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読書の記録です。

「モノレールねこ」

加納朋子/文藝春秋

遠くの河原に捨ててきたはずのデブねこは、ある日平気な顔で戻ってきた。新しい赤い首輪をつけて。ぼくが手紙を首輪にはさんでみると、返事がくるようになる。家族の絆をテーマに描かれる、ハートウォーミングな8つの物語。

ああ、家族の絆がテーマと言われれば、そうですね。自分が読んでいた時は、どの物語でも死が扱われているなあ、というイメージだったのですが・・・。
「モノレールねこ」という題名からして、ファンタジーなイメージだったんですが、意外にラブでロマンチックなオチでした。しかし、これはこれで。「マイ・フーリッシュ・アンクル」の叔父さんはいい人だった。現実のニートは嫌いだけど。笑。彼の人柄を買おう!(えらそう)
家族には色々な形がありまして、どれが幸せな形なのかなんて、誰にも正解は分からない。のだなーと改めて思いました。「ポトスの樹」のクソオヤジなんかさ、私から見たら本当に許せない。父親に色々な事情があったとしても、そりゃひどいっしょ、と思う。たった1つの出来事で、そういうこと全部チャラにできるのは、家族だからだろうなあ。
一番最後のバルタン君の話でうるっときてしまいました。「バルタン最期の日」。本当にお人好しだよ、アンタ・・・。いいザリガニだなー。今年の夏は、鳥に食べられたザリガニの残骸を見るたびに胸が痛みそうだぜ。


「そんなに負けるのは悪いことかなあ・・・・・・だって負けるやつがいなきゃ、勝つやつもいないだろ」


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