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読書の記録です。

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「いつもの朝に」

今邑彩/集英社

父親を亡くし、画家の母親と兄弟の3人暮らしの日向家。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の兄と、落ちこぼれの弟。ある日、弟は父が残した手紙から恐るべき出生の秘密を知る。戦慄と感動のホラーミステリー。

千夏ちゃんの「ユダ論」がおもしろかったなー。最近、わけあってたまに聖書を読む機会があり、ちょっとキリスト教に触れているもので。信者になるとかではなく、むしろ斜に構えて読んでいるんですが。笑。(信者のみなさま、すいません。以下は読まない方がいいかもしれません。)今のところの感想は、「幸せな人たちだなあ」というところです。良くも悪くも。だって、キリストが本当にいたかなんてわからないじゃない。本当に聖書に書かれているようなことがあったかなんてわからない。というか、あれ、すげーつっこみたいんですけど。笑。そんな不確かなものにすがって安心を得られたり、それをもとにして何かを考えたりすることができるのか、と。
ええと、本編は2人の兄弟の出生の秘密をからめたお話です。謎解き、というよりは、家族の絆を描いた作品。今邑さんの描く人達は、黒さ加減が絶妙で好きです。私自身、コンプレックスの塊で、優太君寄りの視点だったのですが、最後の少しくどい(笑)押し問答で、自分とは全然違う!って思いました。粘り強い、いい子だなあ。私だったら「もう知らん!」ってなってたところでした。
最後は雲の間から光が射すような、非常にきれいな終わり方でした。時間がかかったけど、読んで良かったなあと思わせてくれます。
殺人を犯すのは、血なのか?環境なのか?という問題。あとがきの件は承知していますが、この問題でこの二択は難しいなあ。うーん、私はどちらかというと性悪説よりの考え方でして、人間はミスも犯すし、悪いこともする生物だと思っています。誰もが、殺人者になる可能性を持っている。だから大事なのは、優太君の言った「ブレーキをかける力」を子供の内から身に付けることだと思います。忍耐強いことが美徳とされなくなってきた現代だけど、主張の前にまず我慢、と自分への戒めもこめて書いておきます。仕事然り、人間関係然り。


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