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読書の記録です。

「あの女」

真梨幸子/幻冬舎

タワーマンションの最上階に暮らす売れっ子作家・珠美は人生の絶頂。一方、売れない作家桜子は安マンションで珠美を妬む日々。あの女さえいなければ・・・。ところが、珠美がマンションから転落。女たちの運命が逆転したが、それは悲劇の始まりに過ぎなかった。次々現れる怪しい女、女、また女。女がいるところに平和なし。

最近はまり気味の真梨さん。文庫の新刊かと思いきや、ハードカバーを文庫化するにあたって改題したものだそうで。文庫化にあたって改題、ときどき見かけますが、ややこしいのでやめて欲しいなあー。新刊と間違えて買っちゃったらどうしてくれる!
さて、今回の主人公は女流作家。女と女の間に見えない火花が散ります!所沢にあるタワーマンションに暮らす売れっ子作家の珠美。元OLのぽっと出の作家の桜子。お互いを意識する2人。しかし、珠美がマンションから転落し植物状態になり、パワーバランスが崩れる。意識不明(脳死?)だと診断されるも、意識がある女の独白。夢と現のはざ間を行ったり来たり。一方、珠美の小説の構想を引き継いだ桜子は、執筆がはかどらない。本当は映画監督志望だった珠美は、趣味で8mフィルムを撮りためていた。彼女が死の直前に撮ったフィルムを探す桜子。完成した小説をセンセーショナルに売り出すために、彼女がとった行動とは・・・。
同時に真梨作品にはまった母親も読んでいたのですが、読み終わったあと「作家って本売るためやったら何でもするん?みんなこんな人なん?」と聞いてきました。あたしゃ作家じゃないからわかんないよ!まあ、いないでしょうけどね!笑。ちょっと極端かなあ。
今回は、叙述トリックが効いていました。
普通に読んでいたら、意識不明なのは当然珠美だと思います。私もずっと珠美だと思っていました。でも、実はこの人が・・・というのが明らかになったあと、ラストは畳み掛けるように意外な犯人が登場します。この犯人が部屋に踏み込んできたときの凄みといったら・・・。編集の西岡も相当むかつく奴・・・というか、この人が元凶なんだから仕方ないかなあ・・・。登場人物は、みんな腹に一物ある人々で、どんな目にあっても特にかわいそうとは思わなかったんだけど、西岡の家族は、西岡のために人生狂ったようなもんなので、それはかわいそうだったな。
後は、珠美と桜子が双方の視点からの相手に対する感情がおもしろかった。見下しながらも羨ましい・・・。嫉妬と認めるのが悔しいからこき下ろしているのか?相思相愛ともとれるような。ややこしいね、女ってやつは・・・。
中盤以降に出てくる、タワーマンションの部屋を購入した漫画家(だったか?)のエピソードはいらなかったような気がします。という点も含め、話の構成が好みじゃなかったです。
最後の驚きが良かっただけに、残念。


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