忍者ブログ
読書の記録です。

ふよふよと

ブログに浮上してきました。

わかる人にはわかるこの夏の一大イベントが終わりました・・・。
残るは燃えカスのみ・・・。

なんだかんだで本は読んでるんですが、何せ感想を書くのに時間がかかりすぎ(主にパソコンのご機嫌ナナメが原因)なんでお休みしてました。またぼちぼち書いていきたいと思います。本もモリモリ読むぞー。

ああ、1年が終わったんだなあ・・・。
PR

「東京レイヴンズ7」

あざの耕平/KADOKAWA

『D』による陰陽塾襲撃事件からしばらく。その傷跡は大きく、陰陽塾は一時閉鎖に追い込まれ、退塾する生徒も続出していた。そんな中、『D』と大友の熾烈な呪術戦に心を奪われたままの春虎は、夏目とともに訪れた陰陽塾屋上の祭壇で、一人の少女と出会う。時同じくして、呪捜部公安課による双角会掃討作戦が密かに始動。

久しぶりのレイヴンズ。これもだいぶ溜め込んでます。むむむ・・・。買ったときにぱらぱら見るので、大まかな先の展開は知っていたり。正しくない読み方だ・・・。
蘆屋道満と大友の呪術合戦を見てから、自分が視ているものや呪術に対する違和感を感じ始める春虎。それは自分の能力が追いついていないせいなのか。春虎は、焦りのようなものを感じるが、夏目たちに上手く伝えることができないでいる。北斗の正体もうやむやになったまま。そして、またもや戦闘に巻き込まれた春虎たち。今度は、暴走した式神・シェイバと戦うことに・・・。
新キャラが出てきました!相馬多軌子という、夜光信者のようなものの幹部か何かでしょうか。ずっと穏形してたり、あっさり同士を殺したり、冷酷なことをしていますが、一方で春虎たちには愛想が良かったり無邪気な印象があり、まだまだ掴みにくい所が多々あります。大連寺関係の血族の方のようですね。「姫」と呼ばれていることからも、直系・・・?倉橋長官と手を組むのでしょうか・・・。
さてさて、春虎に起きた違和感というのは、実は春虎がただの見鬼ではないから・・・ということで、次の8巻で色々明らかになっていくでしょう!その前に、夏目の正体がバレてしまいました!今さらかもですが。京子もまさか・・・とは思ってたみたいですし。
あと、あの子供って道満しかいないんじゃないですか?「ほっ」とかって笑うのあの人しかいないじゃん。笑。道満も早々と復活しそうですね。そして見え隠れする、すず先輩の影。幼女大好きすず先輩は、実は大友と同期生!?すごい若作りなのか、これも穏形の一種なのかしら?「鴉羽」を手に入れたのは、すず先輩だとばかり思っていたけど、どうなったのかなー。
それよりも何よりも。大友たちって、まだ20代ってことは、私よりだいぶ年下だったんですね・・・。あ、あれ、私と同世代の登場人物はどこにいるの・・・?まだ、倉橋長官たちほど年は食ってないしなあ。


「うそつき!」




「本題」

西尾維新/講談社

西尾維新が書いた5通の手紙と、それを受け取ったクリエイター達による「本題」から始まる濃密な対談集。

西尾さんの本最近読んでないなあ。
というか、西尾維新作品に対する世間の需要がまだあるんだなあということに、びっくりです。
羽海野大先生の名前があったので、読んでみました。
意外にも、みなさん西尾さんの本を結構読み込んでおられて(しかもベタボメ)、「そ、そんなに褒めるポイントがあるのか・・・!」と驚愕しました。それにしても西尾さん、一日2万字とか書くんですね・・・。ノルマ?どうりで内容がほとんど意味のない・・・薄っぺらい印象が残るんですねえ・・・。西尾さんの言葉遊びが10年くらい前は好きだったので、やっぱり色々語感を考えながら書いてらっしゃるんだなあと思ったり。
羽海野さんとの対談では、クリエイターとしての才能について、ひとしきり自慢話のようなものが繰り広げられています。恐らく、お二人とも人一倍の努力をされてきた、という自負があるからかもしれません。まあ、才能云々を理由にして辞める前に、血ヘド吐くまでがんばれやという話ですかね。(たぶん違う)しかし、努力したからといって成功できるとは限らないという・・・シビアな話でした。根性論、ごもっともです。でもね、・・・向き不向きはあるような気がする・・・。
あとは、辻村さんが今は余生を生きているようなものだ、とおっしゃっていて。・・・ずいぶんと充実した余生ですね・・・とジト目になってしまいました。
西尾さん、対談では意外に普通の人でした。
羽海野さんが、ベタボメしていたということもあり。もうすぐ完結予定ということもあり。物語シリーズの続きを読むか!と思って読んだんですけど、とんだ時間のムダでした。感想は後日。


