「ブラウン神父の無心」
「木の葉を隠すなら森の中」など、警句と逆説に満ちた探偵譚。怪盗フランボーを追う刑事ヴァランタンは奇妙な二人組の神父に目をつける(「青い十字架」)。機械人形でいっぱいの部屋から、血痕を残して男が消えた。(「透明人間」)。
パソコンの調子が末期を迎えました・・・。昔、友人からパソコンの立ち上げからネットにつなぐまで30分かかるという話を聞いたときは、「そんなパソコンありえねー!」と指差して笑ったもんですが、そのありえねーパソコンになってしまいました。正常に文字入力ができるまで約40分かかります。前触れ無くフリーズ、いきなりローマ字入力に切り替わる、変換はおかしな漢字がトップ・・・などなど。最近はネットの時間を1時間と決めているので、すぐにタイムアップ!感想を思い出すのに時間がかかり、感想を書くのに時間がかかり、さらに書きたい本の感想が溜まってゆく・・・。
さて、感想です。
古典ミステリを読もうというチャレンジは、まだじわじわ~っと進行中です。「薔薇の名前」(ウンベルト・エーコ)に、かなり苦戦しまして、ちょっとストップしてました・・・。この本難しいよ・・・。何がおもしろいのかわかんなかったです。
気力が復活したところで、ブラウン神父から再スタート!
「ブラウン神父の童心」の新訳版です。新訳しか図書館になかったので選択の余地はありませんでした。印象に残ったものをいくつか。
「秘密の庭」これには驚きました!これは2話目で、1話で登場したヴァランタン警部のお屋敷に招かれたパーティーで起こった殺人事件です。生首のキャッチボールだけでも、謎解きの驚きとして十分でした。しかし、それだけでなく、当然タッグを組むものと思われたヴァランタンをあっさり犯人にし、自害させてしまった展開にさらにびっくりです。
「奇妙な足音」足音だけで犯罪を見破った・・・名推理です。人は、階級によって立ち居振る舞いが変わるという身分制度を匂わす解決。着眼点がすごいなあと。
「透明人間」名探偵の敵役の怪盗フランボーが、ブラウン神父の説得により改心。探偵事務所を開業し、ブラウン神父の良き友人として登場します。まさか、フランボーが改心するとは思ってなかったので、またまたびっくりしました。しかし、ブラウン神父を慕う言動は微笑ましい。そんなことありえるの?という真相でしたが、当時は人間として認められず迫害されていた人々がいたことも、事実なんだよなーと思った。過去に書かれた話ですが、近未来のような雰囲気。
「アポロンの目」エレベーターってそうなるのか!?と思ったのですが、海外のエレベーターって危険な感じしますもんね。落ちちゃいそうな。後味が悪く、犯人の意外性でも印象に残っています。
「折れた剣の招牌」「木の葉を隠すなら森の中」はこれが出典だったんですねー。それにしても、死体を隠すならより多くの死体を・・・っていう発想がもう壊れてる。
「三つの凶器」死因は転落死なのに、現場に残された凶器はナイフ、ロープ、ピストル。一体これらは何のために使われたのか?真相を読んでしまえばなーんだ(被害者が自殺するのを止めようとした)、なんですが、そこにたどり着くまでの思考が楽しめた。また、謎の提示も魅力的。
全編にわたって、当時の宗教観や身分差別などの社会問題が織り込まれていて、興味深い。フランボーとの名コンビのその後も読みたいのですが、あとのお楽しみにしておきます。
さあ、やっと第8位(東西ミステリーベスト100)まで読めましたー!
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