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読書の記録です。

「身の上話」

佐藤正午/光文社

とある小さな町の書店で働くミチルは、浮気相手の編集者を見送るつもりが、衝動的に一緒に東京まで出てきてしまう。帰りそびれているうちに、同僚に頼まれて買った宝くじが高額当選していることが判明する・・・。

裏表紙のミチルのうつろな目がコワイ・・・。
NHKよるドラの「書店員ミチルの身の上話」を見たのがきっかけでした。おもしろかったので原作を読みたいな、と。最後の終わり方が、あれっ?って感じだったので、原作ではどうなっているのかな・・・、というのもありつつ。
原作の竹井は、ドラマの竹井よりお金に執着していたような気がする。ドラマ版竹井は、ミチルのことが好きでお金のことはオマケ程度という印象だったのですが、小説版竹井は、もちろんミチルのことも好きだけど、あわよくばミチルをコントロールしてお金も自分のものにしてしまおう、という意思を感じました。気になったのはそこぐらいで・・・。ドラマでは豊増家、小説では香月家で不妊治療が夫婦の不仲の原因のひとつ、とされていますが、これは不要だと思った。
人間、ある程度は成り行きに身をまかせるときがある。・・・にしてもミチルは極端・・・。どこにでもいるフツーの人はしないよ、こんなこと。笑。初山さんがすごーくいい人で、ステキな友達だなあと思う。高倉さんも竹井の支配さえなければいい子だし、お友達に限って言えば恵まれたのにな・・・。
ミチルの勝手な振る舞いが災いを招いた、自業自得ストーリー。竹井のゾンビ並みの生命力と執念に、感動すら覚えます。オチは、ドラマと似たような感じで、まあ、こんなもんか・・・という感じですが、全体的におもしろかったです。
最後に、宝くじは自分で買いましょうってことですね。タテブーみたいにしつこいの見るとね、ホントそう思う・・・。


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