「致死量未満の殺人」

三沢陽一/早川書房

雪に閉ざされた山荘で、女子大生・弥生が毒殺された。容疑者は一緒に宿泊していた同じ大学のゼミ仲間4人ー龍太、花帆、真佐人、圭。外の世界から切り離された密室状況で、同じ食事、同じ飲み物を分け合っていたはずなのに、犯人はどうやって弥生だけに毒を飲ませることができたのか。

第3回アガサ・クリスティ賞受賞作。
閉ざされた吹雪の山荘。毒殺。疑心暗鬼の容疑者たち・・・。とベタベタなミステリの設定で、楽しみにしていたのですが・・・。結構残念な仕上がりでした。
まず、事件は15年前に起こったものであるということ。参加メンバーの1人であった花帆が夫と経営する喫茶店に、同じく参加メンバーだった龍太が来て「実は俺が犯人なんだ・・・」という告白から、回想が始まります。こんなこと言ったら野暮だけど、15年前のことなんかそんなに詳細に覚えてないし(少なくともソラで状況をスラスラ言えるとは思えない。)、何のために15年前という設定にしたのか。毒物の入手経路のため?
あとは、序盤は気にならなかった文体。後半、物語が盛り上がるにつれて、筆が乗ったのかなんなのか、やたらと大仰な言葉使いになってきて、興ざめでした。なんで、ここに手を入れなかったのかなあ。
トリックが、まあまあだっただけに残念です。メンバー全員が被害者に殺意を持っていて、全員がなんらかの毒(しかも同じ種類の)をそれぞれの方法で仕掛けていた・・・というオチ。しかも不発のものもあったりして。笑。砂糖はどうかなあ、混ざらないかなあとは思いますが・・・。そもそも角砂糖だったらどうするつもりだったんだろ?ということで、犯人は「実は俺が犯人なんだ・・・」と思っていた龍太だけじゃなかったっていう、龍太にとってはかわいそすぎる真相。そこから、さらにもうひとひねり入ってきます。これが蛇足でした。実は、この4人に殺意を巧みに(?)誘導し、毒殺するよう仕掛けた黒幕がいたのです!学生とはいえ、大人がこんなことで誘導されるのかなあとも思うし、一番弥生に消えてもらわないと困るのもこの人だと思うので、もっと確実に殺せる方法を選びそうなモンですけどねえ。
この真相を看破したのが、学生時代からつきあっている弥生のダンナ。これがまた、意味もなく名探偵風な演出で・・・。おもろいので、ちょっと抜粋。
「いつも細い黒髪に霞んでいる玲瓏な目が私をじっと捉えていた。普段の穏やかさは微塵もなく、今は標本針にも似た、私の自由を奪う鋭利な凶器にしか見えなかった。私は彼の思うがままの姿を取る一匹の蝶に過ぎない。」
まあ、このダンナが本気を出して色々推理を披露していきます。・・・ってアンタ、部外者じゃなかったんかーいってツッコミたくなります。いやいや、15年前に本気出そうよ!
もっとツッコむなら、この被害者の弥生っていう女性が、もんのすごく性悪に描かれているのですが、彼らがどうしてそんな最悪な女と関係を続けているのか、よくわかりませんでした。中・高は難しいけど、大学時代の友達関係って結構自由に切れない?こんな人なら無視しちゃえばいいんじゃない?弥生も弥生で、授業のノート欲しさに好きでもない男と関係を持つのも意味不明だし・・・。
あとは、吹雪の描写や容疑者たちをカノンの演奏者にたとえるのもしつこい。著者が気に入ってるモチーフなんだろうけど、げんなりします。もっと毒殺のトリックを際立たせた方が絶対良かったと思う。
「彼らの弥生への殺意は氷柱のように冷たく尖り、それらは他人を陥穽にかけようとする邪悪な思惑によって複雑に絡み合い、煩雑で醜悪な氷塊へと変貌を遂げた。」
・・・こてこてに装飾した表現だけど、結局「4人の殺意がものすごーく高まって、現場で集約されました」ってことでしょう。この文章がいける人なら、満足できるのでは。


