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読書の記録です。

「ビブリア古書堂の事件手帖3」

三上延/アスキーメディアワークス

鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない。これは“古書と絆”の物語。

ビブリアシリーズ、人気ですね!
このシリーズの表紙、似たようなのばっかりだから、見分けがつきにくいんだよなー。
剛力さん主演のドラマも見てました。賛否両論あったキャスティング、私も剛力さんはミスキャストだったと思います。だって・・・巨乳じゃないもん!笑。栞子さんの巨乳、重要ですよね!
この本に収録されている話は、全部ドラマ化されていました。
「たんぽぽ娘」古書交換会で起こった盗難事件。たんぽぽ娘を盗んだのは誰?たんぽぽ娘の正体は奥さん・・・とか何とかドラマで言ってたような気がするんだけど、こちらでは秘密のままでした。しかし、読んで確かめようというほどの情熱もわいてこない・・・。酔っ払い栞子さんが目の前に現れたら、きっとお持ち帰りしたくなるほどかわいいと思います。
「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」チェブラーシカ!ってひらめいたのだけ良く覚えてます。チェブラーシカの映画、観にいったなー。ワニのゲーナが好きです。ゲーナ、抜けてるとこあるけど・・・。親子関係がこじれて大変・・・な話。
「春と修羅」ミステリーとしていいなと思ったのが、こちら。宮沢賢治の「春と修羅」という作品も知りませんでした。古書ってほんと高いですよね!古書には全然興味なくてよかったなと思います。骨董もだけど、深みにはまると脱け出せなさそう・・・。昴くんがすごくいい子だったので、叔母さんと良い関係が築けるといいなと思った。振り返ると、悪いことしてる人っていないんだよなあ。価値観が違うだけで・・・。
そしてエピソード。文香がお母さんに情報を流していた張本人だった。なんでお母さんは出ていったんだっけ・・・。シリーズの最後にこの親子関係が整理されるのでしょう!
三上さんといえば、「モーフィアスの教室」とか「偽りのドラグーン」を読みたかったのに、ぐずぐずしている内に本屋から消えました。がっくり。もうブックオフしかないか・・・。


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「初恋ソムリエ」

初野晴/角川書店

廃部寸前の弱小吹奏楽部を立て直し、普門館を目指す高校2年生の穂村チカと上条ハルタ。吹奏楽経験者を入部させることに成功していた2人だったが、音楽エリートの芹澤直子には断られ続けていた。ある時、芹澤の伯母が高校にやって来た。「初恋研究会」なる部に招待されたのだという。やがて伯母の初恋に秘められた、40年前のある事件が浮かび上がり…。『退出ゲーム』に続く“ハルチカ”シリーズ第2弾。

ハルチカシリーズ1作目「退出ゲーム」は、個性的なキャラクターたちのコミカルな掛け合いと、シリアスな物語とのギャップが自分の中で上手く処理できなくて、評価しづらい作品でした。これ、どうしたいの?って感じで。今回は、慣れたせいもあると思いますが、メリハリが効いていて楽しめました。
吹奏楽の登龍門・普門館を目指す弱小吹奏楽部。そこで奮闘する穂村チカと上条ハルタが、部員を獲得するために部員候補に起こった謎や悩みを解決していく話。「里見八犬伝」から着想したそうですが、私は「ワンピース」に似てるなあと思ってました。(初期しか読んでないので、初期のワンピースです。)
前回は、オーボエの成島さんとサックスのマレンを獲得。今回は、パーカッションのカイユを獲得。クラリネットの芹澤さんを勧誘続行中。こんな感じで、吹奏楽部も着実に成長しており、部活動の話とミステリーの2本柱で物語は進んでいきます。あ、三角関係もあったか。笑。まあ、草壁先生は常識人の香りがするので、チカとハルタの小競り合いで3年間が終わりそう・・・。
「スプリングラフィ」ハルチカコンビも2年生に!部員獲得に励む中、芹澤さん登場。音大を目指すほどの実力者である彼女が、吹奏楽部の部室に忍び込むワケは・・・?芹澤さんは、ただの気の強い娘さんにあらず。吹奏楽を逃げ道にしては、部員に失礼という武士道(音楽道?)を貫く一本筋の通った人。チカちゃんの執念に負けて、いつか入部しそうな気がする。笑。
「周波数は77.4MHz」カイユ登場。久しぶりにラジオが聞きたくなりました。地学研究会、ひきこもり、ラジオ・・・。この3つが結びついちゃうなんて!孫ガメと孫ウサギの戦いの続きを読ませてはくれまいか。
「アスモデウスの視線」電車で読んでいて、ラストの数行で泣きそうになってしまった。不意打ちでした。それにしても、なぜ盗撮なんてしようと思ったのか?気になります。同性が仕掛ける盗撮といえば、嫉妬からくる嫌がらせかなとは思いますが。ハルタの「ゴリラの首を持ってこい」にはうけた。
「初恋ソムリエ」途中まで、???でしたが、最後にはちゃんと解明されました。にしても、連合赤軍のことをそれほど理解しているわけではないので、やっぱり?は残りましたけど。それにしても、初恋研究会ってなんなんだ。暴走してるなあ。
今後が楽しみなシリーズです。


