「レインツリーの国」 本 2007年09月04日 有川浩/新潮社きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。あなたを想う。心が揺れる。でも、会うことはできません。ごめんなさい。かたくなに会うのを拒む彼女には、ある理由があった。感性や価値観の一致で魅かれたら、顔を知らなくても恋に落ちるのだろうか。物語のコンセプト自体に、最初から違和感を感じます。実際に、ネットで知り合って結婚する方は、少なからず存在するようですので、あり得ることなんだろうなー、とは思います。オフ会とかすごいですよね・・・。私は、そういうコミュニティに参加していないので、お誘いがかかることは無いのですが(笑)、実際に会うなんて考えられない。おそろしやー。彼女は、私のようなチキンな理由ではなく、身体的な問題が大きなハードルとなっています。健常者には、どうしても越えられない壁って存在する。ちょっと卑屈になりすぎじゃないの?ってイライラすることもあったけれど、優しくリードしてあげる伸行が微笑ましかった。関西人の中でも、大阪の人は特に勢いがすごいと思います。自分が大人しい性格ということもあるんですが、それを差し引いても、あの勢いは他県出身者にはありません。笑。呑まれますね。くやしいわー。様々な問題を正面からとらえており、決してきれいごとばかりでは無かった。ケンカをして仲直りをして、どこにでもある恋人達の姿。しかし、私にはどうしても「きれいな作り物」にしか見えなかった。全体的に説教くさいからかなー。 PR
「白の鳥と黒の鳥」 本 2007年09月04日 いしいしんじ/角川書店耳を澄ませば、すぐ近くに聞こえてくる、小鳥たちのさえずり、住人たちの笑いと息づかい。世界のはしっこで生きぬく幸福な物語。物語の魔法つかい、いしいしんじの愛しき短篇小説集。「雪屋のロッスさん」で味をしめて、読んでみました2冊め。・・・難解でした・・・。不思議な世界観にはギャップを感じなかったのですが、物語の着地点が「?」というものが多かったと思います。もちろん、中にはいいものもありました。“カラタチとブルーベル”“すげ替えられた顔色”“薄い金髪のジェーン”“おっとせいを飼う”“赤と青の双子”“透明に関する四つの小話”“紅葉狩り顛末”“太ったひとばかりが住んでいる村”が良かったです。中でも、“透明に関する~”が好き。この長さのお話が、一番しっくりくるようです。この本を読んでいて、「あ、“独白するユニバーサル横メルカトル”に似てる・・・。」と感じました。全然方向性は違うんですけれども。狂気とか、エゴイズムとか、そんなようなものを感じるんです。平山さんはエグ味の中に、いしいさんは絵本の中に隠しているような・・・。不思議の中に、一滴加えるエッセンスに、同じ香りを感じました。あくまで、私の主観ですので、怒らないで下さいねー。(両作家さんのファンの皆様へ)
「クジラのソラ 01」 本 2007年09月04日 瀬尾つかさ/富士見書房10年前。異星人が人類に課した“ゲーム”。“ゲーム”のWG優勝者であり、宇宙へ旅立った兄の後を追う少女・桟敷原雫は、伝説のメカニックと言われる聖一を自分のチーム“ジュライ”に引き入れようと奮闘する。たぶんSF・・・だと思う。話のアイディアは好きなので、大まかな話の流れは楽しめたのですが、登場人物やら細かい所で不満が残ります。ちょっと、会話のテンポに乗れなかったな。年のせいだか何なんだか。あと、雫の主体性の無さが好きになれない・・・。兄さんを追いかけるためだけっていうのが、なんだかなー。置いていかれたから追いかけるって、もし追いついたら、君はその後どうするの?最後の展開も都合が良すぎる。「ドラゴンボール」みたいな感じ!「俺もスーパーサイヤ人になるぜ!」みたいなノリで、みんなスーパーサイヤ人になっちゃったというやつ。あれと同じで、「なんだ、意外と簡単にアウターシンガーになれるんだー。」というあっけなさを感じました。同時に、アウターシンガーの希少性や、価値が無くなったと思います。別の方向で、雫とジュライが強くなる方法って無かったんかなあ、とそこが残念。しかし、筐体に入っての宇宙のどこかでの戦争は、まあまあおもしろい。戦略がもっと広がることを期待したいです。頭の中で、シュミレートしにくいのが難点ですがー。ところで、異性人の姿かたちが気になるところです。おそらく人型だろうとは思いますが。
