「本格ミステリ04」 本 2007年08月07日 本格ミステリ作家クラブ◎編/講談社世間では05が発売されているようです。・・・いいんです。買っても読んだことあるのが混じってるしー。私には短編がうまい作家さんは長編もおもしろい率が高い(逆に短編がひどいと長編は期待できない)、という持論がありまして、短編の方を重視する傾向にあります。だから、おもしろい短編に出会うと小躍りしたくなるほどうれしくなってしまうのです。運命の出会いだ~。って。そんなわけで、新たな出会いを求めてみたのですが今回はピンとくるものが無かった。一番良かったのは「筆合戦」ですが、これ既読だし。次点は「走る目覚まし時計の問題」のハルさんがいい感じ。全体の雰囲気が加納朋子さんの作風っぽくて好き。ただ、謎解きがいただけない。あとはー、「廃墟と青空」「顔のない敵」がまずまず。あのー、今日の文章偉そうですが、自分本格とかそうでないのとかよくわかってないんで。好みしかないんで。すんません・・・。 PR
「龍臥亭幻想」 本 2007年08月07日 島田荘司/光文社 雪に閉ざされた龍臥亭に、八年前のあの事件の関係者が再び集まった。 何かの続編なのか、はたまた独立した物語なのかさっぱりわからない。石岡先生とは、あの石岡さん?ぐらいの予備知識しか無いので・・・。御手洗潔はわかりますよ!(←当たり前か・・・。) 孤立した村が舞台、という事で雰囲気は八つ墓村ちっく。方言が読みにくい!ひたすら読みにくい! 森孝伝説のインパクトが大です。読み始めがアレだっただけに、どんな話やねんと。 案外普通そうで良かったー。痛い話は苦手なのです・・・。 そして下巻。カバーの文字「御手洗潔と吉敷竹史!」とは裏腹に、彼らの出番はかなり少ないです。だまされるな!下巻はたたみかけるような展開で、どきどきしつつ一気に読めました。島田さんの本は、少ししか読んでないのですが「緻密」というイメージがあります。背景がしっかりしているというか・・・。ミスリードも手が込んでいます。鎧が動いた時は「超常現象か!?」と心の中で悲鳴をあげましたが、なんとか筋の通ったトリックがあって良かったです。(多少強引ではありますが、私はOK。)後は油絵の謎だけ。一体あれは何だったのでしょう・・・。今作はもう、トリック云々というより最後の告白にぐっときました。男の生き様が詰まった本です。生首が大丈夫な方はぜひご一読を。
「工学部・水柿助教授の逡巡」 本 2007年08月07日 森博嗣/幻冬舎もう、誰が読んでも水柿小次郎=森博嗣、なわけで。今作では、水柿君が小説家になってからその後のお話です。ますますエッセイ色が濃くなりました。私も、須磨子さんのように「ミステリーとは!」みたいな妙なこだわりを持っていた時期がありました。今は大分落ち着いてきて、おもしろければ多少の力技には目をつぶります。だからと言ってなんでもありというわけではなくて、制限された中での意外性がミステリーの魅力というか。なんというか。・・・ええっと。これ以上に本文中では良く話が脱線しています。たまにならおもしろいんですが、長々とやられると・・・むかつく。森さんの人柄や作家という仕事に興味がある人にはおもしろいのかもしれません。私は特に森ファンというわけではないので。いまいちでした。むしろ、須磨子さん(ささきすばるさん)のファンになりそうです。
「怪笑小説」 本 2007年08月07日 東野圭吾/集英社ばかばかしくて、クスリと笑える短編集。でも、ちょっと考えさせられることも・・・。おもしろいだけじゃありません。一作ずつについている著者のあとがきも必読ですよ~。「一徹おやじ」と「しかばね台分譲住宅」が好きです。発想がおもしろい!「あるジーサンに線香を」は少しほろりとしました。文体が「アルジャーノンに花束を」に似ているなあと思っていたら、やはり狙って書かれていたようで。「アルジャーノンに花束を」と言えば、中学生の時にこの本を読んで号泣したなあ、と懐かしくなりました。今もう一度読んでも、やっぱり泣いてしまうと思います。
「グラスホッパー」 本 2007年08月07日 伊坂幸太郎/角川書店グラスホッパー【grasshopper】名詞、バッタの意だそうです。(ジーニアス英和辞典より。)軽いハードボイルドかなあ、というのが私の読後のイメージなのですが、帯にもあるように分類不能が一番近いかも。軽いタッチなんだけど、最後はシリアスな展開だし。終わり方も決してハッピーとは言えない。伊坂さんの作品を読むたびに、とにかくかっこいい小説だなあ、と思います。歯切れの良い文体に、洋画を見ているかのような言い回し。切りかえし。一本筋が通っていて、追いかけたくなるキャラクター。最後には、私の好きなどんでん返しがありますが、スズメバチのエピソードが一番良かった。伏線がさりげなさすぎて、全く気付かなかった!オススメです。これだけでなく、ぜひ他の作品も読んで頂きたい。