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読書の記録です。

「書店ガール2」

碧野圭/PHP研究所

吉祥寺に出店する大手書店チェーンに転職を果たした理子と亜紀。しかし、大型書店の店長という、いままでと違う職責に理子は戸惑っていた。一方、文芸書担当として活躍する亜紀にも問題が・・・。

ペガサス書房吉祥寺店が閉店になり、大手チェーン店の新興堂書店に転職した理子たち。理子は店長、亜紀は文芸書の担当として頑張っています。・・・という、前作から2年後くらいの話。
今回は、仕事と育児の両立と、地域の本屋の活性化、言葉狩り・・・といった問題が出てきます。
亜紀は妊娠をきっかけに、夫から仕事を辞めるよう暗にすすめられ、関係が悪化。このあたり、まあ、最近良く聞く話で、一般論VS一般論みたいな感じで、特に目新しくもなかったですね。私なんかは、特に仕事に愛着ないんで「喜んで!」って辞めると思いますけど。笑。最近は、共稼ぎが当たり前でイヤな世の中ですよね・・・。亜紀みたいに仕事も子育ても家庭も!って頑張れる人がいると、そのイメージが定着するので、ほどほどにして欲しいです。世の中、そんなにガッツのある人ばかりじゃないんで・・・。3ヶ月とか6ヶ月で復帰する人を見ると、すごいというより、なんか悲しいというか・・・。まあ、私が何を言ってもコメント上滑りですけど・・・。仕事って、そこまでしないといけないのかな?頑張らない両立の仕方、あったらいいのにね。
あとは、物語後半の合同ブックフェアがおもしろそうだった!私は買うなら文庫派で、書店員さんの文庫のオススメコーナーあったらおもしろそうだなと思いました。長く本を読んでいると、自分なりの本に対する嗅覚がありますけど、やっぱり他人の本棚は気になりますよね~。笑。読まないジャンルの本は全くわからなくて、徐々に守備範囲を広げていきたいなーという野望がメラメラと燃え上がってきました。「これ、一緒にやってみない?」って言われたときに、「なんだかおもしろそうだから、とりあえずやってみよう!」って言える人ってステキです。企画のために、色々と調整する理子さんは、本当に1巻の理子さんと同じ人?ってくらいに良くできた人でした。亜紀への気遣いも大人~って感じ。
理子にも唐突に(笑)恋の話がわいてきますが、これホントに唐突だな。お相手は妻子持ちで、単身赴任で東京に来ている田代。前から吉祥寺の女傑・理子に憧れていた?興味があった?か何かで、理子も尽くされている内に惹かれていって・・・。・・・そんなこと、あるわけない!男はねえ、若い女が好きなんだよ(断言)!独身男ならともかく、妻子持ちが不倫相手に選ぶなら20代だな(断言)。一線を越えるともう別モノになってしまうところを、キレイに別れてくれて一安心です。理子さんには、もっと頼りがいのある男の人がいいよ。口説き方も中途ハンパやし・・・。田代はあかんわ。
一箱古本市、おもしろそう!古本市というものに行ったことがないんです。古本屋もあまり行かないので・・・。鴨川神社の古本市とか、行ってみたいなー。
続きの3巻も出ているようで、こちらも機会があれば読もうっと。


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「アクロイド殺し」

アガサ・クリスティー/早川書房

名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。

当時、大きな反響を呼んだ1冊。叙述トリックになるのかな?
テレビでおなじみの名探偵ポアロですが、テレビで見たこともなければ、本を読むのも初めてです。ポアロも結構謎解きをじらしますね・・・笑。エルキュール・ポアロはベルギー南部のフランス語圏出身という設定で、英語は不慣れな描写があったりします。時々フランス語をはさんで話すって、ルー大柴みたいな喋り方なのかなあ。本人曰く、イギリス人を油断させる作戦だとか。・・・油断するのか?推理を働かせるときは、「灰色の小さな脳細胞」が活動するらしいです。普段使ってないところを使えってことなのかな?この決めゼリフがいまいちピンと来なかった・・・。
さて、シリーズ3作目では、ポアロの隠居先で起こります。土地の名士であるロジャー・アクロイドが何者かに刺殺された。その少し前に結婚間近と思われていたフェラーズ夫人が自殺しており、フェラーズ夫人の前夫も数年前に薬の過剰摂取で亡くなっていたことが判明する。容疑者全員が、何か秘密を抱えており捜査は難航する・・・。事件後、姿を消したラルフ・ペイトン(アクロイド氏の養子)の婚約者フローラ・アクロイド(アクロイド氏の姪)が、ラルフの嫌疑を晴らすため、ポアロに捜査を依頼する。
ざっくりネタバレしてしまうと、犯人は語り手(と思わせておいて実は手記)なんです。語り手が犯人だと都合の悪いことは書かないのではないか。読者に対して、フェアかアンフェアか?という意見があるようです。うーん、今回は、鈍い私にも犯人がわかったくらいなので(わからなかったのは、犯行現場で何をしたか)、フェアじゃないかと思います。本筋の謎よりも、アクロイド家の人々のあれやこれやがおもしろかった。ラルフ・ペイトンが実は結婚してたとか、ラッセルさんには隠し子がいるし、執事のパーカーはお金を狙っていた!フローラはお金を盗むし・・・。他人の家のゴシップ。キャロラインじゃなくても、おもしろいと思いますよ。
なんで表紙が電話なのかなあと思っていたのですが、トリック解明の最後のカギだったからかー。彼がトリックを完成させるためには、もう一度犯行現場に戻る必要があり、その口実として使ったのが電話なのです。録音機械も出てきて、今だったらICレコーダーとかあるし、ポケットにいれて持ち歩けるのになあと思ったりした。
最後にポアロが犯人に意外な提案をするところまでは、楽しく読んでいたのですが・・・。ポアロ、一体どうした!?「あーあー、こんなことになって、お姉ちゃんは悲しむだろうなあ。でも、まだ睡眠薬の飲みすぎって手があるぜ・・・。まっ、あとはオレがもみ消しておいてやるから、安心しなよ・・・。」・・・その筋の方風に言うと、こんな感じでしょうか。探偵の行動としては言語道断だし、なんとなく、お姉さんにはすべてお見通しだと思うなあ。


