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読書の記録です。

「DクラッカーズⅡ」

あざの耕平/富士見書房

「君のことは絶対に守ってみせる」景のその真剣な言葉に、梓は思った。7年前のあの頃が戻ってきたみたい、と。しかし、心の距離を縮める幼なじみたちに関係なく通称・カプセルと呼ばれるドラッグを巡るマーケットは、激動の時代を迎える。

あのかっこいいシメからの続きです。
さすが、2巻(ミステリー文庫では)の見せ場のひとつ、と3巻のクライマックス、景と甲斐の悪魔戦は大迫力でした。サメ!サメはかっこいいな~。あと、景がバイクを乗り回すのはちょっと・・・。イメージが・・・。
ますます現実離れしてきました。ファンタジーで現実離れも何もあったもんじゃないですが。笑。後半のあのシーンをどう解釈して良いのか、自分の中でまだ処理ができていません。おそらく、「女王」が今後のキーポイントだと想像されるので、これから処理に困る現象が多々起こるのかと思うとちょっぴり不安な私。
ラブ&ロマンチックシーンは、恥ずかしいですなー。景が梓に心底惚れてるんは良くわかった!わかったから、そんな恥ずかしいセリフを言わないでくれー。全然恥ずかしいこと言ってないんだけど、彼らの初々しさはいかんな!けしからんな!と、照れ隠しに怒ってみる。ああ、カユイ・・・。
しかし、セルネットって、葛根市限定の組織だったんですねー。すごくスケールのでかい組織を相手にしているのかと思いきや、組織の構成員も若者ばかりだし・・・。チンピラ?なんか、あれ?そんだけ?っていう肩透かしを喰らいました。セルネットも潰れるだろうし、大物はこれからなのかもしれません。ひそかに、水原と千絵のフラグも立つのかなーと思っていますが、果たしてこれが物語のおもしろさにプラスになるのか・・・。非常に疑問を感じてしまうところが残念。


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「灼熱のエスクード」

貴子潤一郎/富士見書房

「エスクード」新章スタート!教皇庁、魔術師協会から追われる凶悪犯『トリプル・クラウン』。奴が突き付けた交換条件を果たすため、教皇庁のエージェントである薫は魔術師ルーシアと闇の美女レイニーと共に、魔族たちのオークションに潜入する!

シ、新章デスカ・・・。いまさら・・・(ぼそっ)。という本音はありますが、とにかく続きが出たことを喜びたいと思います。わーい。挿絵の変化の大きさに、空白の期間の長さを感じる・・・。
すっかり、教皇庁のエージェントが板についてきた薫君。学園生活を大事にしている彼が良いです。それにしても、ブラディミールが普段は異空間にあって、使う時は宝石を壊して取り寄せる、という設定が気に入らない。まわりから変な目で見られてもいいから持ち歩いて欲しい!笑。
なんか、薫のレイニーに対する感情、好きとか愛している、ではなく、憧れや理想、もしかすると神聖視にも近い感覚がすごくわかるような気がするんだなー。ほら、私ってどっちかというと、薫よりの一途な子だから!
もうひとつ、ルーシアにも大きな変化がありました。っていうか、ルーシアって手の施しようがないくらいに子供だ!標準的な高校生女子なら問題ないけど、魔族とやりあうエージェントとして、その行動はあり!?プロ意識に欠けるなあ・・・。天然ボケの人格のほうが、消滅した(同化した?)ということなのかな。そういえば、人格のチェンジとともに、眼鏡とコンタクトのチェンジもあったと思うのですが、その設定はどこへ?笑。
オークションの駆け引きも見所だと思うのですが、ルーシアと薫コンビの足の引っ張り具合にイライラして終わってしまいましたー。あちゃー。
とうとう本題のレディ・キィに迫るか!?レイニーが会ってないとなると、薫の修行時代に会った彼女かなあ?と思ったりしているのですが・・・。何はともあれ、続きが楽しみです。


「GosickⅣ」

桜庭一樹/富士見書房

聖マルグリット学園の時計塔で起きた密室殺人。それは、かつてソヴュールに君臨した謎の錬金術師・リヴァイアサンと関係しているらしい。歴史の裏に受け継がれる血塗られた運命とは?

