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読書の記録です。

「ハリー・ポッターと死の秘宝」

J.K.ローリング/静山社
松岡裕子/訳

7月31日、17歳の誕生日に、母親の血の護りが消える。「不死鳥の騎士団」に護衛されてプリベット通りを飛び立ったハリーに、どこまでもついていくロンとハーマイオニー。一方、あれほど信頼していたダンブルドアには、思いがけない過去が。

とうとう最終巻。
最初から、私の大好きなヘドウィグさんが大変なことになって、読む気力が萎えそうになりました。
色々な謎が明らかにされます。特にスネイプとダンブルドアの!2人とも腹の中で何を考えているのかよくわからない印象がありました。スネイプは悪人なのか?ダンブルドアは善人なのか?この本で、スネイプには人を愛する心と誰にも真似できない勇気があることが明らかになった。また、ダンブルドアにも、不死を求める魔がさした瞬間があったことも・・・。人は善い悪いでは分けられない。気高さと醜さが同居しているのが人の心なのだなあと思いました。この本でやっと2人が人間臭くなって、とても好きになりました。しかし、ダンブルドア、死んでも絵の中で動きまわっているため、全然死んだ感じがしないぞ。笑。
物語は、ヴォルデモート軍団とホグワーツの全面対決を迎え、多くの犠牲が出ます。この作者は、一体何人登場人物を死なせる気なのか!?とびっくりしました。うーん、重傷とかで良かったんじゃないかなあと思ったり。ごにょごにょ。ヴォルデモートの最後はあっけなく、「あ、実は小物?」的感想を持ってしまいました。ハリーとヴォルデモートの関係は確かに謎がとけましたが。
ハリーとジニー、ロンとハーマイオニーのカップリングに落ち着くとは、1巻を読んだ時には想像もつかなかったなあ!最終巻は、学校を出て、3人で逃亡生活を続けるのですが、ケンカしながらもハリーに寄り添う2人がとてもいい奴らだと思いました。なかなか難しいですよ、ずっと一緒にいるって。
最後に彼らのその後が収録されているのが良かった。ハリーが子供にスネイプのことを「勇敢」と語ったり、スリザリンに否定的なコメントをしなかったのが、彼の成長の証というか、戦いを経た貫禄のような感じがした。ハリーの父親はあんまり好きになれなかったけれど、ハリーはいい男になったと思う。(えらそう)
思い返すと、ダドリーが最後に少しだけいい奴になったのが良かった。意外に嬉しい自分を発見。また最初から読み返したいなあ。


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「本格ミステリ09」

本格ミステリ作家クラブ編/講談社

表紙がにゃんこだ~。
「しらみつぶしの時計」論理的とは言いがたい私の頭脳が、パズルについていけるはずがない。最後のオチまで呆気にとられていました。こんな就職試験が無くて、良かった・・・。
「路上に放置されたパン屑の研究」日常の謎系で、好きな設定だなあと思っていたら、違う方向性にがっくり。
「加速度円舞曲」麻耶さんが普通のミステリを書くと物足りない。貴族探偵とか普通やん。本格ミステリの形式を踏襲しちゃってるよ、何コレ!?(超失礼)いえ動機が痴情のもつれなんてありきたりとかそんなことは!
「ロビンソン」「ジョーカー・ゲーム」おもしろそうですよねえ。結城中佐は出てきませんでしたが、回想での彼の氷点下な口調がとても良い。
「空飛ぶ絨毯」全く意図の読めない質問をして、「それを聞いて、推理が確信に変わった」的なセリフを言ってみたい。あと、被害者は後ろ暗い所があるから訴え出なかったのかしら。それともただのいっちゃってる人なのかしら。どちらにしても、コワイ。
「チェスター街の日」確かにそうすれば説明はつく!が、美鈴との邂逅はご都合主義全開だったなあー。しかし、そんな話を鵜呑みにした挙句、常人では考えられない推理を自信満々に語るなんて、安楽椅子探偵って変な人だよなー。
「雷雨の庭で」ハシゴで不法侵入を試みるおっさんもすごいが、おっさんごとハシゴを倒した人もすごい。変人VS変人。
「迷家の如き動くもの」まあそんなことだろうと思ったよ。というオチですが、何かに追いかけられているシーンが多かったため、とにかく読後疲れた・・・。
「二枚舌の掛軸」ツインテールの教授につっこみたかった。教授ならば、萌えよりもインテリジェンスを優先させるべきではっ!?茶父さん、どっかで見たことあるかもーと思っていたら、「08」での四枚のカードに出てきたあの人?裏表裏表がわかんなくなって困った。


「ミーナの行進」

小川洋子/中央公論新社

美しくて、かよわくて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない・・・。ミュンヘンオリンピックの年に芦屋の洋館で育まれた、ふたりの少女と、家族の物語。

