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読書の記録です。

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「いのちのパレード」

恩田陸/実業之日本社

人気作家恩田陸が今なお影響を受け続ける名シリーズ“異色作家短篇集”へのオマージュ。
イマジネーション豊かで摩訶不思議な作品集。

恩田さんの短編集といえば、ミステリーやらSFやらホラーやら、とにかくごった煮という印象が強かった。最初の短編「観光旅行」を読み終えたあと、「不思議系だなあ・・・。」とぼんやり思ったけれど、前述した思い込みもあり、他の作品はまた違う雰囲気だろうと確信を持ってページをめくったところ、次の短編「スペインの苔」もまた「不思議系だなあ・・・。」。その後も「もやっと系・・・。」「不思議系・・・。」みたいな印象が交互に訪れる感じでした。あとがきを読んで始めて知ったのですが、これは「異色作家」へのオマージュ、とのこと。異色作家の作品を味わったことはないのですが・・・。たぶん、ついていけないだろうな。断言。
いいなあ、と思ったものをいくつか。
「夕飯は七時」これはショートアニメにすると、すっごくおもしろそう!無声がいいなあ。セリフは字幕で入れたりして・・・。と妄想が膨らみます。子供たちほどじゃないけどね。
「隙間」これは、最後のぞくぞく感がたまりません。詳細はよくわからない。だけど、匂わせてくれるだけで十分。彼女の笑顔だけで十分。
「かたつむり注意報」ギャグ?と思ったのもつかの間、もしかしたら怖いオチなのかなあとドキドキしていました。でも、実は美しいお話でした。かたつむりって、ぬめぬめとしたイメージですが、かたつむりの殻が朝陽に照らされて透けている場面を想像すると、神々しいなあと感じました。
「あなたの善良なる教え子より」テロリストを屠る、その殺しのスキルに感心した!
「SUGOROKU」あがりに待っているものは何なのか・・・。あれこれ考えてしまいました。どの短編にも言えるのだけれど、舞台設定の細かな解説がないことが、想像力をかきたてる役割を果たしている好例だと思う。
「いのちのパレード」食物連鎖の輪からはずれた、我々人間をあらわしているようなお話。彼らが去ってしまった砂だけが残る大地で、人間は新たな輪を作るのか、それとも朽ち果ててゆくのか。
とにかく、恩田さんの頭の中はすごいことになっているのだ。そうに違いないのだ。


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