忍者ブログ
読書の記録です。

「馬鹿は一人でたくさんだ!」

秋田禎信/富士見書房

今日もトトカンタ市に爆発の音が鳴り響く。短編集第2弾。

表紙のオーフェンがかなり凶悪な面構え。
「俺の仕事を言ってみろ!」オーフェン借金の取りたてをする、の回。確かに地人兄弟だけに貸し付けてるわけないだろうし、他にも債権者がいて当たり前なんですよねえ。それにしても、オーフェンってホント女運が無いっていうか・・・。あ、それはマジクもか。(未来の)師弟そろって・・・。笑。
「馬鹿は一人でたくさんだ!」出た!出ました、変態集団SSW!死んだ魚でレスリングッ!このくだらなさがたまらない!無謀編読者で、SSWを覚えている人はかなりいるのではなかろうかと思うのですが、これいかに。まあ、一言で言うと、超マイナーなレスリングのトーナメント戦のチラシを、秘宝のありかと勘違いして来ちゃったよ的な話です。マッチョが魚で闘う話です。マル。
「てめぇにつきあう義理はねぇ!」無謀編のシンボルのひとつ、爆安缶詰市はオーフェンの生命線なのです。オーフェン=桃缶。これもかなりの読者の脳に刷り込まれていると思われます。スレイの鬼畜っぷりもなかなかのもんですが、桃缶に対する懐かしさに比べたら・・・!
「言いたいことはそれだけか?」無能警官・コギーの巻。油飲むのが趣味の人は、私も逮捕した方がいいと思うんだ・・・。マフィアがこんなもんならば、オーフェンの方がよっぽど凶悪・・・。トトカンタ市が平和なのも納得さー。
「リボンと赤いハイヒール」プレオーフェン・血風編。ミスコンに実はそんな意図があったなんて!・・・というチャイルドマンの考えを教室のメンバーが気付く日は来るのか・・・。牙の塔の最凶は、やはりアザリーとティッシ。キリランシェロが女性不信になったとしても、少しも不思議ではなーい。


「じゃあ、あんたは川魚で闘えるってのかい?フナやニジマスでさ」
悔しいが、めちゃくちゃかっこいいぜ、イアンナ!


PR

「てめぇら、とっとと金返せ!」

秋田禎信/富士見書房

オーフェンの日常を描く短編集。その名も無謀編。

しばらく、ガラの悪い題名がちらほら出てきますが、ご了承下さいませ。
この無謀編は基本的に、ドラゴンマガジンで連載されていた短編+書き下ろしのオーフェンの牙の塔時代のお話(プレオーフェン)、という構成になっています。設定は本編が始まる約1年前くらいの気分、らしいです。本編の登場人物もかなりキャラ立ちしていましたが、無謀編のキャラはその上を行ってます。まあ、良い意味で内容があまり無いのを、キャラでカバーしている、と言ってもいいかもしれません。おもろい。
「てめぇら、とっとと金返せ!」そういえば、オーフェンの本業(?)はモグリの金貸しだった!と気付いた1話目。会話と同時に技を極めるお嬢様・ミシリムの依頼で、彼女を黒服から守ることになったが・・・。恋人同士の戯れに巻き込まれただけという・・・。基本的に、巻き込まれ系が多いです、オーフェン。
「とにかく一回死んでこい!」盗賊団は、間抜けというお約束。本編では出番の無かったミストドラゴンの赤ちゃんを密輸(未遂)するお話。ボルカンに懐いているところが、かわいい。何があっても死なない地人兄弟は、ある意味最強だと思う。
「ひとの話を聞きやがれ!」無能警官・コギー登場。派遣警察官=エリートとは限らない、ということで。トトカンタ市の住人も、結構タフですよね・・・。
「なんでお前はそーなんだ!?」ポチョムキィィィン!私も切り裂きポチョムキンが好きです。ポチョムキンのための話だったと言っても過言ではない!
「いいから死人は黙ってろ!」オーフェン夜這いをする、の回(ちょっと違う)。寝てる間に精神士にするとは・・・、むごい・・・。白魔術師を支配しかえすとは、精神制御云々というより、我が強いんだな、きっと。
「思えば俺も若かった」キーくんが、何がどうなって、あんな人格になってしまったのか。というか、プレオーフェンを読んでいくと、牙の塔時代に人格がねじれても、十分おかしくないと思うんですけど。下地は出来ていたということかしら。