モチベーションが上がっているうちに読んでしまおうという作戦。
この本は、星の本特集で見かけてから気になっていた一冊。確かに、ジャコビニ流星群を見に行く場面は、静かで美しい。
主人公・トモコは母親が洋裁の学校に通うため、岡山を離れ、芦屋に住む母方の伯母夫婦のもとへ行くことになった。芦屋の家には、伯父・伯母・娘のミーナ、伯父の母親でドイツ人のローザおばあさん、家政婦の米田さん、カバのポチ子の世話をする小林さんがいる。ミーナの兄の龍一さんは海外に留学中。伯父さんは、清涼飲料水の会社の社長で、おうちも暮らしもトモコの知らないものばかり。家族はみんな優しく、個性的で、誰もが羨むような家族。けれど、伯父さんは家を空けることが多く、そのことについては誰も触れない。龍一さんと伯父さんの確執も垣間見えたりします。ミュンヘンオリンピック、バレー、ジャコビニ流星群・・・と当時の出来事も織り込みながら語られる、トモコとミーナ、2人の少女がともに過ごした1年の思い出。
喘息持ちで少し不思議な少女、ミーナも好きでしたが、私はやはりトモコさんがイチオシですね!素直で純朴な少女は良いなあ~。ミーナの好きな配達員のお兄さんが、突然いなくなってしまった時、トモコが工場まで乗り込んでいったところもすごいと思った。結局、お兄さんは結婚して遠くへ行ってしまったのですが、ミーナのために優しい嘘をついたり・・・。本当にいい子だ・・・。ぐすん。
本を愛するミーナのため、トモコは図書館にも通います。この図書館のカードに、ずらっと並んだ本の名前1つ1つが思い出とつながっているところがとてもいいなあと思いました。今は何でも電子化で、紙の貸し出しカードってあんまり使わなくなったもんね・・・。
ポチ子のくだりは本当にボロボロ泣きそうになりました。挿絵はどれもきれいでかわいいのですが、カバが一番かわいかった。
トモコもミーナも成長し、マッチ箱の物語を紡いでいたミーナは、ケルンで出版の仕事についている。トモコはたぶん図書館で働いてるのかな?今も充実しているけれど、その合い間にふっと思い出す少女の頃のきらめく思い出。離れていても、大事な人がいるっていいなあと思った。


「たとえ死んでも、消えてなくなるわけではないのだ。この世の物質は決してなくならず、姿を変えるだけなのだ。」


「少年少女飛行倶楽部」

加納朋子/文藝春秋

中学1年生の海月が幼馴染の樹絵里に誘われて入部したのは「飛行クラブ」。メンバーは2年生の変人部長・神、通称カミサマをはじめとするワケあり部員たち。果たして、空に舞い上がれるか!?

ヘンな名前の部員が集うクラブ。でもあだ名は普通。
物語の登場人物で、変わった名前はたくさん見かけますけれども、朋と書いて「るなるな」は・・・。いただけないなあ・・・。
最初はいやいやクラブに入ったはずの海月が、部長のため(とは自覚せず?)、頑張っちゃうお話。この海月ことくーちゃんが、面倒見のいいとてもいい子。私は彼女の母が一番好きな登場人物でした。アドバイスも全然説教臭くなく、言動もおもしろくて、かわいい!こんな家庭で育ったから、いい子に育ったのねえ。としみじみ。
ところがところが、このくーちゃんの恋のお相手カミサマ部長が、どうも好きになれなくて困った。他の飛行クラブの面々も、キャラは立っているんだけど、魅力を感じる人がいなかった。私、脇役好きなんだけどなあ。珍しい・・・。カミサマ部長の唯我独尊ぶりは、ただ空気の読めない人だし~。かわいげがあるんだけど、足りない(笑)。まあ基本、部員は全員マイペース揃い。いやー、この中でやっていけるくーちゃんはホントすごいわー。
クライマックス、自宅の高層マンションから脱出を試みた朋を、熱気球で助けに行くところは、ありえないながらも熱い展開でした。熱気球は、そんな繊細な操舵はできなさそう・・・。熱気球といえば、世界一周しようとしてすぐ海で消息を絶った人がいたことを思い出します。だから余計すぐ落ちると思い込んじゃうのかも。ありえないと言えば、資金集めのオークションのあたりも、ちょっと苦しいかなあ。


「我が絶望つつめ緑」

秋田禎信/富士見書房

クリーオウの意識は戻らず、マジクは行方不明という状況の中、ウィノナが動きだす・・・。オーフェンはライアンとヘルパートとの決戦へ挑む。ドッペル・イクス編、クライマックス。

全体の4分の3地点にやっと到達しました。まあ、何とか物語にはついていけてるかな・・・。早く続編を読みたいのですが、なかなか・・・。
オーフェンとロッテの一幕の間に、クリーオウとマジクには何があったのかが明らかに。またしてもダミアンが暗躍しています。領主のためとは言え、なんだかんだと助けてくれたので、まあ悪い人じゃないのかなーと思っていたけれど、実はイヤな奴だったね!と爽やかスマイルでコメントしたい気分になりました。
コルゴンはやはり天然だった・・・!やっぱり掴みどころのない人だ!結局のところ、チャイルドマン教室の面々は仲が良い・・・。
それにしても、マジクはこの間ずっと病院で寝てたわけで。地人兄弟の出番もほとんどなく。なんか、だんだん出番が削られてるような?
クリーオウにとっては残酷な結果になったと思います。本当に善意でやったことが、ライアンを死なせてしまったわけですから。この場合、何をやっても結果は一緒だったとは思うんですけどねー。敵のことに、そこまで肩入れしてしまうクリーオウは素敵だと思うなあ。だからと言って、ライアンの立場を理解できるか、というとそれは別問題でして。
ライアンとヘルパートを倒しても、聖域vs最接近領の戦いはまだ続く!・・・んだっけ?コルゴンどうなっちゃうの?


「君に・・・・・・教えたかったんだヨ。ぼくの気持ちを伝えたかった・・・・・」

「ぼくの感じている絶望を!」