「ウォッチメイカー」
訳者/池田真紀子
うちの父親が大好きなんです。リンカーン・ライムシリーズ。本の感想が辛口で、自分の好きな本をけなされるたびに、プチ喧嘩になります。そんな父の数少ないベタ褒めシリーズ。
「読め、読め」言われてたんですけど、翻訳の本は・・・。としぶっていたところ、「このミス」で紹介の記事がおもしろそうだったので、勇気を振り絞って読みました。だって、あのぶっとさで2段構えで翻訳本って!
ところが、意外にもスラスラ読めました。訳も上手だし、あれだけ長いのに気持ちがだれない。
私の想像と違って、ライムは一筋縄でいかない人でした。こんなに毒舌だとは。そして、こんなにツンデレだとは・・・。笑。色々想像以上だったなあ。サックスも想像と違ってスタイル抜群の美人さんでした。
最後は、どんでん返しがいっぱいありすぎて、ハラハラしました。汚職事件でまとまるかと思いきや、ライムとウォッチメイカーの頭脳戦でもう一度盛り上がりを見せるところがすごい。キャサリン・ダンスのキネシクスのシーンもかっこよかったなあ。羊のメガネと狼のメガネ!私はどちらかというと、たぶんライム派(証拠至上主義)だけど、ダンスの観察眼の鋭さには憧れる!
7作目からでも確かに十分楽しめたんだけど、登場人物の生き方にフォーカスした部分もあり、やはり順を追って読んでいくほうが良かったかなーという気分です。これまでも気になるし。これからも追っていきたいシリーズです。ちょっと腕まくりして頑張って読んでみようかな。
最後に、ここで父親に苦情を言わせて頂きたいのですが、本についてすごく喋りたいって気持ちはわかるんだけど、最後のオチを言ったらあかんやろ。笑。そのせいで、私、ハラハラしながらもウォッチメイカーが最終的にどうなるか、最初から知ってたんですよー。もー。それでも、十分楽しめた作者の手腕に拍手したい。
これで2000円は安いです!こんなお得感を味わったのは久しぶり。
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