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読書の記録です。

「終末のフール」

伊坂幸太郎/集英社

2***年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されてから5年が経った。恐怖心が巻き起こす、殺人、放火、強盗…。社会に秩序がなくなり、世界中が大混乱に陥る中での、仙台市北部の団地に住む人々の葛藤を描く。

おおお、やっと読めたよ・・・。文庫落ちより、図書館で見かける方が早かった!なかなか文庫落ちしないものですね~。しみじみ。
隕石の衝突が3年後に迫った地球で、生き残った人々は、その現実をどう受け止めるのか。隕石の衝突が報じられたのは、5年前。物語の中で、5年の間に起こったパニックが語られているのは、妙にリアルだった。私は、日本だけは絶対に平和で暴動なんて起きないだろう、と思いたい部分があって、それが覆されたのがショックだった。物流や治安も、当たり前に行われていたことが、上手く回らなくなるんだー、と。それだけでなく、自ら命を絶った人もいるという。世を儚んで・・・。そういうリアリティのある背景に衝撃を受けた。
本書の登場人物は、別の著書でのリンクは無いそうです。しかし、ヒルズタウンで繰り広げられる物語のため、短編でちらほらいろんな顔を見かけます。あっ、こんなところにこの人が!というのが好きな人にはたまりません。一番好きなのは、最後の「深海のポール」に出てくるおじいちゃん。あと、「冬眠のガール」の彼女も好きだわー。話としては、「終末のフール」「天体のヨール」が良いと思いました。うーん、世界滅亡に相対しても、自分のペースを守り抜いている人がかっこいいのです!
自分なら、最後の時を誰とどこで、どう過ごすのだろうか・・・。と想像してみたけれど、結局いつも通りだろうなあという無難な結論しか出ないや・・・。


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