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読書の記録です。

「ニンギョウがニンギョウ」

西尾維新/講談社

「――映画を見なければならぬ。十七番目の妹のために。」

「私には合計で23人の妹がある」
・・・シスプリですか!?
(説明しよう!“シスプリ”とはPSソフト“シスタープリンセス”の略である。突然12人の妹ができたら・・・という設定のギャルゲー。個性にこだわるあまり“おにいたま”“兄くん”“兄や”“兄チャマ”など、ありえない呼び方が会話を飛び交います!)
さて。読んだ後に何も残らない作品でした。奇妙な世界観はさておいて、西尾さん作品といえばお馴染みの言葉遊びが暴走気味だったような気もします。難解なことは必ずしも美徳だとは限らない。わかる人にだけわかればいい、という内側へのベクトルしか感じなかったのが残念。
最後に、この本の価格、実は1500円なのですが、400円も足せばハードカバーが買える値段であることを出版社様はわかっておられるのか。西尾さんの本ならいくら高くても売れると思っておいでか。西尾維新の本ならと思って買ったら、この薄さにこの内容。ファンの足元を見ているようなその姿勢が気にいらない。


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「12月の銃と少女」

吉田茄矢/富士見書房

上司と衝突し、アトランタに飛ばされてきた新米刑事のホンダ。今度の上司はなんと13歳のガキ。爆破事件の容疑者・美少女ヴィスコを追ううち、彼女の仇討ちに手を貸すことに……。三人の奇妙な追跡劇の行方は!?

ヴィスコ嬢がプリチーです。かぼちゃパンツは必見ですよ!もっと出番があっても良かったのに・・・。
ヤクザと拳銃が出てきて、ついでに一人称とくればもう、ハードボイルドですねえ。謎解きもあるのですが、別にどうでもいいや・・・、と考える事自体を放棄してしまいました。そそられない。後半盛り上がりもいまいち。シリアスなシーンでのホンダのツッコミは逆効果だと思います。変な余裕がありますヨ・・・?
逆に、前半から中盤にかけてのホンダの呟きやらツッコミはとてもおもしろかったし、入れるタイミングが絶妙で読んでて楽しかった。話のテンポも良かったですし。
相棒ものということですが、突っ走るホンダをカバーするウォルターが非常に憐れなだけで、友情や信頼というものとはかけ離れた印象です。
表紙買いだったのですが、想像以上に楽しめました。良かった良かった。


「探偵ガリレオ」

東野圭吾/文芸春秋

火の気もなく燃えあがった若者、心臓の周りだけが腐った怪死体…常識では考えられない謎を、理工学部助教授・湯川と警視庁捜査一課・草薙のコンビが解明する。

過剰すぎるヒントによって、トリック自体を見破るのは難解ですが(なんせ私文系人間ですから。)犯人や、動機なんかは推測しやすい。題名からして、もうそのものです。ただ、0.5ひねりくらいの意外性もあるのでご注意を。
物理学的(科学的?)にこのトリック(現象)がどうなのか、私には良くわからないので、「へえー。」という感想しかありません。面目ない・・・。話の核なのに・・・。
映像化するとおもしろそうです。やっぱり実験は、自分の目で見た方がおもしろいですよね!爆発とか、光の屈折とか。

「いかなる理由があるにせよ、エントリーを忘れるような選手は試合に出るべきではない。また、そんな選手が勝てるはずもない。学問も、やはり戦いなんです。誰にも甘えてはいけない。」
私も履修登録を間違えたことがありますが、先生方は快く判子を押して下さいました。いい加減・・・もとい、寛大な先生で良かったです。笑。


「そのときは彼によろしく」

市川拓司/小学館

小さなアクアショップを営む「ぼく」のもとに、一人の美しい女性がアルバイトにやってくる。やがて彼女は幼なじみの少女で初恋の人、花梨だと判明する。

15年越しの恋。
押し付けがましくない優しい雰囲気がいいと思います。会話の間の取り方が私好みですね。
お父さんがすごく素敵です。レストランでの一幕とか。お茶目でかわいい。
トラッシュが好き。もう、彼にまつわるエピソードはうるうるしてしまいます。生き物には弱いのです。うちの犬と重なって見えてくるのよう。
私にはこんなにキラキラした思い出は特にないので、うらやましいやらなんやら。
ただですね、私はこれをファンタジーだとはこれっぽっちも思っていなかったので、最後の方は肩透かしを喰らわされた感じです。夢の世界?はあ?と首を傾げてしまいました。現代の恋愛小説だと思っていたのに、わけのわからんものでお茶をにごされた感じがして、後味がすっきりしなかった。そこが残念。

「でも、この悲しみには意味があるんだよね?」
「うん、きっとね。悲しみが深いほど、ぼくらは彼のことを強く記憶に残していくんだ。」


「パズル自由自在」

高田崇史/講談社

複雑に絡み合った「脳内知恵の輪」をあなたは解くことができるか!?天才高校生千葉千波が6編の謎に挑む。

物語の中にはさまれるパズルが毎回解けなくて、「ガーッ!」となります。わたし、はなわのIQ都道府県もわからないくらい脳みそ硬いですから。親切なことに解答編がついているのですが、わかったようなわからないような自分が情けない。ワニのジレンマが一番不明でした。
頭を悩ますだけではなく、ちょこちょこおもしろいところがあります。「たまげ」って・・・。悲惨・・・。笑。
ただ、肝心のメインの謎解きが・・・。ロジカルな謎解きは最初の1本目だけのような気がするんですけど!あとは動機から入ってたり、別に推理でも何でもないようなものだったり。パズルと言えば論理的な感じがするので、もっと思考して欲しかった。そこが不満でした。
チョコちゃんの傍若無人ぶりが目に余る。私だったらしばいてます。
・・・で、ぴいくんの本名はなんなのさ。戯言シリーズのいーちゃんもそうだけど、小出しにする意味があるのか。これだけひっぱるなら、ネタ明かしはそれなりのものを読ませていただかないと、到底納得できないよ?