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読書の記録です。

「かわいそうだね?」

綿矢りさ/文藝春秋

同情は美しい、それとも卑しい?美人の親友のこと、本当に好き?誰もが心に押しこめている本音がこぼれる瞬間をとらえた二篇を収録。愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界。

綿矢さん、かわいいですよね~。雑誌でお見かけすると、ついつい読んでしまいます。
どちらの短編も女子と女子の関係が主題で、男の人は、まあ、いるなあ程度の存在感・・・。
「かわいそうだね?」彼の元カノが、部屋に転がり込むことになった。この状況を受け入れられなければ、彼とは別れるしかない。頑張って理解のある彼女になろうと努力するが・・・。隆大はずるい!「同居を認められないなら。別れるしかない」と彼女に言うなんて!元カノと同居なんて、嫌に決まってんじゃん!ここはアメリカじゃなくて日本なんだから、日本の風習に合わせろっつーの!と読んでてむかっ腹が立ちました。アキヨと樹理恵のメールの対比がおもしろかった。親戚のおばちゃん・・・。最後はどうなるんだろう、とモヤモヤしながら読んでましたが、最後はスカッとしたー!彼のために自分を変える、それはそれでいいことだと思う。たぶん、誰だって誰かを好きになれば、多少なりとも変化が起きるものだと思う。だけど、自分のプライドをおとしめてまで、相手に迎合するのはちょっと違うよね。
「亜美ちゃんは美人」サカキちゃんは高校の頃から、同級生で誰から見ても美人の亜美ちゃんに懐かれている。年を経て、社会人になった2人。サカキちゃんは亜美ちゃんから婚約者を紹介される・・・。亜美ちゃんの婚約者のメンタルなわけのわからん発言がおもしろかった。サカキちゃんが、サークルの飲み会でいじられまくるのは読んでて辛かった・・・!このバカ男どもめ・・・!美人には美人の大変さがあるけれど、正直なところ、亜美ちゃんの孤独はどうでも良かった。サカキちゃんが亜美ちゃんの歪んだ心を理解していくにつれ、なんか、もう放っておけばいいのに・・・と思う私がいた。冷たいかな・・・。
一人称が「サカキちゃん」というのがかわいくて、ちょっと和んだ。


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「ばらばら死体の夜」

桜庭一樹/集英社

四十過ぎの翻訳家、吉野解は貧乏学生の頃に下宿していた神保町の古書店「泪亭」の二階で謎の美女、白井沙漠と出会う。裕福な家庭に育った妻とは正反対の魅力に強く惹かれ、粗末な部屋で何度も体を重ねる。しかし、沙漠が解に借金を申し込んだことから「悲劇」の幕があがる・・・。

桜庭さんの作品がだんだん肌に合わなくなってきて、読み続けるべきか、読まざるべきか、と思っていたところで読んだ本でした。手放しで大好き!とは言えないけれど、桜庭さんの本をまだ読んでみようと思わせてくれる本でした。結果的に読んで良かったなと。
なんで否定的なニュアンスになっちゃうかというと・・・。
まず、主人公2人がクセモノで、はっきり言って最低。女も男も自分勝手で、自業自得やんって感じなんです。でも、願わくば、殺されたのが解の方だったら良かったのに、と思ったのは同性への肩入れかな?事の始まりは、解が勝手に2階に押し入ったことにあるんだから、お金の無心をされたくらいでさーって思った。やることやってんだから、お金くらいなんとかしなさいよって。
もっと納得いかなかったのは、犯罪が明るみに出なかったことで、これから先も彼が裁かれることはないだろう、ということです。現実はそうかもしれないけど、物語はフィクションだからここはひとつ彼にも罰を与えて欲しかった。そしたらちょっとはスッキリしたかもしれないのに。
そうやって嫌悪しながらも、私は、砂漠のどこか退廃的な空気に惹かれていたのかもしれない。バカだけど憎めないっていうか。砂漠が殺される直前の描写にも惹き込まれた。そのあたりの雰囲気を受け入れることができたので、もう少し作品のチェックを続けていこう・・・と思ったのでした。
最後に、人として一番共感したのは里子さんでした。笑。「あっ、もしかして今、いけないこと聞いちゃった(見ちゃった)?」っていう瞬間。誰にでもありますよね?


