が決定した2人の確定囚が、独房の中で殺された。ほっといても殺される2人を何故わざわざ殺す必要があったのか・・・。びっくり人間にだけ可能なトリック!しかも絶対にフルヌードにならなければならないという・・・!なんてハードルの高い犯罪なんだ・・・。
「英雄チェン・ウェイツの失踪」海外で天才詐欺師が脱獄して、気が済んだから戻ってきました・・・みたいなニュースを見ましたが、このお話で脱獄したチェンも実は戻ってきていたというオチ。ジャリーミスタン終末監獄では、囚人にチップを埋め込んで管理しており、立ち入り禁止区域に入るとものすごい電流が流れる仕組みになっています。そのため脱獄は不可能と思われていたのですが、チェンは見事脱獄に成功します。体格のいい看守をおもりにして・・・というのは想像がつきましたが、チップの埋め込んであるところにはびっくりでした。目玉をえぐり出さないといけないんだぜ?
「監察官ジェマイヤ・カートレッドの韜晦」これは印象に残ってないなあ。なんか人騒がせだなと思ったような・・・。要は自殺ですよね?
「墓守ラクバ・ギャルポの誉れ」死体の埋葬を引き受けていたギャルポ。しかし、彼が墓を掘り返し、死体を食べているのではないかという疑惑が浮上する。ただの宗教観の違いだったんだけど、ギャルポがジャリーミスタン語を理解できなかったため、コミュニケーションが成り立たず事態を複雑化してしまった。土葬も鳥葬もいやです。火葬して欲しいです・・・。
「女囚人マリア・スコフォールドの懐胎」女性の囚人が獄中で妊娠したらしい。彼女が収監されてから13ヶ月が経っているので、収監される前の妊娠とは考えられない。謎を解くためシュルツとアランは女囚が収用されているエリアへ向かう。このマリアという女性はアランの幼なじみで、アランに好意を寄せているのですが、この好意が屈折した愛へと変化したんですね・・・。アランがかわいそうで、女医さんが無駄にセクシー。そんな話。これってある意味レイプなんじゃないの?
「確定囚アラン・イシダの真実」ついにアランの死刑が執行されることになった。死刑当日まで砂時計で時を計りながら空ろに過ごすアラン。そして明かされるシュルツ老の正体。とうとう死刑執行か・・・というところで、逆転につぐ逆転。なんと死刑はお金持ちに向けたショービジネスだったのです!あるある!黒幕は、ジャリーミスタンのえらい人。あるある!死刑執行直前にアランを助けにきたシュルツ老人。相討ちになって、アランだけを逃がそうとする。あるある!というあるある展開が続きましたが、最後の1行がもう一回物語をひっくり返しました。シュルツ老人には絶対何かあるぜ。こいつは犯人の香りがする・・・。と思っていたのですが、想像を上回るマッド・サイエンティストでした。彼にとっての子供とは、ウィルスだったんですねえ・・・。後半、アランがかわいそうだったなあ・・・。


「塗仏の宴 宴の始末」

京極夏彦/講談社

「成仙道」の幹部・刑部を前に、家族を“喪った”男・村上貫一は大きく揺れた。同じころ、「韓流気道会」の毒手は、突如消息を絶った木場を追う二人の刑事、青木と河原崎へと伸び、華仙姑処女は“開かずの間に居たモノ”にまつわる戦慄の体験を語りはじめる。

支度に続きましての始末編。
京極堂曰く、これは自分の事件である、と。そして、この現象を解消するには、関係者を全員揃えなければ、憑き物落としは成功しない・・・。関係者が韮山に向かうなか、タイミングにずれが生じないように頑張る京極堂一派。
なぜ、これが京極堂の事件かというと、背後には戦時中、京極堂が所属していた軍隊が関係しているからなんですね。それぞれの派閥の側近が、それぞれ過去軍隊で催眠術やら薬剤やらの研究をしていたようです。そして、敵対していた新興宗教団体とか怪しげな団体とかの派閥のボスは、過去に戸人村に住んでいた佐伯家の面々だったのです。佐伯家の人々が、抱えていた鬱屈した思いに目をつけ、催眠術で過去を書き換え「そうであるように」巧みに誘導していたのです。なんで、佐伯家が軍隊に目を付けられたかというと、不死の言い伝えのある「くんほうさま」が家宝として伝えられていて、この調査のために邪魔だったから・・・だそうで。そして、すべてを裏で操っていたのが堂島という男。彼がこの一連の出来事の黒幕だったのです。
なんか、すごいざっくりしたまとめになっちゃいましたけど・・・。いつものことか・・・。
催眠術で最後まで押し切りましたね!薬もあったか。催眠術ってどうなんですか?かかるんですか?かかり続けるんですか?と疑問に思いながら読んでいたんですけれども。しかし、分冊で6冊読んできた最後が催眠術でしたは・・・。脱力ですねえ・・・。皆殺しじゃなくて殺されたのは一人だけだったし・・・。で、佐伯家の嫁さんが産んだ甥(親戚の人?)の子供が藍童子となって、その藍童子を京極堂のように、演説家・・・ではなく、憑き物落としにしようとしているのが堂島さん。京極堂をもう一人作ってどうすんの?新興宗教団体でも立ち上げるのか?なんかよくわからんとです。古本屋でないことだけは確かだ。笑。
くんほうさまを蹴り飛ばす榎さんにほれぼれしつつ、結局ほったらかしの関くんなんだよなーと同情してました。どうやら釈放されるらしいです。良かったね。
次は百鬼夜行の予定。


