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読書の記録です。

「GosicksⅡ」

桜庭一樹/角川書店

まぶしい日射し、あふれる緑、静寂に満ちた、聖マルグリット学園。久城一弥とヴィクトリカは初めての夏休みを迎えた。大図書館で、庭園で、芝生で、謎を解き、世界を語る2人の距離は少しずつ近づいてゆく。

久しぶりのGosickシリーズ!
しばらく続きも出てないし(というか富士見ミステリー文庫自体がいつの間にか消滅していた。笑。)、近くの書店では既刊すら見かけなくなったので、続きをどうしよう・・・と思ってたんです。そしたら、角川文庫で復刊して良かったにゃーと喜び小躍りしているうちに、本編の続きも短編集も新作が出て、嬉しいにゃーと踊り続けて、最終巻までそろえたのに、読んでない私。毎度のことながら、ダメじゃん!
・・・欲を言えば、武田日向さんの挿絵もそのまま復活させて欲しかったな・・・ごにょごにょ。
今回は、夏休みのお話。みんな実家に帰ったけれど、一弥とヴィクトリカは寮に残ることに。今回は、謎解きよりも、ヴィクトリカのかわいさ重視という印象。
「仔馬のパズル」パズル!前巻に出ていた話の続きですね。答えを見るとふーんって感じですが、自分じゃわからない・・・。少し寂しそうなヴィクトリカに胸キュン・・・。置いてけないよ、こんなかわいい女子・・・。
「花降る亡霊」おてんばアブリルがバカンス中に巻き込まれた事件。事件よりも、ヴィクトリカがアブリルのことを「屁こきいもり」と呼ぶのにうけた。そういや、そう呼んでたっけなーと。
「夏から遠ざかる列車」寮母さんとセシル先生の友情が素敵でした。しかし、セシル先生は昔からマイペースな人だったんですねえ・・・。振り返ると、このトリックが一番オーソドックスで良かったかなあ。ケーキが焦げるのを心配するヴィクトリカがツボでした。
「怪人の夏」一弥の姉・瑠璃が遭遇した壷盗難事件。そんなアクロバットなことを割れた壷を抱えてできるものかしらん。瑠璃がかわいくて、10年待ちますと言った殿方の気持ちは良くわかる!・・・のだが、その執念が怖い。
「絵から出てきた娘」リボン・・・。近づいたらわかるような・・・。何よりも、ケーキを夢中でほおばるヴィクトリカに萌える。
「初恋」ジャクリーヌは、いまいち掴めない人だなあと思います。かわいい人なんですけど。グレヴィールの想いが届くことはもう無いのかな、と思うと不憫で不憫で。そういえば、結局ジュピターは食あたりだったということなのかな?


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「断章のグリムⅦ」

甲田学人/アスキー・メディアワークス

ロッジの日常的な事件を追った短編2話と、風乃の過去を描いた中編1編。イソップ童話は、神の悪夢にはなりえないが、人の悪夢にはなりうる・・・。

8巻以降も上下巻構成が続く模様なので、ここらでちょっと一息、の短中編です。短編なんだから、そんなディープな話はないだろう!と踏んでいた私が甘かった・・・。
今回のモチーフはイソップ童話です。イソップといえば、いろいろありますよねえ。私は、ツルとキツネのスープの話をぱっと思い浮かべるかな。
「よくばりな犬」深夜の12時にカミソリをくわえて、水を覗き込むと将来の結婚相手が見えるが、もしその時にカミソリを落としてしまったら、相手の顔に傷が残るという占いがすごいな!まあ、歯茎にカミソリがつきたった時は、どうしようかと思いましたが、1話目はなかなかいい終わり方だったんですよ・・・。油断もするというものです。
「アリとキリギリス」これは、たぶん誰も悪くないから、余計残酷に思えたのかも。美幸の恋愛にオクテなところは私もよくわかるし、比奈実の恋に一生懸命な生き方も、幸せになる一つの選択だと思う。大塚先輩にも好みはあるだろうし、嫌いなタイプなのにそれを表に出さないで、平等に接しているのはすごいと思う。合わなかっただけなのに。しかも、失恋が原因ではなく、自分のプライドが傷ついたことが原因というのが、またなんとも言えない・・・。比奈実の罪悪感は、少しずつ薄れていくだろうけど一生残るなあと思ったら、すっきりしない結末でした。
「金の卵をうむめんどり」これは何が嫌だったかというと、ネコを殺すシーン。人間はまだ大丈夫なんだけど、どうも動物を惨殺するシーンというのはそれだけでものすごい嫌悪感を私に感じさせるようです・・・。雪乃が小さいころのお友達の話。義理の親との関係は現実でもあるもので、答えなどなかなか見つからないものですが・・・。でも、死んでしまったら終わりなのに。前の話でも思ったんですが、今はどんなに絶望しても生きてさえいればいつか何かが変わることがあるのに、と残念でした。このあと風乃姉さんはあの事件を起こすのかな・・・。


