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読書の記録です。

「レインツリーの国」

有川浩/新潮社

きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。あなたを想う。心が揺れる。でも、会うことはできません。ごめんなさい。かたくなに会うのを拒む彼女には、ある理由があった。

感性や価値観の一致で魅かれたら、顔を知らなくても恋に落ちるのだろうか。
物語のコンセプト自体に、最初から違和感を感じます。
実際に、ネットで知り合って結婚する方は、少なからず存在するようですので、あり得ることなんだろうなー、とは思います。オフ会とかすごいですよね・・・。私は、そういうコミュニティに参加していないので、お誘いがかかることは無いのですが(笑)、実際に会うなんて考えられない。おそろしやー。
彼女は、私のようなチキンな理由ではなく、身体的な問題が大きなハードルとなっています。健常者には、どうしても越えられない壁って存在する。ちょっと卑屈になりすぎじゃないの?ってイライラすることもあったけれど、優しくリードしてあげる伸行が微笑ましかった。
関西人の中でも、大阪の人は特に勢いがすごいと思います。自分が大人しい性格ということもあるんですが、それを差し引いても、あの勢いは他県出身者にはありません。笑。呑まれますね。くやしいわー。
様々な問題を正面からとらえており、決してきれいごとばかりでは無かった。ケンカをして仲直りをして、どこにでもある恋人達の姿。しかし、私にはどうしても「きれいな作り物」にしか見えなかった。全体的に説教くさいからかなー。


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「白の鳥と黒の鳥」

いしいしんじ/角川書店

耳を澄ませば、すぐ近くに聞こえてくる、小鳥たちのさえずり、住人たちの笑いと息づかい。世界のはしっこで生きぬく幸福な物語。物語の魔法つかい、いしいしんじの愛しき短篇小説集。

「雪屋のロッスさん」で味をしめて、読んでみました2冊め。
・・・難解でした・・・。
不思議な世界観にはギャップを感じなかったのですが、物語の着地点が「?」というものが多かったと思います。もちろん、中にはいいものもありました。
“カラタチとブルーベル”“すげ替えられた顔色”“薄い金髪のジェーン”“おっとせいを飼う”“赤と青の双子”“透明に関する四つの小話”“紅葉狩り顛末”“太ったひとばかりが住んでいる村”
が良かったです。中でも、“透明に関する~”が好き。この長さのお話が、一番しっくりくるようです。
この本を読んでいて、「あ、“独白するユニバーサル横メルカトル”に似てる・・・。」と感じました。全然方向性は違うんですけれども。狂気とか、エゴイズムとか、そんなようなものを感じるんです。平山さんはエグ味の中に、いしいさんは絵本の中に隠しているような・・・。不思議の中に、一滴加えるエッセンスに、同じ香りを感じました。あくまで、私の主観ですので、怒らないで下さいねー。(両作家さんのファンの皆様へ)


「クジラのソラ 01」

瀬尾つかさ/富士見書房

10年前。異星人が人類に課した“ゲーム”。“ゲーム”のWG優勝者であり、宇宙へ旅立った兄の後を追う少女・桟敷原雫は、伝説のメカニックと言われる聖一を自分のチーム“ジュライ”に引き入れようと奮闘する。

たぶんSF・・・だと思う。話のアイディアは好きなので、大まかな話の流れは楽しめたのですが、登場人物やら細かい所で不満が残ります。
ちょっと、会話のテンポに乗れなかったな。年のせいだか何なんだか。
あと、雫の主体性の無さが好きになれない・・・。兄さんを追いかけるためだけっていうのが、なんだかなー。置いていかれたから追いかけるって、もし追いついたら、君はその後どうするの?
最後の展開も都合が良すぎる。「ドラゴンボール」みたいな感じ!「俺もスーパーサイヤ人になるぜ!」みたいなノリで、みんなスーパーサイヤ人になっちゃったというやつ。あれと同じで、「なんだ、意外と簡単にアウターシンガーになれるんだー。」というあっけなさを感じました。同時に、アウターシンガーの希少性や、価値が無くなったと思います。別の方向で、雫とジュライが強くなる方法って無かったんかなあ、とそこが残念。
しかし、筐体に入っての宇宙のどこかでの戦争は、まあまあおもしろい。戦略がもっと広がることを期待したいです。頭の中で、シュミレートしにくいのが難点ですがー。ところで、異性人の姿かたちが気になるところです。おそらく人型だろうとは思いますが。