「ジョン平とぼくと」 本 2007年09月04日 大西科学/ソフトバンククリエイティブそこは小さな魔法が日常的に存在する世界。魔法の苦手な高校生・北見重は使い魔・ジョン平とともに、なんとか日々をやりすごしている。そんなある日、新任の物理化学教師がやってくる。それは大きな出来事の序曲にすぎなかった。「砂浜。トマト。振り子。靴」意味の無い言葉の羅列。けれど、この言葉の組み合わせを唱えると、空中に光球が生まれる。今まで、色々ライトノベルを読んできたけれど、こんな呪文初めて見たよ。この世界では、日常的に魔法が使われ、ほとんどの人に専属の使い魔が存在します。いいなあ。私だったら、やっぱり犬か猫かな。フクロウもヘドウィグみたいでいいな。鳥なら鷹もかっこいいよね、などここだけで妄想は果てしなく広がります。しかも、彼らは馴致されていくに従って、人間顔負けの思考をし、流暢に言葉を喋り、いつしかかけがえのないパートナーとなるのです。主人公・重の使い魔は犬のジョン平。かわいいもの好きにとっては、もう、ジョン平がたまらない!「じょんぺい、ごめんって、いってごめん」とか。かわいい奴め!事件は大掛かりなものではなく、小さく収まったという感じ。細菌が使い魔って、ある意味最強じゃないのって思ったり。最後はうやむやに終了。ネタバレになりますが、本筋の事件よりもショッキングだったのが、交際発覚。幼なじみなら、なおさら言わなくちゃ駄目だって!朝の特訓に付き合ってもらったりしたら、勘違いもするよ。重に気を持たせる行動をする前に、探偵ごっこは彼氏としたらどうかね。1年前からだったら、もう、言うタイミングなんてとっくの昔に逃してて、このまま重には隠したまま、3人で今まで通りなあなあで付き合おうって思ってたんでしょう?私も、付き合ってることを第3者から知って、「聞いた時に、何故教えてくれなかったのか」と思ったことがあるので、すごくこの辺は重に同情的でした。私の場合、好きでも何でも無かったから、友情ダメージだけで済みましたけど、彼の場合はこれに失恋ダメージも加わりますから、総合ダメージは結構なものだろうな。試験も含めてその他もろもろ、ジョン平と共に頑張って欲しい。「魔法は、信じることによって成り立っているのだ。疑い、考えることではなく。」
「紅牙のルビーウルフ 4」 本 2007年09月04日 淡路帆希/富士見書房式典で突然襲われたルビー。必死に抵抗し逃れたものの、“導きの剣”は謎の腕と共に空間に消えてしまう。神具を巡る大いなる陰謀が動き出している事を悟ったルビーウルフは、奪われた牙を取り戻すために旅立つ。 しおりが2枚挟まってました。微妙なお得感。さて、本編。少し世界が広がってきた4巻。登場人物も増えて、おもしろくなってきました。特に良かったなあ、と思うところが、ルビーさんのお悩み相談。年齢に相応しい女の子の姿が好ましく感じられました。わんわんコンビの出番は少なかったけどさー。ケーナお姉さまの粋な計らいが素敵だと思います。笑。もし、今度読みきりがあるとしたら、ケーナとフロストが主役の短編が読みたい。今更なんですが、この世界には神職みたいなのが無いのかな?世界には、神が存在する、と。で、神の分身と言える神具がある、と。人々は、その伝説を信じ、神具を継承する王族を奉る、という世界観。一般的には、宗派みたいなものがあって、神職にあるものが、大きな権力を持ち政治に影響を与える役どころだと思うんだけど。今のところ、王族・騎士・貴族しか出てきてないような。「すべての神具と所有者が集まった時、神は復活し、世界を滅ぼす」という共通認識のみが彼らの宗教観だとしたら、まあ、宗教家はいらないのかな・・・?ううむ。まあ、私もそんなに詳しいわけではないので、ここまでにしときます(苦笑)。話戻って、戦闘では腕を斬られるところが痛そうでした。ハガレンのランファンは自分で斬ってたなあ・・・。1巻以来の容赦の無さを感じました。イグニスに関しては、特にビックリ感もなく。笑。続きは5巻へ。希望としては、エリカは脅されて仕方なく~、ではなく、自分なりの信念や考えがあっての行動であって欲しいな。私のエリカさんに対するイメージが、理由を外に求めないというか、うーん、自分の始末は自分でつける、みたいな感じ、がするので。