忍者ブログ
読書の記録です。

「シャンク!!ザ・ロードストーリーvol.2」

秋田禎信/角川書店

古木の森を抜けたシャンク達が向かったのは〈月光館〉。この館でシャンクは「旅の終わり」を見つけることが出来るのか?不死を求めるシャンクたちの旅は、いよいよ佳境へ!

えっ、最終巻・・・?
前巻で何も進展してないじゃん!と思ったのに、次の巻でもう終わり?すごい、何をどうまとめて最後はどうしめるのかしらん・・・。と少々不安を感じつつ。
急展開も急展開でしたねー。いきなり大殺戮が始まった時はびっくりしました。絵はファンシーなのに、殺伐とした空気が漂ってます。不思議空間です。言わば、この小説の世界観自体が飲み込みにくく、私にとっての不思議空間でしたが、最後の最後で、世界観(魔法観?)をつかめたような気が、します・・・。何かの錯覚かもですが。
猫が人間に戻るのがやっぱりハッピーエンド?と思っていたのですが(ほら、だって呪いだし)、秘密は秘密のまま今まで通りエンドでした。ひた隠しにしている秘密って、結構どうでもいいじゃん?って思う時が多い。うん、まあ猫が猫のままだったので、何でもいいや。


PR

「陽気なギャングの日常と襲撃」

伊坂幸太郎/祥伝社

史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始める。絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス!

実は地味におもしろいんですよ、これ。
前の“~が地球を回す”も全然期待してかったのに、すごくおもしろくて嬉しい誤算だったのを覚えています。長編かなあと思っていたら、短編4本とちょっと短い中編が1本という構成です。あとがきで伊坂さん自身も書かれていたように、彼らはやはり4人でばたばたしているのが一番輝いているというか。笑。やっぱり、中編のほうがおもしろかった。
コミカルな会話は伊坂さん独特の雰囲気。慣れたせいか、ちょっと物足りなさを感じる時もありました。悪く言えば、血が通っていないような気がするセリフがちらほら。
短編は謎解きとしてというより、強盗犯の日常生活を楽しむという感じ。しかし、伏線が異常に多くて、後からのこじつけなのか、張り方がすごいのかなんなのか、良くわかりません。とにかくつながりすぎだろう・・・。
映画化のビラが入っていて(公開はとっくに終わってます)、佐藤浩市さんに反応してしまいました。佐藤さんの響野なら見てみたいかも。しかし、イチオシの久遠君が松田翔太というのが不安だ・・・。


「二人組の銀行強盗はあまり好ましくない。お前は右で、俺は左、それならいっそのこと各人で行動しよう、と呆気なく解散する羽目になる。
では、一人で行動してみるとどうなるか。口論も裏切りもないし、選択はいつでも自分の思うがまま、何よりも自由だ。けれど、一人きりの強盗はどうにも孤独感がつきまとう。会話がなく、気持ちが沈むし、下手をすれば独り言が癖になる。
三人ならどうか。確かに悪くない。多数決には適しているし、二人が喧嘩をはじめれば、一人が仲介に入れる。けれど、三人乗りの車はあまり見かけない。逃走車に三人乗るのも四人乗るのも同じならば、四人のほうがお得ではないか。五人だと窮屈だ。多数決のことは忘れよう。
というわけで銀行強盗は四人いる。」
すごい!そうだったのか!
戦隊ヒーローが5人いるのにも、何か理由があるに違いない!


「ネクロポリス」

恩田陸/朝日新聞社

懐かしい故人と再会できる聖地、アナザー・ヒル。死者たちを『お客さん』と呼び、温かく迎えるヒガンという祝祭空間。連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこで新たな事件が起こる。