「鴨川食堂」

柏井壽/小学館

京都・東本願寺の近くにあるというその食堂には看板がない。食堂を切り盛りするのは、鴨川流とこいしの親子二人。この食堂では、もう一度食したい食べ物の味を少ない手がかりから再現してくれるという。店に辿り着く手がかりはただひとつ、料理雑誌に掲載される<“食”捜します>の一行広告のみ。

京都・食の探偵。食堂と探偵事務所は分かれていて、食堂は流(父)が切り盛りして、探偵事務所はこいし(娘)が所長ということなんですが・・・。こいしは依頼人から話を聞くだけで、実際に料理を探してきたり作ったりするのは流なんですねー。・・・こいしの存在意義はどこに?しかも「難しいかもわからへんわ。」と後ろ向きだったり「頑張って探しいや」とエラそうだったり、コメントは一丁前なもんで余計イラっときますね。笑。お前何もでけへんのやったら、だまっとれ!という感じです。
お料理を探すのはもちろん、その人の大事な思い出まで蘇らせる流さんの手腕はすごいですね!元刑事という経歴だから、食探しもお手の物なのか?元刑事・・・ハリウッド映画だったら元FBIは事件に巻き込まれたり、家族が人質になっちゃうところですが、今のことろそういう展開はなさそうです。笑。亡くなった奥さん一筋のようで。
しかし、謎解きの過程はあっさりしすぎで物足りなかったですね。もうちょっと謎を考える尺がないと、これをミステリーと呼ぶのは厳しいところ。料理は「ナポリタン」の印象が大きかったかな。鉄板の上でジュージュー焼けるナポリタン・・・。想像しただけでヨダレが出そう・・・。あとは「とんかつ」も良かったかなー。衣へのこだわり!「ビーフシチュー」もおいしそうでした。
鴨川食堂は初めてのお客さんは、流さんの「おまかせ」のみになるのですが、このおまかせが一番おいしそうでした~。色々なお料理が少しずつ楽しめて、ご飯もおいしそうだし、椀物もステキだし、食後のお茶までおいしそうでした。
最初に書いた、何もしない所長・こいしと、報酬の価格設定をお客さんに決めさせるシステムはいかがと思いますが・・・。あと調査は2週間で何とかなるもんなの?という疑問も・・・。まあ、料理がおいしそうだったので、グルメ人情小説と考えれば良いのかなあ。


「神去なあなあ夜話」

三浦しをん/徳間書店

100年先を見据えて作業をしている、神去村の林業の現場。そこへ放り込まれた平野勇気も、村で暮らして1年が過ぎ、20歳になった。山仕事にも慣れ、憧れの直紀さんとドライブに出かけたりもするようになったけれど・・・。

前作の「~日常」がおもしろかったので・・・。いつの間にやら映画化もされてますねー。
今回は、神去村のクリスマス~年明けで、勇気と直紀の恋の行方が描かれます。・・・まあ、なんやかんや言っても、ハッピーエンドだろ・・・と思ってましたよ。ふっふっふっ。
他にも、神去村の昔話。ヨキと清一さんの両親が亡くなった事故について。ヨキとみきさんの馴れ初め。神去村のクリスマス!と神去村マメ知識がいっぱいです。むく犬のノコも元気だよー!
事故の話はヘビーで、子供の頃に両親を亡くすことって想像できないくらい大変なことだけど、その中でがむしゃらにでも頑張ってきた彼らはすごいなと思う。ヨキとみきの馴れ初めはワイルドで、さすがのみきさんの粘り勝ちでした。相手にされてなくても、フラれても、この人じゃなきゃイヤだ!と頑張れる人がいるってすごいなあ。しかも、あの神去村の狭い範囲内で見つかるとは。笑。そして、決して折れない心。見習わなくては!
子供が少ない(というより、山太ひとり?)の神去村のクリスマス。とうとう小学校で「クリスマス」「サンタ」「プレゼント」というキーワードを聞いてしまった山太。山太のためにクリスマスパーティを企画する大人たち。神去村は、林業が盛んで山には木がたくさんある。だけど、モミの木は・・・ない!そこで用意された赤松。笑。赤松を飾りつけってシブいなー。そして山太へのクリスマスプレゼントは・・・清一さんお手製の木で作ったロボット!でも、山太は赤松ツリーも木のロボにも大喜び。ええ子やなあ。獅子舞の話には吹き出してしまいました!確かに、夜中に獅子舞が登場したら悪夢やと思いますね。ちびりますね。笑。
繁ばあちゃんも超かわいかった!ラブシーンは納屋ですか・・・。笑。パスワードに気付くのはいつになるのかしら。っていうかパスワードを見破られた時点で、「shige」に変える勇気もいいよね。
過疎化だ斜陽産業だと言われる業界でも、人手不足はただ人が来ればいいとか、売れないものが売れればいいとか、そういう解決方法じゃダメなんだよなあ。私、素人なのでエラそうなことは言えませんが・・・。勇気のように、この土地を理解して仕事に誇りを持って、村の人々を愛してくれる若い人々の力が本当の村の力になるのかな?と思いました。
本を読んでぼんやりと未来を思うことはありますが、現実の自分の祖先や子孫のことなんてあんまり考えないよなあ。もしや私は終末思想者?と思ったりした。結論→田舎暮らしは大変です。