「ジョン平とぼくと」

大西科学/ソフトバンククリエイティブ

そこは小さな魔法が日常的に存在する世界。魔法の苦手な高校生・北見重は使い魔・ジョン平とともに、なんとか日々をやりすごしている。そんなある日、新任の物理化学教師がやってくる。それは大きな出来事の序曲にすぎなかった。

「砂浜。トマト。振り子。靴」
意味の無い言葉の羅列。けれど、この言葉の組み合わせを唱えると、空中に光球が生まれる。今まで、色々ライトノベルを読んできたけれど、こんな呪文初めて見たよ。
この世界では、日常的に魔法が使われ、ほとんどの人に専属の使い魔が存在します。いいなあ。私だったら、やっぱり犬か猫かな。フクロウもヘドウィグみたいでいいな。鳥なら鷹もかっこいいよね、などここだけで妄想は果てしなく広がります。しかも、彼らは馴致されていくに従って、人間顔負けの思考をし、流暢に言葉を喋り、いつしかかけがえのないパートナーとなるのです。
主人公・重の使い魔は犬のジョン平。かわいいもの好きにとっては、もう、ジョン平がたまらない!「じょんぺい、ごめんって、いってごめん」とか。かわいい奴め!
事件は大掛かりなものではなく、小さく収まったという感じ。細菌が使い魔って、ある意味最強じゃないのって思ったり。最後はうやむやに終了。ネタバレになりますが、本筋の事件よりもショッキングだったのが、交際発覚。幼なじみなら、なおさら言わなくちゃ駄目だって!朝の特訓に付き合ってもらったりしたら、勘違いもするよ。重に気を持たせる行動をする前に、探偵ごっこは彼氏としたらどうかね。1年前からだったら、もう、言うタイミングなんてとっくの昔に逃してて、このまま重には隠したまま、3人で今まで通りなあなあで付き合おうって思ってたんでしょう?私も、付き合ってることを第3者から知って、「聞いた時に、何故教えてくれなかったのか」と思ったことがあるので、すごくこの辺は重に同情的でした。私の場合、好きでも何でも無かったから、友情ダメージだけで済みましたけど、彼の場合はこれに失恋ダメージも加わりますから、総合ダメージは結構なものだろうな。試験も含めてその他もろもろ、ジョン平と共に頑張って欲しい。


「魔法は、信じることによって成り立っているのだ。疑い、考えることではなく。」


「紅牙のルビーウルフ 4」

淡路帆希/富士見書房

式典で突然襲われたルビー。必死に抵抗し逃れたものの、“導きの剣”は謎の腕と共に空間に消えてしまう。神具を巡る大いなる陰謀が動き出している事を悟ったルビーウルフは、奪われた牙を取り戻すために旅立つ。

しおりが2枚挟まってました。微妙なお得感。
さて、本編。
少し世界が広がってきた4巻。登場人物も増えて、おもしろくなってきました。
特に良かったなあ、と思うところが、ルビーさんのお悩み相談。年齢に相応しい女の子の姿が好ましく感じられました。わんわんコンビの出番は少なかったけどさー。ケーナお姉さまの粋な計らいが素敵だと思います。笑。もし、今度読みきりがあるとしたら、ケーナとフロストが主役の短編が読みたい。
今更なんですが、この世界には神職みたいなのが無いのかな?世界には、神が存在する、と。で、神の分身と言える神具がある、と。人々は、その伝説を信じ、神具を継承する王族を奉る、という世界観。一般的には、宗派みたいなものがあって、神職にあるものが、大きな権力を持ち政治に影響を与える役どころだと思うんだけど。今のところ、王族・騎士・貴族しか出てきてないような。「すべての神具と所有者が集まった時、神は復活し、世界を滅ぼす」という共通認識のみが彼らの宗教観だとしたら、まあ、宗教家はいらないのかな・・・?ううむ。まあ、私もそんなに詳しいわけではないので、ここまでにしときます(苦笑)。
話戻って、戦闘では腕を斬られるところが痛そうでした。ハガレンのランファンは自分で斬ってたなあ・・・。1巻以来の容赦の無さを感じました。イグニスに関しては、特にビックリ感もなく。笑。
続きは5巻へ。希望としては、エリカは脅されて仕方なく~、ではなく、自分なりの信念や考えがあっての行動であって欲しいな。私のエリカさんに対するイメージが、理由を外に求めないというか、うーん、自分の始末は自分でつける、みたいな感じ、がするので。