「我が聖域に開け扉」

秋田禎信/富士見書房

アイルマンカー結界に穴があき、そこから女神が侵入してくる。聖域の始祖魔術師たちは大陸を捨て、自分たちのいる玄室だけに結界を張るつもりだと言う。オーフェンたちは彼らを阻止するため聖域へ向かう。

最終巻!
長かった・・・。約一年ほどかかりました・・・。しかし、とびとびで読むよりはまとめて読んだ方が話が良くわかりますねえ。これから、ライトノベルはシリーズまとめ読みに変えようかなあ。
今までの話が収束しています。領主も、ロッテーシャもチャイルドマンも、第二世界図塔という装置を作動させ、魔王スゥエーデンボリーを召喚するために造られた人造人間だった。天人種族は、この危機を見越して手を打っていたと、いうことだと思うのですが。ディープドラゴン種族との盟約も、この時のために交わされたものだったと。本を読んでいるときは、「なるほど!」って納得してたのに、いざ文章におこしてみると、まとまらない・・・。
最後はチャイルドマン教室の面々が勢ぞろい!フォルテが、あっさりネットワークを乗っ取られて、廃人になってるのには驚きました。こうなるとコミクロンがかわいそうになってきますねえ。1巻ですでに死んでるなんて、見せ場なし。そしてプレオーフェンでお笑い要員になってしまうという・・・。笑。アザリーも消滅しちゃったんだなあ。コルゴンは生き残ったけれども、その後は不明。ティッシとハーティアはもといた場所に帰るのかしら。
マジクとイザベラの特訓は結構好きでした。っていうか、イザベラが好きだ!なんだあの不意打ち!ここで、それを持ってくるか。笑。マジクはオーフェンの背中を追いかけていくんだろうなって気がする。いわゆる理想というやつではないかな。クリーオウは最後にヘビーな展開をもたらしてくれました。レキがー!でも、オーフェンにあそこまで言わせるなんてすごいな。「女神だって殺してやる」なんて、すごい殺し文句。あれ言われたら女は落ちると思うなあ。ディープドラゴンの子供が、ちゃんとおっきくなるといいな。
コルゴンとオーフェンっていうのは、似て非なる目的だったわけで。コルゴンの結論も極端だけれど、オーフェンの結界を失くすという結論もなかなか過激。今まで悪目立ちしてたってことなんかなー。リスクは減ったけれども、女神が再来する可能性もゼロではない。天災みたいなものとしてあきらめるしかない、と。それにしても、神様ってどうして人の姿になってしまうんでしょうか。
オーフェンが一人で旅立つっていう最後は、キレイな終わり方だったと思います。
いよいよBOXを開ける前に!
この勢いで、無謀編も読んじゃいますぅ☆
・・・。わからない人は、わからなくていいんだ、うん・・・。


「それでも言わないとな。さようならだ」


「英雄の書」

宮部みゆき/毎日新聞社

お兄ちゃんが人を刺すなんて…。“英雄”に取りつかれた最愛の兄を追って、少女は物語の世界に降り立った。そこで彼女は、すべての物語が生まれ帰する一対の大輪を前に、恐るべき光景を目にしてしまう。