「人間は、きらびやかで楽しいものしか見ないのだ。誰も見ていない黒くて地味な努力など、報われることはないのだ。」


「ジョーカー・ゲーム」

柳広司/角川書店

結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく。

お久しぶりでござる!
久しぶりにログインしたら、広告消すには有料化って!こらっ!

・・・気をとりなおして、記憶をたどる作業に戻ります。
柳さんの作品は、すごーく前に「聖フランシスコ・ザビエルの首」を読んで以来です。もちろん、この私が本の詳細な内容を覚えているはずがなく・・・。残念!おもしろかった、と思ったのは覚えています。笑。あと、私に高度な理解力があれば、ものすごく楽しめたのでは・・・と思ったような。そんな知的なイメージのある柳さんの作品。話題になった本という理由もありますが、それよりも、文庫カバーの結城中佐を見たら、手にとらずにはおられなかった!かっこいい!
結城中佐は、陸軍内に極秘のスパイ養成機関を設立する。その名はD機関。試験を突破したスパイ予備軍たちは、経歴も出身地もさまざま。しかし、能力だけはズバ抜けているのだ。
登場人物も、視点もさまざま。色々な角度からD機関について見ることができます。最後はD機関や結城中佐が暗躍して、敵を出し抜いて解決!みたいな展開が多いのですが、中には後味が悪いものも。はらはらしたり、スパイの計算されつくした行動に感心したりと、スパイについて詳しくなった気分にひたれそうです。「007」みたいに、華やかなイメージは全くなく、地中でひっそり息をひそめているイメージでしたが、これがアメリカと日本のスパイ文化(?)の違い・・・。あるいは、国民性の違いでしょうか・・・。
普段は私情をはさまない結城中佐が、「ロビンソン」ではなむけの本を渡したり、「XX」で最後に粋な一言を言ってたり。垣間見える人間臭さに、ハートをがっちり掴まれた方も多数いらっしゃると思います。がっちり掴まれた私は、続編もがっつり読んだのでした。


「こめぐら」

倉知淳/東京創元社

密やかなオフ会で発生した謎。男たちが真剣に探し求めるのは、とんでもないものの鍵だった!?キツネさん殺害事件の容疑者は当然ながら(?)どうぶつばかり。“非本格推理童話”の結末は?