「遅くはない。」

「あの頃道で立ちどまっていた少女は、大人になって、いつだって新しい一歩を踏み出せる勇気を持っていた。」


「きょうの猫村さん4」

ほしよりこ/マガジンハウス

うそ風邪で寝込んだ旦那さまにかいがいしくケアする犬神家の奥様。夫婦の仲は元に戻るのか?

話の展開がスローペースです。
奥様が作った玉子酒でお腹をこわした旦那さま。そのとき、脳裏をよぎるのは、かつての愛人・スケ子・・・!めっちゃ未練ありありじゃないですか!笑。
一方、奥様のほうにも何か起こりそうな予感。たかしぼっちゃんの先輩の岸カオルという男が、奥様に興味津々。私、岸先輩嫌い・・・。論文の出版を勧められて、「ぼくは、カミを信じないんです。“ゴッド”も“ペーパー”も・・・」とか、奥様に「あなたが眩しすぎるから」とか言っちゃうんだもん!トリハダ!なんか、彼が犬神家をちょっとかき回していきそうな感じですね。
猫村さんは、商店街の電器屋のぼうやから、国際化の波について教えてもらいます。国際化の波がどんぶらこ、どんぶらこっと!想像の世界で、たらいに乗って海に漂っている猫村さんがかわいい。しかも、もはや遭難か漂流かって状態なのに、ネコムライスとかおすし屋さんとか余裕すぎる。国際化はABCから!
尾仁子の集会、まだ終わらないんだ・・・。というか、集会ってそんな大層なものなんだ・・・。なんか、バイクで走って終わりかなあと思ってました。
岸先輩、奥様にコンタクトを取るのかな?という感じで続きます。


「黒猫の薔薇あるいは時間飛行」

森晶麿/早川書房

黒猫の渡仏から半年。付き人はポオをテーマに博士論文に挑むが、つい黒猫のことを考えてしまう。そんなとき、作家・綿谷埜枝の小説に「アッシャー家の崩壊」の構造を見出す。その小説を研究するには、一晩で消えた薔薇の謎を解く必要があるらしい。付き人と黒猫は、それぞれ美しい庭園で“時間”にまつわる謎に出会う。

