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読書の記録です。

「鹿の王(上) 生き残った者」

上橋菜穂子/KADOKAWA

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。その頭であったヴァンは奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナと名付け、育てる。

本屋大賞・・・の前から注目していた作品。最近の本屋大賞って、ほっといても売れるでしょーっていう本を選んでますからね・・・。
上橋さんの本は「精霊の守り人」を読んで以来です。色々読みたいんですけど、読書のタイミングを待つことにしたいと思います。さて、今回の主役は男性2人のダブルキャスト。
アカファ出身で、東乎瑠(ツォル)との戦いに敗れ、岩塩鉱で奴隷にされたヴァン。犬の襲撃をきっかけに岩塩鉱にいる人々が全滅してしまい、生き残ったヴァンは、逃げる途中で見つけた乳飲み子と共に逃亡する。道中、足をくじいて動けなくなっていた青年・トマを助け、彼の集落に身を寄せたヴァンはそこでの暮らしに馴染んでいく。一方、オタワル人の血をひく天才医師のホッサルは、岩塩鉱で発生した謎の病の究明に着手する。
2人とも謎の病(黒狼病)に翻弄されます。ホッサルは治療薬の大きな手掛かりとなる生き残り・ヴァンの行方を追うが、雪に阻まれ断念。ヴァンは、ホッサルの存在にはまだ気付いていません。2人の話がいつ交錯するのかも楽しみです。
飛鹿(ピュイカ)やトナカイ・・・家畜と暮らす放牧民の暮らしは大変そうですが、自然と共に生きている姿っていいなあと思います。料理もすごくおいしそうなんですけど、これ、ジビエ料理なんだよなあ。ラムの臭みが~とか言ってる私は、トナカイとか食べれないだろうな・・・。ヴァンはユナと一緒に平穏に暮らしていて欲しかったですが・・・。後半の展開にはハラハラしました。山犬に噛まれたことで、何が体の中に宿ったのか?そもそも、山犬たちは本当に狼と山犬の相の仔なのか・・・。宿った何かから解放される時は来るのか・・・。
医学的に病と闘う医師のホッサル。まだ医療が確立しておらず、東乎瑠の医師たちは半分司祭のようなもの。そんな中で、真摯に病と向き合うホッサルの姿勢がいいなあと思いました。何についても、信念を持って物事に取り組むのは素晴らしいことです。原因究明を続けるホッサルたちだが、オタワル国のある人物が関与している可能性が浮上してきたことを受け、従者・マコウカンの出身である集落に聞き込みに向かう。マコウカンとサエはいい感じになるのかしら?と下世話な想像をした私でしたが、あっという間に離れ離れで肩すかしでした。笑。
下巻では、丸く収まるといいなあと思います。ユナが山犬の仲間入りとかイヤ!政治がからんできたので、お国騒動に発展するのかなーとぼんやり想像しつつ、下巻が回ってくるのを待ちたいと思います。
スイスイ読めますので、普段ファンタジーなんか読まないやい!という人にも読んでいただきたい。ご都合主義な感じもあんまりないですし。


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