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読書の記録です。

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「名探偵の呪縛」

東野圭吾/講談社

図書館を訪れた「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一になっていた。次々起こる怪事件。だがここは、「本格推理」という概念の存在しない街だった。

父上が、電車に捨て置いてあった本を拾ってきたのがこれ。読後、捨てた人の気持ちがわかりました。
いまいち。
“名探偵の掟”は、非常におもしろかったので、残念さも2割増し。
そのー、これも本格に対する著者のスタンスというか、こだわりですよね。ですが、最後のオチまで想像がつく上に、トリックもなんだかなあというものばかりで、これでは主張に説得力が無い。
続編ということですが、“名探偵の掟”を読んだあと、特に続きが欲しいとは思わなかったので、あれで完結していたのかと思っていました。読んでみて、やはり続編は不要だったと思わざるをえません。
続編といえば、「幻夜」もいい勝負のつまらなさでした。読んだことを後悔しました。
まだ読んでないあなたは、読まない方がいいでしょう。


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「ラグナロク洞」

霧舎巧/講談社

中央アルプスの隠れ里を襲った嵐の一夜。土砂崩れで奇怪な洞窟に閉じ込められた「あかずの扉」研究会のメンバーを直撃する連続殺人と、乱れ飛ぶ不可解なダイイング・メッセージ!

いやはや、やっと続編を読む気になりました。シリーズ3作目です。
今回は、後動さんは出てこないのかな?と思いきや、しっかり登場し、しっかりおいしい所をかっさらっていきました。さすが名探偵。ユイとカケルはいまいち前進せず。ほふく前進のようにじりじりと詰めていっていただきたい。
建物トリックが大きな位置を占めています。館トリックって、図をイメージするのが大変で、エネルギーを使うんですよねー。その甲斐あって、今回の謎解きは素直に楽しめました。気になるところと言えば、捜査員に別人が混ざっていたら普通気がつくだろう、程度のところですかね。
ダイイングメッセージ講義には辟易しました。長いうえに、自分にとっては、わりとどうでもいい話でした。たぶん、ここまでしなくても、謎解きには支障が無かったと思います。騙される犯人は相当間抜けだと思います・・・。
霧舎学園シリーズも含めて、霧舎さんの作品を読むと“本格”に対する愛を感じます。良くも悪くも、著者なりの強いこだわりをお持ちのようです。


「クドリャフカの順番」

米澤穂信/角川書店

待望の文化祭が始まったが、古典部は手違いで文集を作りすぎてしまった。部の知名度を上げて文集の完売を目指すため、奉太郎たち部員は学内で起きた連続盗難事件の謎に挑む。

文化部の多さに驚いたけど、楽しそうな文化祭がうらやましい。私ん時はこんなに盛り上がらなかったよう。
シリーズものとは知らなかった。わからないエピソードがあったり。
同人誌について熱く語る方々にはついていけませんでした。レビューに関してはわからないこともないですが、レビューはあくまでも一意見であって参考なんだから、そんな真面目に考えなくても・・・とか思ったり。動機も、結局個人的な用事で何だかなあという感じで尻すぼみ・・・。口で言えよ。言えないなら心に仕舞っておくべき。
でも、色々なことが最後に収束していく流れはおもしろかった。特にわらしべ長者プロコトルが好きだなー。登場人物も個性的だし。青春バンザイということで。
“クドリャフカ”は、スプートニク2号で宇宙に連れて行かれた犬の名前らしいです。知らなんだ。登場人物たちはフツーに話題にしてますけども、もしや世間では常識なの・・・?


「とりーっく・おーあ・とりーっと!」
「いえー」
特に楽しそうだった2人組。いえー。
・・・いいなあ。かぼちゃかぶりたいなあ。


「ルパンの消息」

横山秀夫/光文社

15年前に自殺として処理された女性教師の墜落死は、実は殺人事件だった。時効まで24時間。捜査陣は、女性教師の死と絡み合う15年前の「ルパン作戦」に遡っていく。

「ふ~じ~こちゃ~ん」
のルパンではありません。私はそう思っていましたよ。ええ、そりゃもう。笑。
“ルパン作戦”というのは、学校からテストを盗み出す作戦。しかも3回も!勉強しろよお前ら・・・。なぜに三億円事件?と思っていましたが、最後の最後に「ああ、それでか」と思わせてくれます。しかし実は、まだ完全に納得できてない気分・・・。
時効まで24時間という中で、刑事達の奮闘ぶりがかっこいい。特に婦警さん最高。色々ご都合主義も発動はしてますが・・・。
私としては動機に同情の余地は無いと思うのですが。誘いに乗る方も乗る方だし、イヤならきっぱりと断るべき。それで限界が来たら殺しておいて、実は我慢してただの、苦しかったの言われましても、それは自業自得でしょうが。何、この優しい扱い。
とはいえ、二重のからくりには満足しましたし、おもしろかったと思います。
最後に、不審に思った点は“社会派”との謳い文句。「え?」という感じです。三億円事件が出てきたから?少なくとも私の感覚では、本作は社会に何も問いかけていないと思うのですが、いかがでしょう。


「紅牙のルビーウルフ」

淡路帆希/富士見書房

盗賊団に身を置く15歳のルビーウルフは、不似合いな長剣を携えた美しい少女。しかしある日盗賊団は、グラディウス国軍の襲撃を受ける。 殺された仲間の仇を討つため、そして民に幸せをもたらすため、ルビーウルフの旅が今、始まる。

オーソドックスなファンタジー。そつがなく、ポイントも押さえているので非常に安定した読み心地。次回作が楽しみで、期待できる作家さんだなあと思いました。
でもさ、いきなり本誌で連載とか始まっちゃったりして、ちょっとプッシュしすぎでは・・・?とVIPな扱いに疑問を感じてもいます。おそらく、私の天邪鬼な性格がそう思わせるだけで、本自体に問題は無いので。そこんとこよろしく。
まあ、それはさておき。
あっさりと盗賊団が壊滅する展開には驚きました。ここまであっさりやられると気持ちいい。隣国のお姫様も腹黒く、仲良しこよしで終わっていないところがいい。
この作品の爽快さは、やはりルビーさんの男前の性格によるところが大きいと思います。豪快だけど、繊細で小悪魔。ジェイドとの恋の行方は・・・、そのうち収まるところに収まるでしょう。王道とはそういうものです。笑。
ま、一番はわんわん最高!なのですが。椎名さんの挿絵がかわいい・・・。
欲を言えば。やっぱり国を巡る戦いは策略があってなんぼなのですよ!今作でも無いことも無いのですが、幼稚という印象は否めない。求む!策士!