「清須会議」

三谷幸喜/幻冬舎

信長亡きあとの清須城を舞台に、柴田勝家、羽紫秀吉、丹羽長秀、池田恒興ら武将たちと、お市、寧、松姫ら女たちの、歴史を動かす心理戦が始まった。

清須会議を知らなかった私・・・。世間では常識らしいですね・・・。
大河ドラマの黒田官兵衛も出てきて、「おおー、今、秀吉に仕えてる時期の話をやってるよなあ」とか思ってました。歴史に疎いと、誰が誰だか、いつの時代なのやら、めちゃくちゃです。
清須会議とは、織田信長が本能寺の変で討たれ、その後すぐに明智光秀も討ちとられた後、織田家当主を決めるために開かれた会議です。信長には3人の息子がいたのですが、長男は本能寺の変の時に二条城で討たれ、残るは次男と三男。次男は少々頼りなく、有力なのは三男の信孝とされていた。柴田勝家は信孝を擁立し、筆頭家老の座を守ろうとする。しかし、あの男がそれを黙って見ているはずがなかった・・・。
ザ・成り上がりの羽柴秀吉が、天下統一に向けて動き出した!さすがに私も誰が勝つかは分かるので、どきどき感はなかったです。話はすべて登場人物の一人称。ほとんどが腹の探りあいで、正直、3分の1くらいで飽きました。笑。
会議自体のおもしろさはおいておいて、人間の滑稽さとか、空しさとかを表現するのがお上手です。この辺はさすが三谷さんだなと思いました。次男・信男のイノシシ狩りのアホっぷりと言ったら・・・。オレ、ブドウ狩りならうまいよって。いやいや。あと、池田さんの迷いっぷり。行き過ぎたーっ!って駄目じゃん!
堀秀政のことを秀吉が「きゅーきゅー」と呼んでいるのがおかしかった。きゅーきゅーってペットみたいだな・・・。前田玄以の朝礼シーンが好きでした。なんか、この戦国の世にも、普通の事務方がいたんだなあと思うと、ほっとします。
映画の方も見てみたいです。テレビでやらないかなー。