愛を語る黒猫シリーズ3作目は、ちょっと変わった構造の連作中編2本。
付き人サイドの話「落下する時間たち」は、作家・綿谷埜枝の昔の恋にまつわる謎。植物園で出会った男性と恋に落ちた埜枝。後日、再会した男性からもらった薔薇の色が一夜のうちに赤から白に変わっていた。そして、食事の約束をした店に彼は現れなかった。なぜか?
パリの黒猫サイドの話「舞い上がる時間たち」は、黒猫の恩師ラテスト教授の孫娘・マチルドからの依頼。音楽家のリディア・ウシェールの庭で、決まった時間に男性が両手を広げて上を見つめている。また、この不可思議な行動が始まった頃から、彼女の音楽が変わったのはなぜか?
最後に2つの話があわさって、黒猫の答え合わせで終わります。ちょっとできすぎな気もしますが(笑)、きれいにまとまった構成でいいと思います。
なぜだか、黒猫のいない付き人の話の方が好きでした。ちょっとお調子ものだけど、憎めない戸影くんの方が私は好きだなあ。もう、こっちにしちゃえばいいのに!と思っちゃいました。でも、最後までいいとこなかったね、戸影くん。笑。
謎解きでは、最後に黒猫の総括が入るのですが、私は付き人の「花火師説」だったらいいのに・・・と思いました。だって、唐草教授が悲しすぎるじゃないですか!タイミングが合わなかった。それが2人の運命・・・なんだけど。それでも友達を続けるって、唐草教授ってマゾなの?って思う。
リディアの謎の方は彼女の家の天井庭園が鍵。男の人はリハビリの散歩してるんですけど、実は恋人との駆け落ちのフライトをしているそうです。これは説明が難しい。愛が破れて精神が病んでいるのかしら、という感じです。ループから解放されたら、その後はどうなるのだろう。ハッピーなのだろうか・・・。
全体に関わってくるスイフヨウ。気になったのでネットで検索しました。ふんわりとしたフォルムで薔薇に似てるか・・・ビミョーです・・・。色が変わる様子が綺麗でした。
パリと日本という究極の遠距離恋愛が始まった!
・・・両思いになっちゃうとつまんないので、もうちょっと焦らしてあげて下さい。(←最低・・・)


「花が、まっすぐに舞い降りた」

「あるいは、舞い上がった」


「貴族探偵」

麻耶雄嵩/集英社

信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か?捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。

捜査もしない!推理もしない!ただ女を口説くのみの貴族探偵。
果たして真相に気付いていたのか?本当は何もわかってないのに態度だけでかかったのか?最後までこの謎は解けないままでした。貴族たるもの、捜査などという肉体労働や、推理などという頭脳労働は、使用人にまかせるものらしいです・・・。
「ウィーンの森の物語」執事の山本が登場。推理にパンチが足りないなあー。メインの女性が怪しいのかな?と思ったりもしましたが、そんなことはなかった。女性は、貴族探偵の餌食・・・いえいえ、貴族探偵にエスコートされてゆきました・・・。山本は、年配で小柄だけれどもがっしりした体躯のベテラン執事さん。
「トリッチ・トラッチ・ポルカ」ケープから出る生首!死体にパーマ!切断された両腕!一番猟奇的でした。山本ではなく、メイドの田中が登場。この時は、えっ、山本は解雇?と思ったけど、貴族探偵は少なくとも3人使用人を雇っているようです。そっか、使用人って何人雇ってもいいんだ!使用人のいない平民には思いもよらないことでした・・・。田中は、若いお嬢さんで元気いっぱい!はきはき推理します。
「こうもり」うわー!だまされた!プチパニックを起こしてしまいました。読み返したけど、見事に矛盾がなくて降参です。本筋の謎がぶっとんでしまいました。えっと、誰が犯人でしたっけ?ってくらい。笑。常盤洋服店出されたら、誰だってそう思っちゃうよ・・・。
「加速度円舞曲」3人目の使用人、運転手の佐藤が登場。佐藤は武道の経験がある、がっちりした体型の男性。なんだか、話が普通すぎて物足りない・・・。
「春の声」強引なトリックが嫌いじゃない人はいけるかもしれない。結構な力技を見せていただきました。まあ、でも、こうでもしないと収まりがつかなかったでしょうね。最後は3人の使用人の競演でした。
どうにも、麻耶さんのミステリには、アクの強さを求めてしまうというか・・・。変態要素を探してしまうというか・・・。今回は、そういう意味でとてもソフトな読み心地でした。私としては、「こうもり」で変則的な話があったものの、全体的に少々物足りなかったです。
解説は千街晶之さん。千街さんの解説ってだけで、ミステリのグレードがアップするような気がしてしまう。


「刑事たちもお待ちかねのようだ。」

「お前の推理をご披露しなさい。」