「ラブコメ今昔」

有川浩/角川書店

乙女だっておっさんだってオタクだって人妻だって、恋がなければ生きてゆけない。ベタ甘ラブに耐性のない方お断り(もしくはこの機会に溺れてみる?)。の最強短編集。

超久しぶりに本の感想を書く!緊張する!
最近、有川さん作品の映像化が重なってて、東野圭吾大先生に続く売れっ子さんになりましたね。
とりあえず、「空飛ぶ広報室」(ドラマ)を見てみました。私、ガッキー大好きなもんで。
・・・う~ん。悪くないんだけど、こう、先が読めるドラマって、何かインパクトが無いと視聴するモチベーションを維持するのが難しいんですよね~。「阪急電車」もいまいちだったな・・・とか思い出してしまいました。何であれ、原作と違う良さを出すのって難しい!とにかく、ガッキーはかわいいなあ(結局そこ。)。
で、本です。自衛隊を舞台にした、短編のアンソロジー。恋愛小説、というには軽めのタッチで、「ラブコメ」という題名はぴったりだなあと思いました。著者の作品には甘酸っぱい爽やかな感じの恋愛小説が多いかな、という印象があります。
色んなシチュエーションで、工夫されてはいるのですが、やはり土台が一緒なので途中で飽きてきてしまいました。さらに、残念ながら、きゅんと来るであろうセリフの数々が全くきゅんと来ない・・・。なぜだ・・・。私の中の乙女回路はもう役立たずなのか・・・。涙。
千尋ちゃんの押しの強さはおもしろかったです。ぐいぐい。
そんなわけで、物語には乗れませんでしたが、すらすらっと読めました。



賀正

あけましておめでとうございます。

1年ほったらかしでした・・・。
久しぶりすぎて、操作が良くわからない!
これだけ期間が空いたら、ブログ閉めようかなあと思った時もありましたが、もう一度だけ再開してみようと思います。

去年は一昨年に引き続き、何やら色々あって50冊くらいしか読めなかったので、今年はもうちょい読みたいです。
今年も自分と向き合う一年となりそうです。

よろしくお願いします。


「レンタルマギカ 魔法使いの宿命!」

三田誠/角川書店

魔法使いとは、かくも残酷な存在なのか!?“アストラル”の天才陰陽師・猫屋敷蓮は、かつて苦楽を共にした弟弟子の圭から魔術決闘を叩きつけられる。短編集・第2弾!

去年の7月からほったらかしになっていた感想。ライトノベルも積みあがっていて、何とも心苦しい状態。むむむ。
こちらは、長編2巻と3巻の間のお話になっているようです。個人的に短編集は「短編シリーズ」として分けて欲しい派で、順番に読んでいくうえで短編集が挟まるのはいただけない・・・。自分の気分の問題なのですが。まあ、内容は個々にクローズアップしていて、長編を読んでいくうえでの補足となっているので、結果オーライ?
「魔法使いと夏の海」前回知り合った女性神主の鎬さんから、船魂をもとの神社に戻して欲しいという依頼があったそう。慰安旅行と依頼をかねて海へとやってきたいつきたち。今回、アディと穂波はケンカの果てにダブルノックアウト。で、パートナーはまなみとなりました。まなみはかわいくていい子なんだけど、いつき争奪レースでは弱いんだよなあ・・・(えらそう)。猫屋敷さんのふんどし・・・。結構似合うんじゃないかなー。
「魔法使いと学校の怪談」穂波とアディが8歳の時、イギリスでのイニシエーションの話。いつもケンカばかりだけど、お互いに一番の良き理解者であり良きライバル。そのきっかけとなった出来事です。いつきが登場してからは、これに恋のライバルも加わったことになるのかな。三角関係がこじれると、親友でも仲違いすることがあるけど、この2人はずっとこの関係を保って欲しいなあと思います。口絵の小アディがかわいすぎる!
「魔法使いと星祭り」猫屋敷さんと弟弟子の対決!いつもひょうひょうとしている猫屋敷さんですが、実は天才ですごい人。この弟弟子の石動圭は、この後の物語にもからんできます。ここでは猫屋敷さんに歯が立たなくて、いいとこ無しでしたが、次ではなかなかやってくれるんですよー。くだぎつねで、ゲームの“大神”を連想しちゃった・・・。あいつもなかなか手強かった・・・。
社長、今回もなかなかいい仕事をしてます!