「虚像の道化師」

東野圭吾/文藝春秋

指一本触れずに転落死させる術、他人には聴こえない囁き、女優が仕組んだ罠・・・。刑事はさらに不可解な謎を抱え、あの研究室のドアを叩く。

いつの間にかシリーズの通し番号がついている!シリーズ通り読まなくても大丈夫だとは思うけど、長編短編入り混じると、確かにわかりづらい。
ドラマ「ガリレオ」のシーズン2あたりの話ですね。何故に柴咲コウから吉高由里子になったのか・・・。あれはひどかった。
「幻惑す」まどわす。ある新興宗教団体で起きた飛び降り事件。教祖が警察に出頭してきたが、彼が言うには「念を強く送りすぎたため、飛び降りた」らしい。大がかりな装置シリーズです。笑。トリックの種は、マイクロ波。電子レンジに応用されているこのマイクロ波を、信者の体に照射して体が温まる現象を、念によって浄化されたと呼んでいたにすぎなかった。しかも、教祖自身は自分に力があると信じていて、裏ですべてを操っていたのは、教祖の妻だった。偽編集長として教団に乗り込む湯川先生。ノリノリだなー。
「心聴く」きこえる。ある会社の社員が相次いで自殺する。そんな中、草薙が受診した病院で偶然暴行事件が起こる。犯人は同じ会社の社員だった。彼はひどい幻聴に悩まされていた。これも装置シリーズ。何でも、狙った相手にだけ電磁波を送って音を聞かせることができるというもの。いや、洗脳はびっくりですね。自分を好きになってもらう方法、なんか、他にあるやろ!笑。仕事も恋愛も他力本願はダメ!妬みや僻みだけでは、自分はいつまでも同じまま。私も頑張ろう。
「偽装う」よそおう。大学時代のテニスサークルの友人の結婚式に招待された湯川と草薙。大雨による土砂崩れで陸の孤島となった町の別荘で、殺人事件が起こる。協力を求められた草薙が捜査を行うが・・・。おお、ミステリーの王道、土砂崩れが出た!物理学の考え方から、散弾銃の衝撃を受けた遺体が、椅子から投げ出されないのはおかしい・・・ということから、殺害の順番がキーポイントとなります。最後はちょっといい話仕立て。
「演技る」えんじる。ある劇団の演出家が殺害される。捜査を進めていくうちに、第一発見者の劇団員の女優と被害者は交際していたが、二股をかけた挙句、彼女とは別れ同じ劇団の別の女優と付き合っていたことが判明する。ドラマでは、花火が結構重要だったと思うのですがー。なんか、無くてもよかったですね。確かドラマでは、第一発見者の女優が、そのまま犯人だったと思うのですが、小説では現恋人が犯人で、彼女をかばうための工作というひとひねりがありました。スマホが主流になった今では、手先の感覚だけで携帯を操作するのは難しいかな・・・。
変人・湯川先生がだんだん気さくないい人になっているような。気のせい?


「ごはんぐるり」

西加奈子/NHK出版

「初デートでは何を食べるのが正解?」から始まる男と女の食をめぐる正解シリーズ、幼い頃のカイロでの食生活、大阪のDNAがうずく食べ物たち、世界のめずらし料理実習記。“何でも美味しい、幸せな食オンチ”の作家が綴る、弾ける食エッセイ&書き下ろし短編食小説「奴」。

西さんの著作は読んだことがなくて、勝手に恋愛小説かなーと思っていた。このエッセイも、あらすじに「初デートでは~」とかあるので、恋バナがメインなのかなあと思いながら読んでみたら、全然違うテイストでした。なんていうか、大阪人の歯切れの良さ感が全開で、さっぱりとしたお話が多かったです。ちなみに西さんは、イラン生まれのエジプト、大阪育ちと国際的な生い立ちですが、ご本人も書かれているように、大阪人でいらっしゃいます。私も関西圏の人間なんですが、大阪と関西って別モンですからね!誤解のないように!笑。大阪の人は、確実に勢いが違うなあーと思います。
さて、ごはんにまつわるお話です。印象に残ったのは、エジプトでの食生活。ごはんの中に石が混ざっているので、ごはんの掃除から始まるそう!また、エジプトでは生食が危険。飛行機の手荷物で持ってきた生卵で作る、「たまごかけごはん」は絶品。中東地域の食生活って、良く知らなかったけど、想像以上に過酷ですね。豚ダメとか牛ダメとかそういうレベルじゃないわ。今は食材が手に入りやすくなっているといいけど・・・。そんな中で、家族のためにおいしいごはんを頑張って作り続けた西さんのお母さんがすごいなあと思います。母の愛ですね。
あとは、悪食話。西さんは、麺がスープを吸ってのびてのびまくった物体が大好物なんだけど、これが見た目も味も一般的に「あかん」ということがわかっているから、大好きな旦那さんの前で食べられない!と。これはわかります!っていうか、もだえる西さんがかわいい。笑。テレビでも「あかん飯」っていうのやってたましたよね~。大好きな見栄えの悪すぎる食べ物。きっと、誰にでもあります。ちなみに私は、納豆かけごはんでしょうか・・・。私はいたって普通のつもりなんですが、嫌そうな視線を感じます。「うわー・・・」という効果音も聞こえます。
食の正解シリーズは、私にはちょっと良くわからない・・・。しかし、コンパでウーロン茶とか時間のかかるカクテルを頼む女はダメらしい・・・という話を思い出した。ビール嫌いな人はどうしたらいいんだ。まあ、何にせよ、不正解だらけの私には耳の痛い話でした。
後半の世界のごはんシリーズはネタに困ったのか?と思っていたら、やっぱりそうだったようで。エッセイでルポが出てくると、大抵ネタに詰まってる感じがします。文章で読むとおいしそうなんですけど・・・。日本人向けにアレンジされた料理がやっぱり一番おいしいなーと思ってしまいます。食でも保守派・・・。
なんだかおもしろそうな方なので、本もおもしろそう!(そしてベタな恋愛モノではなさそう)今度は小説をひとつ、読んでみようと思います。