直木賞を受賞されて、なんだかとっても遠いところへ行ってしまったなー、感のある桜庭さん。めざましテレビでちらりとGosickシリーズにも触れられていて、でもきっと話題作だけ読まれて終わるんだろうな、さみしいな、と思いながら見ていた。
まあ、それはさておき。今回は学園を離れての冒険ではなく、学園内に秘められた謎に迫ります。聖マルグリット学園は、今でこそ他国からの留学生を受け入れているが、ヴィクトリカの存在など過去のソヴュールの暗部が隠されている場所なんだとさ。そのうちのひとつ、錬金術師のリヴァイアサンの時を越えた挑戦を、我らがヴィクトリカ嬢が暇つぶしに受けて立つ。いつもは、蚊帳の外(笑)のアブリルも推理合戦に加わったり、灰色狼ヴィクトリカとの初対面もあり、で、4作目にして学園モノっぽい雰囲気です。ヴィクトリカとアブリルの掛け合いがおもしろくって。笑。よりにもよって、なんで「屁こきいもり(ニュート)」って呼ぶかなあ!なんだかんだで、ヴィクトリカに優しいアブリルも良い子だと思います。株が上がったなあ。
結局のところ、時計塔の仕掛けだね!って結果に終わったのが残念でなりません。錬金術の着地点は、言われてみればなるほどな、な感じ。歴史にからめてあることと、幕間のリヴァイアサンの独白がシンプルな謎解きをおもしろくしているのかも。ヨーロッパの異国の雰囲気や、どこか秘密めいた学園の空気をうまく使われているなあと毎度のことながら、感心しています。
ところでところで、ブロワ警部、髪下ろしたらめっちゃ男前じゃないですか!と絵師・武田さんの絵にうっとり。挿絵ってほんと重要だ。
次は長編にしようかなー、短編にしようかなー。赤髪の彼も気になるところですが、桜庭さんの良質の短編も捨てがたい。こんなにあとがきがおもしろい本もなかなかありません。コ、コマドロ・・・!


「夕陽はかえる」

霞流一/早川書房

プロの暗殺組織〈影ジェンシー〉で実務を手掛ける〈影ジェント〉の一人、〈カエル〉の亜雄さんが不可能状況で殺された。同僚の瀬見塚は、亜雄さんの遺族の依頼で真相を追う。

霞さんも久しぶりに読んだな~。動物バカミスシリーズはぜひとも読破したいのだけれど、私、思考の柔軟性に欠けるからさ、バカミスって疲れるのよ・・・。
とりあえず、このミスで9位だったので手に取ってみました。表紙もおもしろかったので!この本のおもしろさというのは、不可能犯罪の謎解きも一つなのですが、もひとつ、アクションも見所なんです。主人公たちは、表の顔と裏の顔を使いわける殺し屋、影(エイ)ジェントでして、亜雄さん亡き後の仕事を巡っての入殺でバトルを繰り広げます。これだけ読んでると、「なんじゃこりゃ?」って不安になると思うの。笑。私も、影業とか、血算なんていう造語の解説を読みながら、「ついていけるのか、自分!」と思ったものです。しかし、徹底的に作りこまれた世界観にいつしか安心して身を委ねることができます。表の顔に関連した武器、戦い方、たぶん表の生活でも浮いているであろう影ジェントたちの個性。笑。最後の方は、戦いの成り行きの方が気になったりして、バカミス的謎解きもあっさり流してしまいました。苦手な二重〇〇ネタも、気にならなかったなー。
いや、しかし、「殺したのは自分だ!」とその場の皆が名乗りをあげて、容疑者が7人って。しかも肝心のトリックはヒミツって。これはこれで困るよなあ。犯人当ては不可能だと思う。目星をつけれた人がいたら、それだけでもすごい!


「作務衣って、売れたのか?」

「下だけ」

「ただのバミューダパンツじゃん」


「使命と魂のリミット」

東野圭吾/新潮社

父を大動脈瘤で亡くした夕紀は心臓外科医を目指し、研修医として働き始めた。だが、彼女は父の死に疑念を持っていた。父の執刀医が母と親密だったことから、その思いをさらに深める。「人間の心の限界を描く医学サスペンス。

久しぶりの東野さん。やっぱり読みやすいなあ。さすがです。物語の登場人物の感情の動きに、すっと入っていくことができました。
まあ、しょっぱなからできすぎた舞台設定でしたが!研修医って、狙った先生に必ずしも師事できるわけないと思うので、これは怨念の勝利だと見れば納得できるのか・・・。やっぱり無理・・・。
犯人も判明していれば、目的もある程度のところではっきりして、謎をとくというよりは、人間を描かれたのかなという印象。根っからの悪人はおらず、みんな反省してめでたしめでたし、な展開。・・・に見えて、後々もみなさん大変そうです。
もともと、きれいなお姉さんが好きな私は夕紀がお気に入りだったのですが、次に注目していたのがおっさん刑事の七尾さんなんですねー。あのスタンドプレーは、私が相棒だったら胃に穴があいてると思うんだけど。笑。あの熱いノリが好きだ!熱いノリと言えば、後半の西園大先生の熱きオペも良かったです。ハラハラしました。あの追い詰められようは、ドラマ「医龍」を思いだしました。あれも心臓血管外科だったような。
医療ミス・ドクターハラスメントなど、けしからん医者はたくさんいます。私も、医者の心ない言葉に心をえぐられたことがあります。いくら頭が良くたって、他人の気持ちを思いやれない人間が、こんなデリケートな仕事をしていていいのか?と思うこともしばしばあります。ただ、すべての仕事において、色々な人がいるように、医療の世界にも西園先生のように使命を全うする人がいると信じたいです。
最後に、脳内ラブ補完をしてしまう私は、夕紀と元宮が恋愛関係にはならずとも、なかなかええ感じになるんちゃうん?と勝手に期待して、色気のいの字もない夕紀さんの展開に勝手にがっくりしてました。すっぴんでも美人な設定がもったいないー!


「諦めるなっ」
西園の声が飛んだ。
「まだ何も終わっちゃいない」