「何が困るかって」

坂木司/東京創元社

子供じみた嫉妬から仕掛けられた「いじわるゲーム」の行方。夜更けの酒場で披露される「怖い話」の意外な結末。バスの車内で、静かに熾烈に繰り広げられる「勝負」。あなたの日常を見守る、けなげな「洗面台」の独白。「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”の物語ーなどなど。日常/非日常の情景を鮮やかに切り取る18篇を収録。

「短劇」のようなブラック坂木さん降臨か!?と期待して読みましたが、キレが足りない・・・という印象の小説が多かったです。もやっとした感じ。私が期待したテイストではありませんでしたが、小骨がひっかかるようなお話たち。あとがきを読んで、こんな感想を持ったということは、坂木さんの勝利なのかなあと思いました。
以下、印象に残ったものを。
「キグルミ星人」旦那さんの生死が気になるところですが、それよりも何よりもキグルミ星人に心ひかれました。見た目はファンシー、中身はエロいキグルミ星人。「ナイショ」が何故かエロい!とか思ってる人ってあんまりいないだろうなあ。笑。ステキです。
「勝負」子供のときは早く押したかったバスの乗降ボタン。いつから押すと負けのような気分になったんだろう?降りれないのはイヤなので、あるポイントで必ず押すようにはしてますが・・・。
「カフェの風景」世間は悪意で満ちている・・・とは思いたくないですが。飼い犬がおじいさんに訴えているのは「ねえ、死んで」「早く、早くう」だったとは・・・。こ、こわい・・・。自分がどう思われているのか、わからない方が幸せですねえ。
「ぶつり」狩りと言えば、最終的に行き着くのは人間だろうなとは思っていたのですが。まさか行きずりのホームレスだとは思いませんでした。そこは、ほれ、相手の人なんじゃないの。
「ライブ感」最近増えてるあれですね。フォロワーや、いいね!の数を増やすためなら、脱いだり、過激なことだってしてみせる。刺激にだんだん慣れていって、正常な判断力を失わせていく。いつでも誰かとつながれる環境は、置いていかれる不安を増強するものなのかな。
「都市伝説」てっきり男は懲らしめられるのかと思ってました。まさかの救いがない結末!
「ちょん」えー、性格悪いなあ。なんかイヤな奴だなあ。自分が先輩になったら、こういう試すことしそうでもっとヤダ。笑。
「何が困るかって」ぽとり。ぽとり。と落ちていく指。だけど主人公は動じない性格で、手袋でごまかしては、まあ何とかなるだろうと思っているという。なんだこの人。新婦さんならぬボクサーはパンチ力の低下が気になるけど、まあ負けたっていいじゃんって思ってる。なんだこの人。不気味すぎるぜ。
「仏さまの作り方」ありがとう、と言われたい。感謝されたい。そう思う人は多いと思いますが、自分の身を切ってまで感謝されることを追求する人はなかなかいない。財産を全部処分して、村を作って自分が死んだあとには金塊が発見されて・・・。本人は本望だったかもしれないですけど、弱い人間につけ込む歪んだ方法でした。
「神様の作り方」お話として完成されているなあという印象。適当な場所を選んで花を供え、そこを事故現場にしてしまった男。被害者はあきえちゃんという少女で、好きな食べ物はチョコレート。好きな飲み物は炭酸飲料・・・と次第に設定は細かくなってゆき、交通事故で亡くなったあきえちゃんは地域に浸透していく。そこにいると信じれば、そこにいる。霊は人が認識しなければ存在し得ないのだ。まあ、この人、よっぽどヒマだったんですねえ。