恩田節炸裂!幻想的な描写が秀逸です。
重なり合う謎、謎、謎・・・って、ちゃんと風呂敷畳めるの?大丈夫?と心配した通り、結局心霊的な要因で片付けられたって感じでした。しかも、私の苦手な双子ネタがっ!本作は、フェアな出し方だったので不快感は感じなかったのですが、双子は本当にむかつく時が多くて辟易します。
日本とイギリスの文化が混ざり合っている、という設定のようなのですが、この辺リアルな文化もあるわけで。鳥居が立ってたり。どうにもちぐはぐな印象を受けました。どうせなら、全部架空のものでやってしまえばいいのになあ。そういえば、かごめかごめって本当は怖い意味があるんですよね。確か。
今はちょうどお盆の時期ですね。お盆とお彼岸は違いますけれども・・・。まあ、似たようなものだからいいじゃん。(←バチあたり)そんなわけで、死んだ人に逢えるという事が、果たして幸福なことなのかどうか迷いつつ読んでいました。ううむ。未練がましい私は、きっともう一度逢ってしまったら余計つらい思いをするのではないかと思います。
途中までの盛り上がりはおもしろいし、雰囲気だけでも楽しむ価値はあるかな?


「Gosick」

桜庭一樹/富士見書房

西欧の小国・ソヴュールに留学した少年・久城一弥。彼はふとしたことから知り合った少女・ヴィクトリカとともに、郊外に住む占い師殺人の謎に挑む。

富士見ミステリー?文庫。LOVEとか言い出した時は正直どうしよう・・・と思いましたが、なんだ、ミステリーもあるじゃないですか。確か、ドラゴンマガジン本誌で短編を読んだ時に良い感じのシメ方だなあ、と思った記憶があります。
タイムスリップしちゃうのかな?だって富士見ミステリー文庫だもん・・・(すごい偏見)、と思っていたのも束の間。過去の情景と現在が重なって、臨場感あふれる展開でした。テニスボールのネタは他で読んだことがありました。有名な手口のようですねー。全体的に納得できる範囲のトリック。一番驚いたのはブロワ兄妹。ですね。
私の中の不純な動機、ヴィクトリカ嬢は想像以上にプリチーでした。ほっぺ!ほっぺ!一弥君は挿絵を見る限り、ごついというよりは童顔でかわいい感じがします。全然怖くないよ。笑。挿絵と言えば、241ページの絵が素敵。斧を持ってフラリと立つ人影・・・。逆光・・・。ぞくぞくしますねー。
帰りに本屋で2巻を買いましたとも。もちろんさ!
・・・そして積む。(ダメじゃん)


「イケニエのヒツジ」「イケニエのロンリ」

榊一郎/富士見書房

トリスタン市では、魔法と関係のない人たちが、ある日突然魔族化するという謎の事件が頻発していた。そんな中、深夜の街角でレイオットは異形のものに遭遇する。

ストジャもいつの間にやら8冊目。上下巻だったのでまとめちゃいました。
この作品、世界観が好きです。毒をもって毒を制すというところが。あと、人間のダークな側面が浮き彫りになっている作品に弱いです。なんでだろう。
今回は、“生け贄”というキーワードが示す通り、弱肉強食がテーマ。自然界では、弱いものが強いものに食べられるという、いわゆる食物連鎖の図式が成り立っているわけですが、人間はその食物連鎖から外れた存在であるわけですよねー。皮肉なことにその人間も、結局は弱い人間を踏み台にして強い人間が利益を得ている。つまり、多数の生命が存在する以上、弱肉強食のルールから外れることはできないんですね。平等なんてありえない。人間が生きていくということは、食べるということ。環境を破壊していくということ。環境問題なんて人間が滅びれば一気に解決しますよね、きっと。ベジタリアンだって、結局は野菜食べてるし。野菜も一個の生命でしょう。それこそ、仙人みたいに霞食べて生きれるようにならなきゃ。
ごちゃごちゃしてきたので、ここらで弱肉強食は置いといて。
見所は、一見善良そうな兄妹の黒さ。良い感じですー。背後の組織がちらちら見え隠れしていますが、その辺の記憶が全く無いので掴めてません。このまま行くと、超人同士の戦いになるんじゃないですか。
ロンさんの魔剣<パルティータ>にときめきました。うわー、魔剣もっと出てこないかなあ。モールドとかスタッフもいいんですけど、やはり魔剣の響きには勝てないぜ!