毎日新聞の夕刊で連載されていた作品。うちは毎日新聞を購読していまして連載のお知らせが出た時には「読むぞー!」と意気込んでいたのですが・・・。お恥ずかしいことに、夕刊毎日読まないもんで、気がついたらもう取り返しのつかないことになってました・・・。そもそも、新聞の連載小説って1回の掲載量が少ないからまどろっこしくて、途中で「ええい、もう、単行本になってからまとめて読むわー!」とやけっぱちになってしまいます。毎日のことなんで、仕方ないってわかってるんですけれども。ええ。
時代小説、ミステリー、怪談、ファンタジー、と引き出しをいっぱい持っておられる宮部さん。今回はファンタジー。ファンタジーと言えば、「ICO」の悪夢(無駄にくどかった)を思い出して、めっちゃ不安だったんですが・・・。上下巻というボリュームに関わらず、すっと読めました。読みやすいファンタジーではないかと思います。
とにかく世界観がしっかりしていて、物語のルールもぶれていない。色々なことが最後に明かされて、そこはちょっととってつけたような印象はありましたが、伏線はきれいに回収できていたかと。友理子が訪れた無名の地は、物語が生まれ、また還ってゆくところなのですが、物語が必ずしも友理子の住む世界から生まれたものではない、というところが興味深かった。領域(リージョン)という呼び方になるのですが、領域は一つではなく無数にあり、物語も人が書いたものだけでなく、物語の中の登場人物が書いたものもまた一つの物語として存在している。入れ子みたいな構図で、メタな雰囲気・・・。
友理子の言動が短絡的なことがままあり、そこはイラッとさせられますが・・・。小5だし、仕方ないか・・・?一方、友理子を取り巻く大人たちは、ものすごくオトナで包容力があってすごいなーと思いました。アッシュとか。私だったら、ガチで喧嘩してますねー、子供相手に。笑。
現実に、大樹は人を殺してしまっているので、ハッピーエンドは難しいだろうな、とは思っていました。その中でのベストな終わり方だったと思います。黄衣の王を封印することはできなかったけれども、大樹を成仏(?)させたことはできたわけですし。
友理子のその後とかって、絶対続編とか出そうだなー。むしろ出て欲しいなー。強くなった彼女に会ってみたい。


「我が館にさまよえ虚像」

秋田禎信/富士見書房

多くの戦死者を出してたどりついた領主の館。殺されたはずの領主は生き返り、ダミアンの腹の中は読めないまま。マジクとクリーオウまで領主に心酔してしまったのか!?

とうとうたどりついた最接近領。
領主・アルマゲストというのが曲者でして、周りの人間を心酔させることができるみたいなんですな。しかも、死んだはずなのに、次の日ケロリと生き返ってるし。なんじゃお前ー!ここでウィノナとダミアンともお別れです。ウィノナは、まあいいとして・・・。ダミアンの最後が小物っぽいな・・・。
ロッテーシャは、そんな役割でしたっけ!とびっくりした。そうかあ、領主と同種の存在なのか。本人に自覚が無かっただけで、いつでも他人を支配下に置けたということ?コルゴンに通用しなかったのは、コルゴンだから・・・という理由でいいのだろうか。笑。
久しぶりに地人兄弟の出番が!懐かしいなあ~。「~殺すぞ!」のフレーズを久しぶりに読んだ気がする~。マジクの一人立ちは、早いんじゃない?と思うのですが、師匠が偉大なだけに、自分の無力さが際立つから焦るのかなあ。何度も書くけど、マジク天才なのに。ムードメーカークリーオウは、すっかり元気を無くしてしまって、私もしょんぼりした気分になってしまいました。ライアンの一件がよほどこたえたのか・・・。マジクとクリーオウが抱える問題に、答えを教えてくれそうだったから、領主の言葉につい飛びついてしまったけれど、実際問題、答えなんて簡単に出ないし、償うことだって簡単なことではない。オーフェンがやっとこさ、マジクに言葉を伝えましたねえ。なんだかんだで。オーフェンは優しい先生だわ。
とうとう彼女が戻ってきた。長い道のりだったはぐれ旅も次で最終章!

私もにょろにょろと生きていきたいです・・・。にょろにょろと・・・。


「いいか、お前は行く――――――――だが、いつもどってきてもいい。分かったか?」