「なぎなた」の姉妹編短編集。コミカル系です。私はこちらの方が好みかな~。お馬鹿ネタは、モノによりますが、これはおもしろかったので・・・。
「Aカップの男たち」ストレートな題名なのに、まったくこの可能性を思いつかなかった!女性がボクサータイプの下着を着けるように、男性だってブラをしたっていいじゃないか・・・とは思えない・・・。おじさんたちのブラ描写が細かすぎて(本当にしつこい。笑。)、カギのオチが印象に残っていない・・・。「鍵」というお題目をもらって、この話を生み出した倉知さんは本当にすごい。
「「真犯人を探せ(仮題)」ラジオドラマ形式。犯人当ての方の謎解きは、これが本当にラジオドラマだったら怒ってるな・・・っていうぐらいひどい。笑。だから、最後には納得だったんですが。
「さむらい探偵血風録 風雲立志編」メタ!久しぶりにメタミステリを読んだような。久しぶりなせいか、特に反感を覚えることもなく・・・。どちらかというと、役者の描写のしつこさが気になったというか。
「遍在」これは、最後のオチでびっくりした!本当にびっくりしたので、もう一度最初の方に戻って確認してしまいました。確かに時代を特定するようなものは無いといえば無い・・・。しかし、古代においても、こんな俗っぽいことをしていたとは思いたくないよう。こういう馬鹿馬鹿しさは好きなんですけどねー。
「どうぶつの森殺人(獣?)事件」動物を擬人化してミステリー。この設定自体が土台無理な話なので、各所で力技が発揮されています。まあ、こういうお約束なんでよろしくって感じで。これは魔法の言葉だ!笑。これも、散々アリバイに時間を費やして、最後はそれかよ~という謎解きでした。脱力はしましたが、ただ動物を使うだけでなく、特徴を盛り込んだ推理と謎解き、私は結構好きです。しかし、ミステリーランドでこれを書いていたら、作家生命終わってたのでは?笑。やめといて正解でしたね・・・。
「毒と饗宴の殺人」ふっさり前髪の猫丸先輩に久しぶりに会えました~。自分がアラサーになって、改めて猫丸先輩のヤバさに気付きますね・・・。ウサギのぬいぐるみを抱きかかえる(しかも大事そうに)30男。・・・。・・・友達に1人いるとおもしろいかも・・・?自分だけ毒入りドリンクを飲まないトリックって、なんだろなんだろと思っていたら、確率やらゲン担ぎやらもっともらしく語っているけれども、それは要するに、気持ちの問題だよね!?もっと言えば、自分の運試しに明らかに腐ったカキを食べるかなー?ちょっと物足りなかったけど、猫丸先輩が楽しそうだったので良しとしましょう・・・。
倉知さん・・・、おやすみなさいって(以下略)。
とにかく何でもいいので、何か出して下さいね!


「図書館危機」

有川浩/角川GP

王子様、ついに発覚!山猿ヒロイン大混乱!玄田のもとには揉め事相談、出るか伝家の宝刀・反則殺法!そしてそして、山猿ヒロイン故郷へ帰る!?そこで郁を待ち受けていたものは!?

ついに別冊まで文庫化しましたか・・・。あんなに待っていたのに・・・。というちょっと恨みのこもった目で新刊の棚を見つめてしまいます。こういうのは、タイミングを逃すともう買えませんね・・・定価では・・・。
さて、読了から大分時間がたってしまいましたー。脳みそを振り絞っております・・・。毎度のことながら、感想を書くタイミングも逃すと大変。
郁の絶叫でシメだった前回からの続き。王子様じゃない、堂上が好きなんだと気付く郁。一方、堂上も郁が気になって仕方ない。なんだ、もう最初から両思いじゃないかよ、あたしゃやってられないよ、ちくしょー!とやさぐれたくもなるラブコメっぷりでした。これが自分の目の前で展開されたら、もう、我慢できない!微笑ましく見守っている隊のみなさんは、本当に忍耐強いと思う・・・。
あとはー、茨城図書隊の女子事情がエグかったかなあ。私は女で一番イヤだなあと思うのが、この陰湿さ。なるべく根には持たないように、と思っていても、結構前にされた嫌なこととか良く覚えていて、我ながらイヤになります。同じ職場で足の引っ張り合いをする前に、組織の目的の達成を目指し、仲間として助け合って働きたい。私はいつもそう思って仕事をしてるのだけど、うまくいかないよねえ・・・って、すごくブルーになりました。
禁止用語についての話も印象的でした。普段考えたことなかったので・・・。自分の国の言葉をもっと知らなければならないなあと思いました。でも、何で床屋がダメなのかな?特定の身体的特徴・障害を指す明らかな差別用語が禁止されるのは納得ですが・・・。セクハラと同じで、相手が差別的な呼称だと思ったら、その時点で禁止用語なのかな。
今回はドンパチやってます。毎回、戦闘のシーンを読むと血が騒ぐというよりは、悲しくなってしまいます。双方、本を愛する者同士、本当は本を傷つけることなどしたくないはず。図書館は戦う場所ではないよなあと実感します。
次は最終巻。夏のあいだに読みたいな~。