忍者ブログ
読書の記録です。

「KAIKETSU!赤頭巾侍」

鯨統一郎/徳間書店

正義の味方・赤頭巾侍。悪漢を切り捨てた後に苦しまぎれの“こじつけ”推理が炸裂!!早トチリの剣豪の活躍を描く、異色の時代ミステリー。

短編なのですが、パターンが毎回同じ。
“風が吹けば桶屋が儲かる”(井上夢人)も同パターンを繰り返す短編集でしたが、非常におもしろかった。しかし、これはいまいちでした・・・。
悪人が人を殺したと予想できるシーン→事件が一太郎の耳に入る→勘太に犯人を聞く→一太郎、悪人を斬る→翌日、自身番へ行く→小田から悪人は下手人ではないと聞く→勘太逃げる→一太郎、推理を披露する→筆学所での講義
話の流れはこんな感じです。勘太の言う犯人を即斬りに行く。しかも毎回。実際犯人だったから良かったものの、関係ない人だったらどうするの。かなり危険人物。こじつけ推理が売りなのでしょうが、それも霞むほどのマイナスイメージ。ついでに言うと、ゲイ要素も微妙にマイナス・・・。
それにしても、犯人を一太郎に教えてあげた勘太こそが真の名探偵ではないかと思うのですが、いかがでしょう。


PR

「九月は謎×謎修学旅行で暗号解読」

霧舎巧/講談社

九月。2年生は修学旅行で京都を訪れる。琴葉と棚彦は理事長のさしがねにより、京都の六角屋敷で秘宝を探す羽目に。手がかりは六枚の地図とプリクラ。プリクラに書かれた暗号を解く鍵は?

今度はプリクラシールです。相変わらず微妙な演出だなあ。
いつもよりボリュームアップした本作。内容も、3人の探偵役による謎解きで、なかなか読み応えがありました。琴葉チームと保チームの暗号が、全く一緒なのにアプローチの仕方が違ってておもしろかった。暗号ってこじつけだよなあ、としみじみ思いました。あと、叙述トリックは高確率で騙されるから非常に悔しい。
いつも思うのですが、琴葉ママこと羽月警視は邪魔ですねー。潜入捜査って・・・もっと下っぱがやるものではないのかい?事件の度にふらふらどっかいっちゃうなんて、何て使えない上司なんだ。部下の方々に深く同情します。
ラブコメは停滞気味。もはや学園の伝説などどうでもいいような気がします・・・。


「蒲公英草紙」

恩田陸/集英社

舞台は20世紀初頭の東北の農村。旧家のお嬢様の話し相手を務める少女・峰子の視点から語られる、不思議な一族の運命。切なさと懐かしさが交錯する感動長編。

常野物語というシリーズの一部のようです。読むのははじめて。
超能力者の一族の話なわけですね。
途中までのだらーっとした雰囲気から一転、後半のシビアな展開に驚きました。もっと生ぬるく終わるかと思っていたので。うーん、ファンタジーとしては中途半端・・・。特に感動もしなかった私としては、結局これは何なの?という感想しかなく・・・。いまいちでした。表紙はかわいいのに。
読後はその後の展開が少し気になりましたが、今となってはかなりどうでもいいですね。


「心とろかすような」

宮部みゆき/東京創元社

ジャーマン・シェパードの老犬マサと蓮見探偵事務所の面々が遭遇する5つの事件。様々な人間たちの実像に真っ向から立ち向かおうとする彼らの活躍が、マサの目を通して語られる。

“ICO”があまりにきつかった為、宮部禁止令を出していたのですが、この度やっと読む気が起きたので手に取った次第。
初期の方の作品なのかな?非常に読みやすい!主人公が犬というところもポイント高し。犬好きな人に悪い人はいません。(断言)
和み系かと思いきや、人間の暗部が垣間見えてどきっとしたり。ブラック具合が好きです。他にも、こんな感じの作品を読んだことがあるような気がするのですが、はて、あれは何という本だったっけな・・・。
マサのデビュー作、“パーフェクトブルー”の方も読んでみたいなあ。


「気分は名探偵」

/徳間書店

探偵役はあなた。本格推理のリーダーたちが、読者に突きつける6つの難事件。夕刊フジに連載した懸賞ミステリーが1冊に!

もちろん全問不正解でした!(威張るな)

“ガラスの檻の殺人”(有栖川有栖)
密室系。読後は、犯人云々よりも、沙耶さんのモテ度合いが気になった。フェロモンをふりまきすぎですよ・・・。
“蝶番の問題”(貫井徳郎)
そんな特殊シチュエーションわかんないよ!と思っていたら、最後の最後にそのオチか・・・。でも、結構好きな落とし方でした。
“二つの凶器”(麻耶雄高)
一番フェアだったと思います。・・・いや、ただ単に自分がいいところまで推理できただけなんですけどね・・・。麻耶さんってもっとトリッキーな作品という印象だったのですが、びっくりするほど普通の小説。何やら物足りない。
“十五分間の出来事”(霧舎巧)
短編でありながら、新しい展開が2度3度と訪れる構成がおもしろい。ただ、謎解きは尻すぼみな感じで勿体無い。
“漂流者”(我孫子武丸)
私は誰?の人物当て。偶然居合わせたのが、頭がいい人で良かったねえ、という思いでいっぱいです。しかし、痴情のもつれとは・・・。
“ヒュドラ第十の首”(法月倫太郎)
軍手のあたりがこんがらがってきてしまいました。被害者が探していたのは誰?というところまではおもしろかったのですが。その後は少し残念な展開に。